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2014年05月28日

霊使い達の宿題・始まり(改訂版)








 この間、しばしSS作成は休むと言ったな。あれは嘘だw
 いや、実はpixiv(またそれかよとか言わないで)の小説投稿コーナーにも何かうpしてみようかと思い、過去に書いた「霊使い達の宿題」シリーズを上げる事にしました。
 んで、そのまんま上げるのも芸がないので、少々手を加える事にしました。
 それで改訂版。
 これを機に、他シリーズの「黄昏」や「始まり」との間に生じている設定のズレも修正しようと思っています。
 すでに出来てるものを直すだけだから、さほど手間もかかるまいと言う打算もありますがw
 と言う訳で、しばらくこちらの更新もこれが主体になります。
 よろしければ、しばしお付き合いくださいませ。
 ではでは。


1050143i.jpg
 

                   霊使い達の宿題
               
                      
                      ―始まり―
 
 

 「それでは、宿題を出します。」
 「「「「・・・・・・・・・!!」」」」
 終業の開放感にざわめいていた教室が、その一言でピタリと静かになった。
 「・・・宿、題・・・ですか?」
 教室にいた6人の少年少女達を代表する様に、朱髪の少女がおずおずと先の言葉を発した女性に向かって尋ねる。
 「はい。宿題です。」
 問いかけられた女性−精霊術師ドリアードは、その顔に穏やかな笑みを浮かべながら、もう一度きっぱりとそう言った。
 「何か、問題でも?」
 ニッコリと小首を傾げる仕草に沿って、長い黄金(こがね)の髪がサラサラと歌う。
 別に、恐ろしい形相をしている訳でも、声にドスが効いている訳でもない。
 本当に。ただ、本当に微笑んでいるだけ。
 しかし、その背後からは言い様のない”気”が立ち昇る。
 それが、教室の皆(一部除く)の背筋を泡立てる。
 「い、いえ。何でもないです・・・。」
 おずおずと引っ込む、朱髪の少女。
 「そうですか。他には?」
 そう言って、教室を見渡す。 
 「「「「・・・・・・。」」」」
 常に代表を務める少女が沈黙させられたのである。
 他に意を唱えられる者など、いる筈もない(もっとも、候補はいるが肝心の本人にその気がない。)
 ドリアードの問いに返るのは、沈黙だけ。
 「・・・そうですか。」 
 それに満足した様にその笑みを深めると、彼女は改めてこう言った。
 「それでは、宿題の内容を説明します。」


 ・・・ここは魔法族の里。
 多くの魔法使い族達が暮し、日々を営む地。
 その一角に、小さな学び舎があった。
 その名も、「ミナコ魔法専門学校」。
 この里を、ひいてはこの世界を牽引する次世代の魔法使い達を育成する場所である。
 片田舎にあるにも関わらず、優秀な教師が多く所属する知る人ぞ知る名門校である。
 育成内容はいくつかのコースに分かれており、「黒魔導師コース」や「召喚術師コース」等幾つか存在する。
 先の会話はその内の一つ、「精霊術師コース」のクラスから聞こえてきていた。
 現在、このクラスに配属されているのは6人の少年少女。
 風霊使いのウィン。
 火霊使いのヒータ。
 水霊使いのエリア。
 地霊使いのアウス。
 光霊使いのライナ。
 闇霊使いのダルク。
 皆が揃って、地水火風の四大元素と光と闇の双極を司る。
 六身一体、一心同体で真価を発揮するチームである。
 逆に言えば、個々人ではまだ長短が目立つ凸凹半人前の集まりであるとも言える。
 このクラスの専属講師である精霊術師ドリアードは、その端麗な容姿とは裏腹に、授業内容や出す宿題がえげつない事に定評があった(本人に悪気はないらしいが)。
 そして今回も、ドリアードはその顔に女神の笑みを浮かべたままサラリと言い放つ。
 「ドラゴンです。」
 「「「「・・・・・・は?」」」」
 「来週までの七日間、あなた達に公休をあげます。その間に、自分と同じ属性のドラゴンを一匹、しもべにしてつれてきてください。」
 
 サ――――ッ

 その言葉に、全員の顔から血の気が引いていく(やっぱり、一部メンバーを除く)。
 彼女たちが学ぶ「精霊術」とは、術師である自分と同じ属性のモンスターと契約を交わし、しもべとして使役する事から始まる。
 よって、しもべとするモンスターを隷属させる術(すべ)を身に付ける事は必須である。
 しかし・・・
 「ドラゴン・・・だと・・・?」
 「ドラゴンですって・・・?」 
 「ドラゴン・・・」
 数多くあるモンスターの種族の中で、ドラゴン族はその多くが別格である。
 人語を解するものもいるが、そんな奴らは大概レベルが高く、彼女達の手に負える存在ではない。必然的に、レベルの低い中位〜下位種をターゲットにする事になる。しかし、そうなると今度は凶暴性が強く、猛獣を相手にするのと変わりない場合が多い。
 恐らくは、命がけの実習になるだろう。
 あからさまにゲンナリとしている(やっぱり、一部(ry))教え子達に気付いているのかいないのか、ドリアードは満面の笑みでこう言った。
 「おk?」
 「「「「・・・おk・・・。」」」」
 ドラゴンは恐ろしいが、怒ったドリアードはもっと恐ろしい。
 彼女達に、選択の余地はない。
 こうして、霊使い達の受難の日々は始まった。



                        「霊使い達の宿題・風の場合」に続く 
タグ:霊使い
この記事へのコメント
・・・・・・改訂版か、場つなぎ的企画とは思わないよ?直し自体はちょくちょく入ってたみたいなので、きっと今回ので決定的に良くなっているんだろうなぁ。

変更点を全部あげていったらキリがないので気になった所を見ていこう。

「常に代表を務める」:ヒータがリーダー格である具体的な文言が付け加えられた。これまでの話でも、いつもまとめ役だったというイメージは無かった様な気もするが?確かに一番の常識人ではあるが、割と単独行動したがるタイプに見えていたんだけど。

「ミナコ魔法専門学校」:追加する必要があったのか謎な設定。渾身のギャグ、なのか?

「ひいてはこの世界を牽引する次世代の(ry」:うん、ホントそんな感じだよね。卒業生が集まると世界征服とか出来そうだし。常駐の講師だけでも他の侵略を許さないだろうし。同窓会なんて開催したら隣国の軍隊が動くなこりゃ。

「七日間」:改めて見るととんでもなく短い。普通なら設定されるべき準備期間が存在せずいきなり行動を強いられるような日程だ。日頃から世の中の事に目を向け、幅広い知識を身に付け、突発的な事に対応できる危機管理意識が必要となる問題だ。腕っぷしだけ強くてもダメ。


Posted by zaru-gu at 2014年05月29日 20:42
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