2020年11月04日
墓参りの日(十一月朔日)
日本でお墓参りというと春秋のお彼岸の時期、夏のお盆の時期にするものだが、チェコでは、十一月の初めがお墓参りの季節である。これは、馬鹿どもが馬鹿騒ぎをする日として日本でも定着しつつあるらしいハロウィンと起源を共通にしているのだろう。ただし、チェコではハロウィンはそれほど定着していないので、12月5日のミクラーシュの日とは違って、騒ぎに巻き込まれるようなことはない。プラハでは知らんけど。
ところで、チェコではプリムラ前厚生大臣が退任前の最後っ屁として導入した規制の適用が始まっている。そのうちの一つは深夜の外出禁止で、夜9時以降、朝5時までは例外を除いて家を出ることが禁止された。例外は仕事の行き帰りと病院に行く場合、それに犬の散歩ということになっている。犬の散歩だけは自宅から500メートル以内の範囲に限るという制限がついているが、夜中に犬の散歩なんて必要な人がいるのかね。
すでに、ニュースでは、犬のぬいぐるみを小さな台車に乗せて紐で引きずりながら歩いていた人が、警戒中の警察に止められて、犬の散歩中だと主張する様子が流されている。そのせいか、警察では、通勤、もしくは仕事帰りというのもそのまま信用はできないということで、外出禁止の時間帯に通勤のために外に出なければならない人には、会社などの雇用主に証明書を出してもらうよう求めているようである。
もう一つの規制の強化は、スーパーマーケットなどの現在でも例外的に営業が許可されている店の、日曜日の営業禁止である。例外的に薬局とガソリンスタンドの売店、駅やバスターミナルなどの売店だけは営業が許可されている。日曜日の営業禁止は、他の規制と同様、人々の外出の機会を減らし、家族以外との接触を減らすことを目的としているという。
しかしこの規制は発表された時点で、その効果が危ぶまれていた。チェコは共稼ぎの家庭が多く、週末にまとめて大きな買い物をするために、郊外の大規模ショッピングセンターに入っているスーパーに買出しに出かける人が多い。その週末の買い物客が、土曜日に集中することで、店内の混雑が激しくなることが予想されたのである。一応、単位面積当たり何人までの入店を認めるという規制はあるが、すべての店で対応できるとも思えない。
店内が混雑するということは、同じ空間の中にいる人の数が増え、他人と同じ空間の中にいる時間も長くなるということで、これはこれまでの感染症対策に逆行するのではないかという批判の声が上がった。ただでさえ、日々の営業時間も、閉店時間を早めることが求められているため、短縮されているのである。つまり時間当たりの買い物客の数が増えているわけである。
そんな中、規制が始まって最初の土曜日は、予想通り各地のスーパーマーケットは混雑していたようだ。ただ、もともと週末の二日間のうち、土曜日の方が買い物客が多いのだが、その普段の土曜日よりも多少多いぐらいですんだという。一つには、ショッピングセンターに入っているほかのお店が軒並み、Eショップで買ったものの受け取り窓口以外は閉店しており、買い物の間子供を遊ばせておくコーナーや、フードコートも閉鎖中なので、暇つぶしに出かける客が減り、買い物が必要な客も滞在時間が短くなっているからだろう。
それでも、流行の拡大を防ぐという観点から言えば、一時に入店する客の数が増えすぎないほうが望ましいわけで、そう考えると、日曜日の閉店を強制するよりは、スロバキアでは確か再度導入されているはずのお年寄り専用営業時間を設けたほうがましじゃないかとも思う。チェコの場合には、他の国とは違って当のお年寄りたちがこの制度に不満をぶちまけていたから再導入は難しいのだろうけど。
そして話は冒頭の墓参りに戻る。チェコの墓参りの日は、本来11月2日なのだが、今年は月曜日のため、政府の慫慂もあって、その前日の日曜日に、つまり今日墓参りに行く人が多かった。墓地の近くには、墓参りの際には献じるお花や、蝋燭を売る店が出るのが普通である。今年は、本来であれば規制の対象となって営業できないはずなのだが、政府が例外を認めて営業していた。ただ、お墓参り用品は形だけ他の商品ばかりという売店もあったみたいだけど。流石チェコである。
2020年10月2日22時。
日曜日の方が時間の都合がつきやすいので、本当のお墓参りの日である月曜日には、それほどお墓は混雑しないものと思っていたら、お墓の近くで渋滞が起きているというニュースも流れた。
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