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2024年06月13日

現在の活動(ウマ娘プリティーダービー二次創作)

お久です。
 かなり放置してしまってましたが取り敢えず生きてます。
 生き物飼育も続けてますし、創作活動も続行しておりますで。
 現在は主にウマ娘プリティーダービーの二次小説を書いてます。書き始めて2年程になるので今年中には終わらせたいと思いつつ、仕事やらコロナやらで中断が続いてるのですがw
 せっかくなので、初めの方を載せときます。
 本筋はpixivとハーメルンに掲載してるので、興味が沸きましたらどうぞ〜。
IMG_7202.jpeg


https://www.pixiv.net/novel/series/9096168

https://syosetu.org/novel/289858/






 ソレは、いつかの昔。
 海に浮かぶ島国の。
 儚く強いお姫様。
 そんな彼女の、遠い遠い。
 泡沫の。

 お姫様。
 可愛い可愛い、お姫様。
 貴女は幸せかしら。
 大事な方はいるかしら。
 在れる場所はあるかしら。
 生きる意味はあるかしら。
 もしももしも。
 どれか一つでも欠けるなら。
 お連れしましょう、この私。
 扉を開けてくれた、その御礼。
 飾る鎖で優しく繋いで。
 尽きぬ微睡、夢の帳。
 醒める事ない花園向こう。

 とわに。
 永久に。
 永遠に。

 私の。
 私だけの。
 
 ――『ティターニア』――。

 ◆

「成程、コレは良いモノだ」
 昼休みの会長室。卓の上に置かれた書籍の山。その一冊に目を通したシンボリルドルフは満足げに頷く。
「アイルランドの絵本や絵画に写真集。生徒達の見識を広げるのに一役買ってくれそうですね」
 シンボリルドルフと、対面に座る少女の前にハーブティーを置いたエアグルーヴ。彼女も一冊手に取って開いてみる。
「大丈夫ですか?」
 カップを手に取ったファインモーションが、少し困った様な顔をする。
「全部、私の国の言葉で書いてあるから。読めない子が多いと思いますが……」
「杞人天憂だよ。そんな事は大した問題ではないさ」
 言って微笑むシンボリルドルフ。
「大切なのは、間近に異なる文化を感じる事だからね。世界は自分達だけの視界で終わるモノじゃない。その外に広がるモノがある事は、ちゃんと認識しておかなければいけない。いつか、此の箱庭から巣立って行く者達に必要となる視点だ」
 エアグルーヴも続ける。
「存在を認識しなければ、興味は持たない。興味が無ければ、理解も出来ない。切っ掛けを生むには、こう言った視覚から入れる資料は適任だ」 
「ソレでより深く突っ込もうと思ってくれれば一粒万倍。儲けモノと言う訳さ」
 二人の説明に、クスリと笑うファインモーション
「なら、良かった」
「しかし、良いのか?」
 エアグルーヴに訊かれ、小首を傾げる。
「此れらは全て、君の私物だろう? 思い入れのあるモノもあるのではないか?」
 そう。それらはファインモーションが母国で幼い頃から愛読していたモノ。ソレを、彼女が取り寄せて学園に寄贈したいと申し出た。
「う〜ん、全然無いと言えばウソになりますけど……」
 思案するのは、ほんのちょっとの間。
「良いんです。コレは、私の望みだから」
「望み?」
「私は、『此処』に来て沢山のモノを貰いました。だから、私もお返しをしたい……」
 言いかけて、また少し考えて。『ううん、ちょっと違いますね』と言い直す。
「残したいんです」
「残す……?」
「私が……ファインモーションと言うウマ娘が、この場所に、確かに居たって言う証」
 シンボリルドルフとエアグルーヴの表情が、微かに曇る。その言葉が孕む意味。確かに、悟って。
「……帰国は、今月末の予定だったかな?」
「はい。あと、二週間」
「凄凄切切……寂しくなるよ……」
「そう言って貰えるの、嬉しいです」
 はにかむ顔は、何処か儚い。
「何か、思う事があったら遠慮なく言って欲しい。出来るだけの事はしよう」
「Go raibh maith agat」
 せめてもの言葉に心からの感謝を返し、ファインモーションは席を立つ。
「紅茶、ご馳走様でした。そろそろ、戻らないと」
「ファイン」
 戸に手を伸ばす彼女を、エアグルーヴが呼び止める。
「……『彼女』と、話はしたのか?」
 言葉の意に、細い肩がピクリと揺れる。
「良いの」
「しかし、彼女と君は……」
「あの人が私に求めていたモノを、私は与えなかった」
 なお切り込もうとしたエアグルーヴを、言葉で押し止める。
「与えられなかったんじゃない。『与えなかった』。あの人の『神さま』に、私は自分の意思でならなかった」
 友人として返す言葉には、先までの公人としての硬さは消えている。
 けれど、代わりに現れるのは一個人としての高潔さ。
 言の葉を紡ぐ瞳は余りに強く。
 余りにも気高い。
 その光の中に、エアグルーヴは自分が越えられない高みを見る。
「あの人の願いと自分の運命。選んだのは、私だから」
 知っている。
 その証を、彼女はあの舞台で自ら知らしめたのだから。
 そして、その意思をまた。
「だから、良いんだ」
 込められた思いは、揺らぎもせず。
「……そうか」
 自分ではどうにも出来ないと悟り、それ以上を摘む。
 聡明な彼女の気遣いに、『ありがとう』の言葉だけが残された。

