2020年12月09日
ドグラ・マグラ
ドグラマグラとは夢野久作により発表された作品である。日本の三大奇書のひとつに数えられ、内容はシンプルかつ難解。
「私」である語り部は誰なのか、別の方向ながらも同じ内容を取り上げ説明がなされており、最低二度ほどの熟読が必要とされている。
冒頭がクライマックスなので最初の方は読み易いが、キチガイ外道祭文と心理遺伝付録の「右に関するW氏の意見摘要」あたりで頓挫するものだと思われる。
外道祭文は読みのリズムさえ掴めば読みやすいものの慣れが必要。割と飛ばされがちであるが、父が子に対する懴悔の言葉そのものである。
しかし三大奇書の中では読みやすい。
小栗虫太郎の奴は悪文過ぎてマジで読むのを辞めようかと思った。
【内容】
ドグラマグラの全体的なテーマは、因果応報の理を人の癖や顔つき、性根などを論じたものである。
故正木博士は大学生時代からその構想に着手しており、学会で発表するためにはその実験体が必要であった。正木博士はその実験材料として祖先に凄惨な過去を持つ呉家に取り入り、男児を産ませようと模索する中で同窓のライバルである若林博士と衝突することになる。
二人の狙いは「男児」の存在と、呉家に代々伝わる九相図(佳人が死に逝く様子を認めた腐敗から骨への精密な描写の絵巻物)の二点が必要となっている。
呉家に伝わる九相図は大昔の中華、楊貴妃のいた時代に描かれたものであるが、優秀な絵描きとして自分を雇っていた君主を反省させるために、わざわざ双子の姉である最愛の妻を絞殺したにも関わらず、玄宗皇帝の時代が終焉を迎えたことを妻の妹に告げられたことにより虚無感を覚え、日本へ渡る船の旅路の中で、我が身を海へ擲ち自殺する。
自殺した男・呉青禿の妻になった双子の妹も後追いしようとするも、船内の人間(日本人)が思いとどまらせ、中華から離れて、現九州地方の福岡にて男児を産むことになる。これが悲劇の発端だった。
呉家には代々九相図の呪われた絵巻物が代々伝わっており、その内容を呉家の男性が見れば、女を見境なく殺して、死体が腐敗していく様子を描写するという内容である。
実は九相図の描き手である呉青禿は、妻を絞め殺すも想像以上に亡骸の腐敗のスピードが早かったために結果的に失敗に終わり、新たな女性のモデル(死体)を求めるも、もうこの頃には狂気に染まっているのではないかと正木博士は、「私」に指摘している。
どうやら正木博士いわく中途半端な絵巻物であっても、皇帝の度肝を抜くには妻一人の死体で十分であり、必要以上に死体を求めなくても良かったのだと言う。
その証左に、巻物の中身を見た「私」は、(仮)嫁である呉モヨ子に瓜二つとしか言えない巻物の中身を最初はつぶさに眺めていたのに関わらず、後の悲惨な死体になっていくにつれて、早読みをするような状態となっていた。
ドグラマグラAへ
価格:5,225円 |
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10374858
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック