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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2022年12月30日

さよならにGOOD BYE


玉置浩二『JUNK LAND』四曲目「さよならにGOOD BYE」です。

前曲「NO GAME」アウトロから途切れなくパーカッションが続き、「デュン!デュデュン!デュン!〜」と玉置さんが歌い始めます。ギターの単音カッティングも背景でパーカッションの一部となってトゥクトゥクトゥクトゥク……とリズムを刻みます。「イエーエ!アー(裏声)」と緩いシャウトがあったかと思うと、「ズン!ズン!……ズン!ズン!ズン!」とベース、ピアノがメインリフを奏で始めます。トゥクトゥクギターとパーカッションのリズムが心地よい……すべて手作りの音ですから暖かく、ぬくもり一杯のリズムセクションです。

OH GOOD BYE!〜さよならにでしょ、とメインリフにあわせて玉置さんがリズミカル&エモーショナルの融合爆弾で歌います。そのエネルギー炸裂は凄まじく、歌詞の意味がまったくわからないのに腑に落ちる感覚すらあります。

冷静に考えますと、さよならにGOOD BYEするというのは、金輪際さよならしないことです。つまりこれまでいろいろな事由でさよならしてきたんだけど、もうしないと決心している状態なのでしょう。よほどいまの関係が心地よくてこりゃーさよならすることはもうないなあ、と思っているか、もしくは、過去にちょっとしたことで次々さよならしてきた自分の薄情さに嫌気がさして、どんなに気まずい関係でももうさよならなんかしないぜと強く誓っているか、あるいはその両方なのでしょう。

と、ここまではなんとかわかるのですが、次の歌詞はマジでわかりません。「ならこうしよう」と提案しておいて、あり?うまくいかない?「あの、もしかして」……(これってムリゲーじゃん)……(一応)「もう一回してもうやめましょか」だとは思うのですが、何をやっているのかはわかりません。リズムが変わりギターもアルペジオになるBメロでも、ムリゲーがうまくいかないからか責められたり、素直にわかりませんといったからか誉められたりと、周囲からの評価もよくわかりません。リスナーからすると完全に意味不明です。この時点では、完全にノリを最優先して意味のない歌詞でもそのまま採用したか、あるいは意図的に意味不明の歌詞にして他人にはわからないプライベート感を演出したか、のように思われます。そんなわけで、意味はまったくわからないんですが、このノリに引き込まれ、「さよならにでしょ!」と口をついて出てくるほどに心身に浸透してきます。もうこの時点で、玉置さんのリズムとメロディー、そしてことばの融合爆弾はもはや完成の域に達していることを示す一曲だといえます。余談なのですが、語尾「しょ」は北海道弁です。ですから、前曲とこの曲はわたくしにとって故郷のノリなんですよ。ですから、意味はもちろん分からないんですが、心情として何か言葉にしがたいものをわたくし受信して深層心理で理解してしまっている可能性がなくもありません(笑)。

そしてサビ、イントロと同じリズム、メロディーで「ジャズなんでしょ ズジャでもいいんでしょ」と極めつけにわけのわからんことが歌われ、いやよくねえよ!というツッコミがフロイトのいう深層心理からほとばしり出るほどの衝撃を受けます。な、なんという感覚だ!こんな心の深いところから全力でツッコミたくなったことはこれまでの人生にはなかった!エロい衝動と同じレベルで心が揺さぶられるって、とんでもないことです。

ちなみに、たしかに80-90年代におもにテレビ業界には逆でいう文化があり、それが外界に漏れ聞こえてくることはあったのです。寿司のことを「シースー」、女のことを「ナオン」、銀座が「ザギン」に六本木が「ギロッポン」、もうあとは忘れましたが(笑)、まあダサいダサい、バカなんじゃないのって感じの業界用語たちでした。逆にいう意味はとくになくて、せいぜい非テレビ業界の人にわかりにくい暗号のような言葉を使うことで自分がそのコミュニティの一員であることを確認して安心していたとかそれで業界人ヅラして優越感に浸りたかったとか、そういうロクでもない意味しかなかったように思います。テレビに出まくっていたころの玉置さんもそのような世界を目の当たりにして、一時期ハマったことがあったのかもしれません。でもまあ、嫌気がさしたんでしょうね。なにしろ本質は才能のサもない人たちがメディアの力を使って才能ある人を束になって食い物にする世界のこと、食われる側がイヤになるのは当然です。「意味はないんでしょ」という喝破にすべてが表されているように思われます。

ジャンケンポン!もちろん勝ち負けはやってみなければわかりませんが、勝ちか負けか引き分けかの三通りに絞られます。ジャンケンなんかしなければ何通りあったかわからないその無限の可能性があった瞬間の選択に、強烈な制限が課せられるわけです。「ほら負けちゃうでしょ」はもちろん「勝ったでしょ」、「引き分けでしょ」の場合もあるわけですが、その三通りしかないのです。白黒つける、だとさらに制限がきつく、二通りになってしまいます。なぜみんなわざわざ制限を課すのか?それは無秩序に耐えられないというわたしたちの心性にその原因がありそうですが、玉置さんからすればその秩序のほうがくだらなくて耐えられないほど退屈なものなのだと歌われているように思われます。勝ち負けを決めないとガマンできない人たち、それをくだらねえなあと思う人たち、そこに結ばれる関係は「異常な関係」であって、「さよならにGOOD BYE」くらいわけのわからない関係なのだ……あ、これはけっこうありそうな解釈だな(笑)。じゃあ、これを試金石にして二番で検証してみましょう。

