2021年04月01日
国勢調査(三月廿九日)
土曜日の午前0時から始まったオンラインでの国勢調査は、10時間以上も回答を始められない状態が続き、技術的な問題だけでなく、渋滞も解消されて完全に問題なく回答できるようになったのは、日曜日になってからだと考えていいようだ。一日で初期不良を何とか解決できたのは、チェコにおけるデジタル化、オンライン化の流れの中では、比較的早かったといいたくなる。十年以上前の話だけど、自動車の登録システムの場合には、稼動に至るまでに何度も延期され、ようやく稼動したかと思ったら問題続出で、解決までに半年ぐらいかかったような記憶がある。
統計局もシステムが安定して稼動するかどうかに不安があるのか、オンラインでの回答期限を5月11日までと、一ヶ月延長した。当初の回答期間が、4月9日までと二週間ぐらいしか設定されていなかったから、延長期間のほうが長いという本末転倒ぶりである。それによって回答する人が同じ時間に集中しないようにということなのだろうけど、チェコ人なんて、スーパー何かの開店の際に行列を作ってまでできるだけ早く入ろうとする人たちが多いのだか、国勢調査でも開始直後に多くの人が殺到するのは予想できたと思うのだけどなあ。
うちのは日曜日の午後に回答したようだが、10分ほどで問題なく終えていたから、この時点で、ほぼ問題は解消されていたと考えてよさそうだ。ニュースでは土日だけで、全人口の十分の一、百万人ほどの人がオンラインで回答を済ませたと言っていた。それだけ、最初に済ませてしまいたいと考えた人が多かったということだろうし、初日の駄目っぷりを考えるとこれだけの人が回答を済ませられたのは意外でもある。
もちろん、チェコに居住する外国人として回答の義務があるので、今日うちのの指導の下、回答してみた。質問もあまり読まないまま、指示にしたがって答えていったので、細かい質問は覚えていないのだが、前回紙で回答したときよりは質問の数が減っていて、妙に偏っているような印象を受けた。特に前半は住まいのことについての質問がいくつも並んでいた。今後の住宅開発の参考にするのだろうか。
調査の目的の一つに、住民登録しているのとは違う住所に住んでいる人の数を把握して、より実態に近い人口を明らかにするというのもあるようだが、それには時期が悪いのではないかという疑念も残る。現在感染症対策の規制で、実家に戻っている学生が多く、本来であればオロモウツ在住で回答する学生が実家在住で回答した結果、オロモウツの人口が減る可能性もある。寮済みの学生は最初から実家で回答する可能性もあるけど。
回答をしていて、住所や、職種などを記入するところで、全部入力しなくても、ある程度入れると候補が限定されて、その中から選択できるというのは、オンラインならではの機能で回答を楽にすることが目的なのだろう。住所のほうは、通り名と建物の番号を入れると、町の名前まで入った候補が出てくる。ほかの町にも同じ名前の通りがあるのは知っていたけれども、こうして並んでいるのを見ると改めて実感がわく。
日本人的な感覚では、具体的な住所から町を確定するというのがちょっと落ち着かず、選ぶときに間違えるのではないかと不安だった。地方などの大きい地名から順番に小さいほうに選択していくほうが、間違いが少なくなるんじゃないかと考えるのは、日本的な住所表記になれているからだろうか。チェコもまあ通りの中での番号だけを先に書くようなことはしないから、アメリカ式の住所表記に比べればまだ対応しやすいのだけど。
一つだけ覚えている質問を挙げておくと、宗教を信じているかというものがあった。自分の考えの中に神道的なもの、仏教的なものがあるのは自覚しているが、直接信者かと聞かれて、そうだと答えるほどではない。日本の国勢調査でも直接具体的に仏教、神道の信者かどうかを問えば、日本の信者数が2億人なんておかしなことにはならないと思うのだけど、記名の調査だし、プライバシー云々でやっていないのだろうか。
ちなみチェコで最近増えているのが、この国勢調査の信仰する宗教に関する質問に、「ジェダイ教」と答える人だという。現実の宗教に絶望した人たちが、映画の中に救いを求めたのか、集団的な冗談なのかはわからないけど、ツィムルマンのことを考えたら後者かなあ。2011年の調査では1万5千人ほどの人が「ジェダイ教」の信者だと答えたらしい。そのうちカトリックを超えると面白いのだけどね。
2021年3月30日11時。
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