2017年10月20日
ヤロリーム監督留任(十月十七日)
昨年の夏にロシアに逃げ出したブルバ監督の跡を襲って急遽代表監督に就任したものの、残念ながらチェコ代表をワールドカップに出場させることができなかったヤロリーム監督の留任が決定した。一応2020年まで契約を延長することになったようだが、協会側からこれだけの成績を収めろという課題が出され、それをこなせなかった場合には途中で契約解除になる可能性もあるらしい。ただし、現在は助成金の問題で辞任を余儀なくされたペルタ氏の後任が決まっていない状態なので、新しい会長以下の執行部が決まってから、監督に課す条件が決められることになるという。
ロシアワールドカップの予選で、ヨーロッパのグループCに振り分けられたチェコと同組に入ったのは、現在世界最強チームのドイツ(ブリュックネル時代の2004年を思い出すと隔世の感がある)、北アイルランド、アゼルバイジャン、ノルウェー、サンマリノの五カ国。ドイツが頭いくつも抜けているのは当然として、このグループであれば2位には入れると思ったし、2位を争う相手はノルウェーだろうと思ったのだけど、伏兵の北アイルランドに負けてしまった。
結果はドイツが10戦全勝で勝ち点30、2位の北アイルランドが6勝1分3敗で勝ち点19。チェコが4勝3分3敗で勝ち点15だから、引き分けた3試合を勝ちきれなかったのが、敗退の原因だということになる。それに、ドイツ相手の2敗はしかたがないにしても、ライバルの北アイルランド相手に1分1敗では、2位になれなかったのも道理である。
総得点数は、北アイルランドも、チェコも、グループ4位だったノルウェーも17で並んでいるのだけど、チェコの場合には、サンマリノ相手の2試合で合計11点も取っているので、残りの8試合では6点しか取れていないのである。点が取れないどころか攻撃が形になっていない試合もあって、ブリュックネル退任直後の最悪の時期を思い出せられた。親善試合ではいい試合をしながら、大事な予選の試合ではぼろぼろというのもあの頃はよくあったしさ。
以下念のために予選での足取りを簡単に振り返っておく。
2016年9月4日
チェコ 0 − 0 北アイルランド
プラハのレトナーのスパルタの本拠地で行なわれたこの試合で、優勢に試合を進めていながら、いくつかあったチャンスを決めきれずに勝てなかった、直前のアルメニアとの親善試合でいい感じだっただけに、残念だった。ただこの試合の直後は初戦としては悪くなかったという感想が多かっただろうか。後から考えれば、この試合の結果がを引いて、勝ちぬけられなかったということになる。
2016年10月8日
ドイツ 3 − 0 チェコ
この試合に負けることは計算に入っていたはずである。問題は試合内容で、最初と最後の数分ずつを除けば、防戦一方だった。よくぞ3点で済んだなあと思ったはずである。この試合で、ロシアでプレーしていてほぼ忘れられた存在になっていたドロパが、代表デビューを果たしたのだが、この時点では、目配りが行き届いていると言う評価で特に批判の対象にはなっていなかったはずである。
2016年10月4日
チェコ 0 − 0 アゼルバイジャン
この引き分けも痛かった。ボールは持ててもチャンスはほとんど作れず、3試合連続でゴールなしという信じられないような結果になってしまった。本来守備の柱としてキャプテンに任命されていたスヒーがこの試合から控えにまわって、超ベテランのシボクが復帰した。これを見た時点で、この予選は駄目かもと思ってしまった。監督の話ではドイツ戦のプレーが駄目だったからと言うのだが、あの試合は誰が出ていても同じ結果になっだだろうに。
2016年11月11日
チェコ 2 − 1 ノルウェー
ようやく点が取れた試合。得点者はプルゼニュのクルメンチークとスラビアのズムルハル。ヤロリーム監督の新戦力発掘がようやく実を結び始めたと言ってもよさそうだ。今回の予選期間中もっとも期待が高まったのがこの試合の後だった。はかない期待だったけど。
