2017年08月16日
「日本暗殺秘録」桜田門外紀尾井坂血盟団226事件千葉真一
1969年製作の東映映画「日本暗殺秘録」は危険な映画である。幕末から昭和にかけて起こった
政治的暗殺事件をオムニバス形式で描いている。
冒頭から桜田門外の変での井伊直弼暗殺のシーンから始まり、紀尾井坂の変での士族による
大久保利通暗殺、玄洋社の来島恒喜(吉田輝夫)の大隈重信爆裂弾暗殺未遂と壮絶な自決と次々に
実際に起こった事件が登場してくる。特に来島の自分の首に短刀を当てて切り落とすシーンは
異様である。
続いて星亨暗殺事件、大正時代のアナーキストギロチン社の古田大次郎(高橋長英)の小坂
事件と続く。
また吝嗇で有名な安田善次郎が神州義団の朝日兵吾(菅原文太)に暗殺された事件などが
描かれるがこの映画のコアとなるのは、昭和初期にあった井上日昭(片岡知恵蔵)の
血盟団による井上準之助元蔵相の暗殺事件である。
血盟団のわかきテロリスト小沼正に当時30歳の千葉真一が扮して見事な演技を見せている。
昭和初期は日本は大不況で倒産が相次ぎ、庶民は貧困に苦しんだ。まるで安倍政権下の
平成で非正規社員が激増した今とよく似ている。
この血盟団事件のパートでは袖の下を要求する官憲の汚さも描かれている。
いつの世も貧困と政治のゆがみはテロの温床になるのである。テロリズムは断固反対で
あるが弱者が強者に反撃する手段として古来よく使われてきた。
しかしその意図とは異なり結局は強者にうまく利用されてきたのである。
小沼の同志の藤井海軍中尉に田宮二郎が扮しているが、東映出演は珍しい。
そして映画の後半では陸軍の国家革新運動による相沢事件と226事件が取り上げられている。
相沢中佐には高倉健が青年将校のリーダー磯部浅一を鶴田浩二が演じている。
2時間22分にも及ぶ大作だが決して退屈する映画ではなく、最後まで緊迫感がみなぎっている。
映画では当時の壮士たちが好んだ「昭和維新の歌」が挿入歌として使われている。
監督は中島貞夫。脚本は「仁義なき戦い」の笠原和夫。長い間DVDになっていなかったが
ソフト化されたのはうれしいことである。
製作が1969年ということは三島由紀夫は鑑賞していたのだろうか?
小沼正は井上暗殺で無期懲役となったが昭和15年恩赦で釈放され戦後右翼の大物と
なっている。著作に「一殺多生」があり事件の顛末が語られているのだ。
政治的暗殺事件をオムニバス形式で描いている。
冒頭から桜田門外の変での井伊直弼暗殺のシーンから始まり、紀尾井坂の変での士族による
大久保利通暗殺、玄洋社の来島恒喜(吉田輝夫)の大隈重信爆裂弾暗殺未遂と壮絶な自決と次々に
実際に起こった事件が登場してくる。特に来島の自分の首に短刀を当てて切り落とすシーンは
異様である。
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続いて星亨暗殺事件、大正時代のアナーキストギロチン社の古田大次郎(高橋長英)の小坂
事件と続く。
また吝嗇で有名な安田善次郎が神州義団の朝日兵吾(菅原文太)に暗殺された事件などが
描かれるがこの映画のコアとなるのは、昭和初期にあった井上日昭(片岡知恵蔵)の
血盟団による井上準之助元蔵相の暗殺事件である。
血盟団のわかきテロリスト小沼正に当時30歳の千葉真一が扮して見事な演技を見せている。
昭和初期は日本は大不況で倒産が相次ぎ、庶民は貧困に苦しんだ。まるで安倍政権下の
平成で非正規社員が激増した今とよく似ている。
この血盟団事件のパートでは袖の下を要求する官憲の汚さも描かれている。
いつの世も貧困と政治のゆがみはテロの温床になるのである。テロリズムは断固反対で
あるが弱者が強者に反撃する手段として古来よく使われてきた。
しかしその意図とは異なり結局は強者にうまく利用されてきたのである。
小沼の同志の藤井海軍中尉に田宮二郎が扮しているが、東映出演は珍しい。
そして映画の後半では陸軍の国家革新運動による相沢事件と226事件が取り上げられている。
相沢中佐には高倉健が青年将校のリーダー磯部浅一を鶴田浩二が演じている。
2時間22分にも及ぶ大作だが決して退屈する映画ではなく、最後まで緊迫感がみなぎっている。
映画では当時の壮士たちが好んだ「昭和維新の歌」が挿入歌として使われている。
監督は中島貞夫。脚本は「仁義なき戦い」の笠原和夫。長い間DVDになっていなかったが
ソフト化されたのはうれしいことである。
製作が1969年ということは三島由紀夫は鑑賞していたのだろうか?
小沼正は井上暗殺で無期懲役となったが昭和15年恩赦で釈放され戦後右翼の大物と
なっている。著作に「一殺多生」があり事件の顛末が語られているのだ。
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