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2018年10月18日

上院議員選挙2018其の2(十月十四日)



 今回の上院議員選挙の二回目の投票で、全国的にもっとも注目を集めたのは、ボヘミアの北東の端、ポーランドとの国境に位置するナーホット選挙区だろう。ここでは、キリスト教民主同盟の党首で、来年の党大会で党首選に再度出馬するかどうかが注目されているビェロブラーデク氏が、市民民主党の候補で元警察の高官のチェルビーチェク氏と対戦した。
 第一回目の投票では、わずか58表の差でビェロブラーデク氏が勝っているのだが、二回目ではチェルビーチェク氏が逆転して2000票以上の差をつけて当選した。ビェロブラーデク氏が一回目の投票から得票を大きく減らしたのに対して、チェルビーチェク氏は投票率が大きく下がったにもかかわらず票を伸ばしている。これについてビェロブラーデク氏は、天気がよかったから一回目で投票してくれた人が、選挙よりも家族で遊びに行くことを選んだ結果だろうと負け惜しみを残していた。
 ビェロブラーデク氏は、開票作業が始まる前に次の党大会では党首選には出馬しないことを表明しているが、これは今回の選挙の結果で出馬する、しないを決めたのではないことをはっきりさせるためだと語っていた。同時に投票前に表明しなかったのは、この決断が選挙の結果に影響を与えないようにという意図があるのだという。そして、落選が決まった後は、今後は党首ではなく一下院議員として政治活動を続けていくと宣言していた。

 そこで首をひねった方、その疑問は正しい。チェコでは現職の下院議員が、辞職することなく上院議員の選挙に立候補することが認められているのだ。落選した場合にはそのまま下院議員を務め、当選した場合には、下院議員と上院議員のどちらかを選ぶことになる。下院議員を選ぶと上院の選挙をやり直すことになるから、原則として上院議員を選ぶことになるとは思うけど。落ちても議員ではあり続けるというのも、ビェロブラーデク氏の支持者が投票に向かわなかった理由の一つになっているはずである。
 去年の下院の選挙では逆の事例が発生していた。ANOの上院議員が下院の選挙に立候補し当選したのである。下院の場合には比例代表制で名簿の次の人が繰り上がるだけだから、辞職というか当選を辞退しても何の問題もないはずなのだが、この人は上院議員を辞任して下院議員に就任した。それで終わればよかったのだけど、やっぱりと考えを変えて、下院議員をすぐに辞任して、自分が辞任した結果行なわれることになった上院の補欠選挙に立候補して落選するという落ちが付いた。

 次の注目の選挙区は、ダライラマの扱いを巡ってゼマン大統領ともめた、キリスト教民主同盟の元文化大臣ヘルマン氏が、市民民主党の党員で市長連合などの推薦も得たテツル氏と対戦した東ボヘミアのフルディム選挙区である。ここも一回目の投票では僅差で150票ほどの差でテツル氏が一位で二回戦に進出している。二回戦では、一回目から票を伸ばせなかったヘルマン氏に対して、落選が決まった候補の票を集めることに成功したテツル氏が倍近くまで票を伸ばして圧勝した。
 ゼマン大統領ともめたから落選したというつもりはないが、文化大臣の時代にダライラマの処遇も含めて宗教との、より具体的にはカトリックとの密接なつながりを強調していたのが、フス派の末裔たるチェコの有権者に嫌われたのではないかと想像したいところである。チェコ人、基本的には宗教には無関心だけど、カトリックの強欲さには辟易しているところがあるからなあ。共産党時代の損害のカトリック教会に対する補償とか、やりすぎという印象を与えたし。

 もう一つの注目は、上院の選挙の結果よりは、その後の進退なのだけど、テプリツェ選挙区である。ここでは市民民主党の所属で上院の副議長を務めるクベラ氏が危なげなく当選を決めたのだが、この人1994年から24年以上にわたってテプリツェの市長も務めているのである。長きにわたって二足のわらじを履き続けてきたクベラ氏が、同時に行なわれたテプリツェ市議会の選挙でも当選しているが、今回は市長にはならないと宣言した。
 長きの兼職に罪悪感を感じたとかそんな殊勝な話ではなく、今回市民民主党が上院で最大の会派になる可能性がかなり高く、その場合の議長職を狙ってのことのようだ。これが自分にとって最後の選挙だから、名誉極まりない議長に就任できるならなんだってやるみたいなことを言っていたかな。議長と市長の兼職は批判されかねないということだろうか。

 去年の下院の選挙ではANOが圧倒し、最近の世論調査でもANOの支持率が圧倒的に高いのに上院の選挙でANOが、惨敗したのを不思議がったり、ANOの支持にかげりが出たと喜ぶ向きもあるけれども、それは早計というものである。投票率、特に平均でも16パーセントほどに過ぎない二回目の投票率を考えると、回答者が1000人以下ということもある各種世論調査よりも、有権者の全体的な動向を探る指標としては当てにならない。アンケートは、数は少なくとも、対象が社会の一部の層に偏らないように配慮しているのに対して、上院の二回目の選挙に赴くのは、政治意識の高い一部の人々に限られているのだから。

 では今回、世論調査の結果とは裏腹にANOが勝てなかった理由を考えてみると、一つにはANOへの支持が、積極的な、ANOでなければというものではなく、他と比べればまだましだという消極的なものの場合が多いのではないかということが考えられる。消極的な支持の人が、わざわざ週末をつぶしてANOの候補を勝たせるために上院の選挙に足を運ぶとは思えない。またANOの支持者の多くが上院を軽視しているという可能性も考えられるか。
 政党よりも個々の候補者の人気が重要になる上院の選挙では、ANOのバビシュ氏とその他という感じの組織の構造が不利に働いている面もあろう。オカムラ党も同じ問題を抱えていて、上院の選挙で当選できそうなのは党首のオカムラ氏本人しかいない。ANOの場合にはもう少し人材に恵まれているけれども、多くはすでに下院議員になっているから、候補者として立てにくかったのだろう。
 もう一つは、現在の政治、政府に不満がない人よりも、不満がある人の方が、上院の選挙に足を運ぶことが多いという事情が考えられる。ANOの当選者が少なくなればバビシュ政権が好き勝手で切る余地が減るわけだから、反バビシュの人たちがANOの候補者の当選を防ぐというのをモチベーションに投票に向かったというのは納得のいく考えである。以前も上院の選挙では野党が勝つという傾向が見られたし。

 ところで、今回の市町村議会選挙と上院議員の選挙を通じて、社会民主党の凋落が止まらないことが明らかになった。責任をとって執行部の交代ということにでもなれば、ANOとの連立にも影響を与えるはずである。すでに任命されたかどうか覚えていないけど、ゼマン大統領が拒否したポヘ氏に代わる外務大臣も決まったというのに、前途多難である。見ている分には、時に理解不能なことが起こるのを除けば、楽しいのだけど、チェコ国民にとっては嬉しいことではあるまい。
 長々と書いてしまった選挙の話はここでひとまずお仕舞い。
2018年10月14日23時55分。









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