「……大丈夫かい?」
「……正直、口惜しくはあります」
 ファインモーションの出て行った戸を見つめるエアグルーヴ。労わる声にそう答え、深く息を吐く。
「それなりの時間を、ルームメイトとして過ごしましたが……肝心な時にこの有り様です……」
「それは私も同じだよ」
 歩み寄り、肩を叩く。
「誰かの心に踏み込むなど、そうそう出来る事じゃない。血を分けた家族か、でなければ……」
 ふと巡るのは、やっぱり『彼女』の顔。
「想いそのものを繋げた、誰かだけさ」
「…………」
 エアグルーヴは答えない。誠実な彼女は、それでも友人の力になれない自身を悔いるのだろう。
「彼女は……ファインモーションは強すぎるな。彼女の力になるには、私達はまだ足りな過ぎる様だ」
 シンボリルドルフが『精進、しなければいけないな』とかけた言葉に、一瞬の躊躇もなく『はい』と頷く。
 彼女もまた、気高く強い。
 そんな盟友を誇らしく思いながら、もう一度肩を叩く。
「彼女の願いだ。コレらを、図書室に運ぼう。私も、手伝うよ」
「はい」
 それでも、引きずってしまうモノはあるのだろう。エアグルーヴの表情は、冴えないまま。ルドルフは困った様に笑う。
「そんなにしょげないでおくれ。同士がそんな調子だと、私も[[rb:どうし > ・・・]]ようもなくなってしまうよ?」
「申し訳ありません……」
 しょんぼりと、普通に返事する。
「…………」
「…………」
 非常に、不自然な間。
 『アレ?』と思い、先の会話を思い返し。
「はうぁあ!!?」
 気づいた時には、既に遅し。
「すまない……少しでも、元気をと思ったのだが……」
 先の自分に倍する勢いでションボリするシンボリルドルフにガチで焦る。
「い、いえ! 迂闊だった私が悪いのです!! って言うか、そんな感じじゃなかったのでつい……」
「すまない……空気を読まなくて、ホントにすまない……」
「か、会長〜!!!」 
 止めを刺してしまった。自己嫌悪。エや下。
 と、背後で音が鳴った。
 振り向くと、卓の上に積まれていた書籍の山が崩れていた。
「詰み方でも悪かったか……?」
 部屋の窓は閉まっていて、風も何もありはしないのに。
 それなりに古いモノ。破損などは無いだろうかと近寄ったエアグルーヴの目に止まるモノ。
 書籍の山の中に埋まっていた一冊。その1ページが開いていた。
 何度も読み返したのだろう。手垢の跡が濃く残る中、描かれていたのは一人の少女。
 頭の上に飛び出た耳。
 フサフサの尻尾。
 明らかに、ウマ娘の造形。
 真っ黒い衣装に、幾条もの鎖をぶら下げた姿。流れる様な黒髪から金の眼差しを覗かせるその様相は、何処か異質で。
 絵の下に書き示された文字を見る。

 ーー『púca』ーー。

[uploadedimage:13841983]

 恐らくは、『プーカ』と発音するのだろう。
 その異国の響きが、描き刻まれた薄笑みと共に妙にエアグルーヴの目に焼き付いた。

 ◆

「良いよ。行こう」
 会長室を出たファインモーションが、待っていたSP隊長のピッコロプレーヤーに声をかける。
 『畏まりました』と答えた彼女と歩き出そうとしたファインモーションの足が止まる。
「殿下?」
 『どうしました?』と続けようとした言葉も止まる。
 視線が向けられるのは、窓の向こう。追ってみれば、校庭で戯れる少女が二人。
 遠目でも、すぐに分かる。
 トウカイテイオーとメジロマックイーン。
 両方とも運動着な所を見ると、自主トレーニングか。はたまた『恒例』の果たし合いか。
 もっとも、親友とかライバルとか。その他諸々の深い関係にある二人。
 本人達の言い分はどうあれ、側から見てる分には仲良く戯れあってる様にしか見えなかったり。
 そんな二人の姿を、ファインモーションは見つめる。そこに、覚めない夢の片鱗を求める様に。
 視線に気づいたトウカイテイオーが、笑顔を浮かべて手を振ってくる。気づいたメジロマックイーンもまた。
 同じ様に笑顔で手を振り返す。けれど、その笑顔はやっぱり何処か儚くて。
 その横顔に、ピッコロプレーヤーは確かな痛みを感じた。