「さよならにGOOD BYE」と一番が終わったあと間があって、この曲ではごく少ないスネアの連打が鳴り響き、「デュン!デュデュン!デュン!〜」と玉置さんが歌い二番が始まります。前曲もそうなんですが、曲全体で多用されている玉置さんのダブルボーカルはものすごく厚みがあって、それだけで完成した曲として通用してしまいそうです。

さよならでしょ、そうしたんでしょ、GOOD BYEじゃないんでしょ……やはり意味が分からん(笑)。もしかして「さよなら」が今生の別れなみに重い別れで、「GOOD BYE」のほうは「またねー」くらいの軽い別れなのかもしれません。ですからここは軽い別れでなくて重い別れをしたということになるのかもしれません。すると、「さよならにGOOD BYE」とは、重い別れをしたんだけど、それを軽く扱うということを意味しているのかもしれません。今生の別れなんだけどあえて軽く言っているとか……お葬式で棺を占めるときに「バイビー」とかいうくらいの……うわあ、なんかすげえ歌だったのかもしれません!(笑)。ムリヤリ解釈をつなぎ合わせると、めちゃくちゃヘビーなことが起こりまくっているのに、それを軽く扱う業界人などの態度、もしかしたら現代人一般のライフスタイルに嫌気がさしている、ということなのかもしれません。ジャンケンなんかで選択肢絞っている場合か!なあ、冗談だろその態度?わかってんのかお前ら!というシリアスな怒りがこの曲には込められていた(のかもしれません)!わたくしもう二番で検証するなんてどうでもよくなっていますが(笑)、どうせ人を「一般人」呼ばわりして自分たちはそうじゃないと確信して「ザギンでシースー」などとほざいていた人たちのことですから、そんな扱いでテキトーに煙に巻いとけばいいように思います。

Bメロ「たまりません〜なんでどうだか〜」とこれも浸透力抜群でありつつよくわからない歌詞、そんな世界の中でも人は慕ってきたり嫌ってきたりします。そりゃ人間ですから当然でしょう。どんなに心がけの悪い業界にあっても感覚が狂うだけで人間が人間でなくなるわけではありません。だからこそ人は苦悩するのでしょう。

サビに入り、「ジャムがいいんでしょ バターじゃ嫌でしょ」と、パンでも食ってるのかと思われる描写が登場します。ジャムというのは音楽の世界では即興で合奏することを言うのですが、直近に「ジャズなんでしょ」と音楽の話をしていたんですから当然この「ジャム」も音楽のジャムだと思われるわけなんです。そこにとつぜん「バター」が挿入され、音楽の話じゃなかったのかい!まったくいい加減だな!プンプン!という頭がグラグラさせられる感覚に陥ります。「嫌なんでしょ でも大好きでしょ」と相反する感情が吐露され、業界のいい加減さに嫌気がさしているけどもそこにいる人間には当然に情を覚える……ズジャでもいいと思っている人は、あたりまえにジャズ好きからはまともに相手にされません。真剣みがないことが明らかだからです。「やっぱレーコル(コルトレーン)のサークソ(サックス)はサイコーだよね」とか言っている人がいたらバカだと誰もが思うでしょう。才能や実力のない人が才能や実力ある人を使って商売する異常な世界なんですから、こんな倒錯も起こるのかもしれません。玉置さんはその溢れんばかりの才能で無数の選択肢をもっているのに、それを使う側は売れ筋のパターンしか使いたくない、だからジャンケンポンなどと乱暴なことを平気でいうのですが、玉置さんはそれも笑い飛ばすかのように「ほら勝ったでしょ(そりゃそうだジャンケンなんだから勝つか負けるか引き分けるかの三パターンしかないんだよ)」と歌います。ほんとは冗談なんだろ?売れ筋だから売ろうとして言っているだけで、まさか音楽がこんなに不自由なものだと本気で思っているわけじゃないんだろ?「さよなら」という重い重い決断を「GOOD BYE」って軽い言葉で表現しているのは、あえてそうしているだけなんだろ?まさか……本気でそんなに軽く見てるのか?

「音楽をやる場所として東京にいつづけるのは、もう無理」(『幸せになるために生まれてきたんだから』より)と判断して玉置さんはこの後東京を離れます。CAFE JAPANの裏側に位置するガラクタだらけゴミだらけの街JUNK LAND東京、そこはゴミをゴミと思わずに、ガラクタをガラクタだとわからない人たちの街で、ジャズをズジャでもいいと冒涜する人たちに囲まれて暮らす生活に疲れてしまったのでしょう。『LOVE SONG BLUE』で一流ミュージシャンたちの力を借りた玉置さん、人と物が集まる東京の強みを生かしたものの、結局は『CAFE JAPAN』『JUNK LAND』でほぼ一人、せいぜい安藤さん須藤さんと作業するくらいの少人数でレコーディングに臨むだけになります。それ東京にいる意味ないじゃんとお思いになるのは当然です。現代ではDTMでそれを実現している人が多いのですが、玉置さんはなんと90年代にすでにそれと同じ発想をもっていたことがうかがえますね。なんという先進性!安藤さんというパートナーを得た玉置さんが、すでにジャンクランド脱出を決心していたことをうかがわせる曲だといえます。

不協和音のピアノフレーズに、パーカッション、「デュン……デュデュン……」と玉置さんの歌もナチュラルにフェイドアウトしていきます。東京にさよなら、でもさよならなんて言ってやらねえよ、GOOD BYEでたくさんだろ、なんて意地悪な意味はないと思いますです、はい。

さて、2022年はこれで更新を終えようと思います。数えてみましたが、今年は60記事書くことができたようです。がんばりました。これもひとえにいろいろな形で支えてくださるみなさんのおかげです。2023年もどうぞよろしくお願いいたします!

JUNK LAND [ 玉置浩二 ]

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posted by toba2016 at 16:05| Comment(0) | TrackBack(0) | JUNK LAND