2017年3月26日
サンマリノ 0 − 6 チェコ
チェコ代表のよくないときの特徴として、強い相手からはほとんど点が取れないのに、弱い相手と試合をすると大量得点を挙げてしまうというのがあるのだけど、今回の予選もその通りになった。得点者はスラビアのバラークと、ダリダが2点ずつ、それにクルメンチークとゲブレセラシエ。
2017年6月10日
ノルウェー 1 − 1 チェコ
前半はゲブレセラシエのゴールも決まったし、悪くなかったんだけどねえ。後半にすべてがぶち壊しになってしまった。ドイツ戦の結果なんか無視してスヒーを守備の中心に据えておけば、そうでなければ若手のブラベツとカラスを育てるために使っていれば、この結果からも多少の希望は見えたのだろうけど……。この試合の結果で事実上チェコがロシアのワールドカップに出場する望みは消えた。
2016年9月1日
チェコ 1 − 2 ドイツ
よく頑張った。一年前にこんな試合ができていれば、予選勝ち抜けたかもしれないのだけど……。ただし、いい試合を続けられないのも今のチェコ代表の特徴で……。ゴールを決めたダリダのシュートは素晴らしかった。
2017年9月4日
北アイルランド 2 − 0 チェコ
引き分けでいい北アイルランドにボールを持たされて、ミスからカウンターで失点というパターンで敗戦。ボールは持ててもそれがほとんどチャンスにつながらなかった。最終的に敗退が決まったのはこの試合だけど、仮に勝てていたとしてもチェコがグループ2位に入るのは難しかっただろう。北アイルランドが最終戦でノルウェーに負けたのは、プレーオフ進出がほぼ決まっていたからだろうしさ。
2017年10月5日
アゼルバイジャン 1 − 2 チェコ
空しい勝利である。たしか、2014年のブラジルワールドカップの予選でも、2010年の南アフリカワールドカップの予選でも、敗退がほぼ決まってから監督が交代し、暫定監督の下で連勝したってことがなかったか。歴史は繰り返すのである。監督が変わらなかったことだけが違うのである。ちなみに得点者はコピツとイタリアに移籍して怪我から復帰したバラーク。
2017年10月8日
チェコ 5 − 0 サンマリノ
クルメンチークが2点、あとはコピツと、これまでチャンスを決めきれずにいたノバーク、召集されたのが不思議なスパルタのV.カドレツ。
以上十試合の結果を受けて、サンマリノとの試合が終わった直後には、協会の運営委員会か何かの決定で続投の方針が決められたようだった。それに対して協会の黒幕として批判されることの多いベルブル氏が、ヤロリーム監督の采配を強烈に批判したことで雲行きが怪しくなった。特に、選手の選考において、選手たちの代理人の意向を受けている部分があるとの批判には、ヤロリーム監督も我慢できなかったようで、強く反論していた。ドロパを引っ張り出してきたあたりを念頭においての発言なのだろう。ドロパが万人を満足させるようなプレーをしていればこんな批判も出なかったのだろうけど。
その後改めて、協会側と監督側で話し合いが持たれ、冒頭に書いたような条件で続投することが決まった。協会側は監督の給料を引き下げたがっているという話もあったから、ベルブル氏の批判はその交渉の一環だったのかもしれない。月額60万コルナという代表監督の報酬は、大統領と総理大臣の月給を合わせたよりも高いらしいけれども、世界的に見ればそう驚くほどのものでもない。
新しい選手を発掘するのに長けているという長所は、選手を入れ替えすぎるという弱点にもつながる。その辺をうまく整合させて、次のヨーロッパ選手権には、出場国が増えて勝ちぬけがかなり楽になったことだし、何とか出場してもらいたいものだ。
まあ、それよりも何よりも、チェコのサッカー協会は、会長を選出しなければならないのだけどね。一体いつのことになるのやら。
2017年10月18日13時。
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