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2017年05月28日

エーポイシュチェニー・リガ最終節の前に(五月廿五日)



 去年の七月に始まったサッカーのリーグもいよいよ今週末で終了である。チェコでは一部リーグの試合は、金曜日から日曜日の三日に分散して開催され(場合によっては月曜日も)、毎日一試合はテレビで放送されるのだが、最後の二節だけは、同じ日、同じ時間に開催されることになっている。よその会場の結果を見て試合結果を操作するなんてことができないようになのだろう。年によっては、最後の二節の前に優勝も、降格も決まってしまっていることがあるけれども、今年は優勝争いが最終節までもつれ込んだ。

 ここまでの状況を簡単に整理しておくと、チェコサッカーの一部リーグは全部で16チーム、計30節で優勝を争う。先週末の29節で、プシーブラムが、イフラバと引き分け、15位のフラデツ・クラーロベーがスパルタに負けたために、この2チームの降格が決定した。フラデツの勝ち点は24で、イフラバが27だから、最終節に追いつく可能性はあるのだが、直接対決でイフラバの方が成績がいいのでこの時点で決定である。
 優勝争いも29節で決定する可能性があった。スラビアが勝ち点63、プルゼニュが61で、差は2、直接対決ではスラビアが上なので、スラビアが勝って、プルゼニュが引き分け以下ならスラビアのほぼ十年ぶりの優勝が決まるところだったのだが、ブルノでの試合で、後半終了間際にクルメンチークのゴールが決まって1-0でプルゼニュが勝ったために、優勝争いが最終節まで持ち越されたのである。スラビアもムラダー・ボレスラフでの試合で2−1で勝ったものの、試合終盤は同点に追いつかれかねないシーンがあったようだ。

 シーズン終了が近づくにつれて、久しぶりの優勝争いで経験者のほとんどいないスラビアは、以前の好調時の強さが影を潜めてしまっている。プルゼニュも春のシーズンは全く調子が上がらず、ぎりぎりで勝ったり、引き分けに持ち込んだりで、優勝争いから脱落しないのがやっとの状態である。チェコのスポーツ紙など、どちらも優勝したがっていないようだなんてことを書いている。
 とはいえ、どちらかが優勝しなければいけないのである。条件は、プルゼニュは勝利以外になく、スラビアは引き分け以上で優勝が決まる。プルゼニュが勝てなかった場合にはスラビアの優勝である。状況はスラビア有利なのだけど、どうなるだろうか。

 ところで、最終節のスラビア−ブルノの試合は、スラビアがホームなのに、エデンのスタジアムでは行なわれないのである。何でも誰ぞのコンサートが行なわれるために、サッカーには使えないらしい。さすが中華スラビアというべきなのか、中国企業に買収される前の決定なのか、わからないけれども、去年の時点では、今年の最終節に優勝争いをしているとは予想できなかったのだろう。そのため、会場は以前使っていたストラホフの陸上競技場である。バニアク様の神業でアヤックスを粉砕してチャンピオンズリーグ進出を決めた会場という意味では縁起はいいのだけど……。
 プルゼニュはホームでイフラバとの試合。イフラバは前節に残留を決めてほっとしたところだから、プルゼニュにとってはありがたい相手だといえそうである。これがプルゼニュにもまだチャンスがあるという根拠になる。

 3位はスパルタで確定。このシーズンは監督交代で味噌をつけた感がある。秋の英雄ホロウベクのままで行けばよかったのに、代役がよりによってラダだもんな。来季の監督としては、イタリア人のストラマッチョーニ監督を招聘することが決まっている。インテルやウディネーゼでの監督経験があるというので、結構大物なのかな。

 ヨーロッパリーグ予選の出場権がかかる4位争いも2チームに可能性が残っている。現在リーグで最も調子のいいテプリツェが、ムラダー・ボレスラフとの差を勝ち点1にまでつめているのだ。テプリツェの相手はドゥクラ・プラハ、ボレスラフはリベレツでの試合である。秋は病人怪我人でぼろぼろだったリベレツが最近調子を挙げているように見えることを考えると、テプリツェが有利かなあ。
 ボレスラフはヨーロッパリーグに出ても、どうせ予選を勝ち抜けないから、テプリツェが4位に入ってくれた方が、期待が持てる気がする。ボレスラフと、ヤブロネツは予選を勝ち抜く姿が想像できない。

 6位は春に入ってどん底のズリーンだが、オロモウツで行なわれたモル・カップの決勝でオパバを破って優勝を決めている。しかも、ヨーロッパリーグの決勝で、マンチェスターのUがつくほうのチームが優勝して、チャンピオンズリーグ出場を決めてくれたおかげで、予選なしてヨーロッパリーグの本戦に出場することが決まった。
 ズリーンのGMを務める元代表のグリゲラとしては、ヨーロッパカップの決勝でかつてプレーしたアヤックスを応援するか、マンチェスターを応援するか複雑だっただろう。本戦出場が決まったおかげで、7000万コルナほどクラブに入ってくるようなので、予算倍増に近いらしい。問題は春の不調を立て直せなかった監督をどうするかになる。噂では二部のズノイモから、ラディム・クチェラをつれてくるとも言うのだけど、グリゲラ本人がやるって手はないのかね。

 7位のドゥクラ以下は、特筆することはない。この期に及んで順位が一つ二つ上下したところで、シーズンの評価は変わらないだろうし。個人的には10位にまで落ちてきたカルビナーに勝って順位を上げてほしいと思うけれども、昇格したばかりのシーズンであることとチームの規模を考えたら、残留を果たしただけでも御の字である。

 二部から昇格してくるチームは、一つはオロモウツで決まり。もう一つの座をバニーク・オストラバとオパバのシレジアの二チームが争うことになる。二部の最終説は日曜日の開催である。バニークはホームでズノイモと、オパバはこの前、モル・カップの決勝でオロモウツに来たばかりオロモウツにやってくる。
 勝ち点差は1だけど、直接対決ではバニークの方が上なので、オパバは絶対に勝たなければならない。オパバのファンがオロモウツで暴れないことを祈っておこう。最近はコンサートなどの入場の際には、飛行機搭乗のときとあまり変わらないような荷物検査が行なわれている。サッカーにも導入することを検討してほしい。スタジアムで発煙筒がたかれ、爆竹がグラウンドに投げ込まれて試合が中断するのは、もう見たくない。
 ライトラル、ビストロニュがプレーしたことを考えると、バニークの昇格が望まれるのだろうけど、ファンの愚行のひどさを考えると、オパバを応援したくもなる。

 一部リークの優勝は、とりあえずどっちでもいいや。来季はプルゼニュにブルバ監督が帰ってくるので、スパルタのイタリア人監督ともどもお手並み拝見というところである。
5月26日22時。




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