 ◆

「あ〜、行っちゃった。この頃、何か変なんだよね。ファインさま」
「……何か、お元気が無さそうでしたわね……」
 去って行くファインモーションの姿を見送ったトウカイテイオーの言葉に、メジロマックイーンも心配そうに続く。
「……もう少しで、帰っちゃうんだっけ?」
「ええ、確か今月の末だったかと……」
 『そっか』と呟き、また窓を見上げる。ソコに在った姿の残滓を追う様に。
「寂しい、のかな……? やっぱり……」
「かも、知れませんわね……」
 ファインモーションは、アイルランド王国の王族の娘。その身に絡む責任も意義も、一般人のソレとは意味も重さも違う。
 彼女に、個人としての自由は無きに等しい。
 メジロマックイーンには、朧気ながらも理解出来る。
 格も立場も異なるとは言え、彼女もまた相応の重責の後継。いつかは、定められた立場に縛り付けられる。
 この学園での生活は、その緩やかな牢獄に入るまでの泡沫の夢。
 あの日の高揚。
 かの日の喜び。
 見晴らした道の果て。
 駆け抜ける風の感触。
 全ては、いつか弾けて消える夢。
「大丈夫かな? 何か、ボクに出来る事ってないかしら?」
 隣りには、真剣に友人を心配する盟友の顔。無垢な真摯さに目を細め。

 そう。今のこの高鳴りも、また。

「ねえ、マックイーンも何か……」
 やっと自分の方を向いた顔。その頬を摘まんで引っ張る。
「イタ! イタタタタ!! ちょ、何するのさー!!!」
「友人思いなのは貴女の美徳ですし、その件について協力するのも無論やぶさかではありませんが……」
 思いっきり引っ張っていた頬をパチンと放す。飛び上がるトウカイテイオー。
「少なくとも、今の相手は私でしょう? ちゃんと此方を見て下さいな」
「わ、ワケワカンナイヨー!」
 涙目で抗議する彼女を眺め、ただ微笑む。
 そう、限りあるからこそ。
 今のこの輝きを、目一杯。

 じゃれ合う二人からちょっと離れた植え込み。ソレが、ガサガサと怪しげに蠢く。中から聞こえるのは『デュフフフフ……』等と言う、これまた擁護のしようもなく怪しげな笑い声。
「テイオーしゃんとマックイーンしゃんの青春ラヴなご関係、ゴチです! 全く、ウマ娘ちゃん達から得られるエナジーは溜まりませんなぁ。此れでまた黙示録の鐘が鳴るまで戦えるってモンですよ〜!」
 茂みの中で枝やら葉っぱやらに塗れて悶える、アグネスデジタル。どう控えめにとっても変な人だし、悪く見りゃヤバイ物の怪。と言うか、いつから居たのか。
「そりゃアナタ、ウマ娘ちゃん達の尊みの気配を感じれば例え地球の裏側からでも秒で駆け付けるのが真のファンと言うモノでしょうよ。お分かり?」
 怖いわ。ってか、メタに話しかけんな。
「まあ、ソレはソレとして……」
 顎に指を添え、小首を捻る。
「確かにファイン様のご様子は心配ですね〜。とは言え、デジたんの様な小蟲に何が出来るでもなし……。さて?」
 考えるデジたん。褐色の脳細胞が、完璧に網羅された全ウマ娘のデータを超高速で解析していく。数秒の超演算の果て、行き着いた答えは。
「やっぱ、『あの方』ですよね〜」
 結局、答えはソレしかないのだ。
「とは言え、今の状況がそもそもお二人での判断の上でしょうし。間に挟まるのは仁義教義に反する重罪ですし……」
(……あ の方 ?)
「ええ、あの方です」
(……『オベロン』、 い るの?)
「は? 何ですソレ?? ファイン様の『あの方』と言ったら、『エアシャカール』さんに決まってるじゃないですか」
(エアシャカール? ティターニア のオベ ロン ?)
「いやだから……って、まあ、ご関係としてはそう間違いでも……?」
(オベロ ンが 居るの なら、何故 あ の娘は一 人? 私 のテ ィタ ーニア)
「それが問題でして……いや待て! 『私の』って何ぞ!? イカンデスヨ!? 二人の間に挟まるなぞ! NTRなんて打ち首獄門級の重罪ぞ!!?」
(……いけ ない なぁ……)
「いや、話を聞けと!」
(本 当 に、 いけな いなぁ……)
「おいコラ待て……って、アレ?」
 我に返ったアグネスデジタルが、呆然と誰もいない周囲を見回す。
「デジたん……誰とお話してたの……???」
 季節に合わない、涼風が吹く。背筋を這い登る、ゾクリとする感覚。

 風の向こうで、微か微かに。
 鎖の音が。
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