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2020年10月12日

非常事態宣言再び(十月九日)



 厚生大臣が交代して感染症対策の規制が強化される中、バビシュ首相の当初の(形だけかもしれない)反対を押し切って、プリムラ新厚生大臣が主張する非常事態宣言が、今週の月曜日付けで再度出され、更なる規制の強化が行われた。春とは違って外出の禁止令は出されていないが、先週と比べると街中の人の数が減っているような気がした。
 そろそろ営業をやめる時期に来ているレストランのザフラートカ(屋外席)も先週は、結構人がいて飲食を楽しんでいたのに、今週はほとんど人がいなかった。気温は先週も今週もあまり変わらないから、非常事態宣言の影響があったに違いない。屋内席のほうも人があまり入っていないようだし、午後10時までの営業は認められているとは言っても、客がもどってきたところで、これではレストランも経営が苦しいどころではなかろうと思わされる光景である。

 非常事態宣言が出た月曜日以降、その正当性を裏付けるかのように新規感染者数が急激に増え始め、火曜日に4千を越えて過去最高を記録したと思ったら、水曜日に5千を越え、金曜日には午後6時の時点で4千以上(結局8千を越えた)という事態になった。春からの感染者数の総計は10万人を越えており、これはチェコの人口の1パーセントに当たる。他の国のことは知らないが、人口の1パーセントを超える感染者というのは、なかなかの数字である。
 これに対して厚生大臣は、来週の月曜日から更なる規制の強化を行うことを発表した。問題は来週の月曜日からのはずが、一部の規制がいきなり今日から始まるという決定もなされたことで、例によって現場に混乱を起こし、関係者からは怨嗟の声が上がっていた。確か、動物園の営業が禁止され、関係者が屋内施設さえ閉鎖して、入場制限をして入場客に人間距離を十分以上取らせるようにすれば、感染の恐れなんてないのにと不平を漏らしていた。植物園は現時点では

 来週の月曜日からの規制の強化は、かなり厳しいものだが、どのぐらい意味があるのか、怪しいものも多い。春とは違って大型のショッピングセンターを含めて、店舗の営業は禁止されないが、客の側に一緒に買い物できるのは2人までという制限が科された。ただし両親と子供という組み合わせは例外的に許可される。スーパーマーケットでは単位面積当たりの入店できる人数も制限されるのかな。
 それから、フードコートなどで食事が終わってもたむろしている客を追い出すことを目的として無料のWI-FIをオフにすることが求められる。これによってショッピングセンターにおける滞在時間が短くなることが期待されている。ショッピングセンターのフードコートでは、同席できるのは二人まで、レストランなどの飲食店では4人まで、という規制も導入される。いや、ショッピングセンターの規制はすでに今日から導入されたのかもしれない。ニュースですべての席を二人がけにしてしまったショッピングセンターの様子が紹介されていた。

 この手の人数制限にどこまで効果があるのかは不明だが、プリムラ厚生大臣は、チェコ人の多くが実家に帰省して家族で時間を過ごすクリスマスに集まれる人の数も制限することを考えているらしい。普段から同居している場合は別だが、別々に住んでいる場合は、具体的な数字はまだ出されていないが、何人までという制限がなされるようだ。非常事態宣言を出すに当たって同時に出された規制は、二週間という期限を切られていたが、それでは収まらないと予想しているのだろう。

 また、文化活動、スポーツ活動も原則として禁止されることになった。劇場、映画館、博物館、美術館などすべて営業禁止となった。プラハで何年もかけて準備してきたレンブラントの展覧会も、始まって二週間ほどで中止。外国の美術館から借り出した作品が多いため会期の延期は不可能なのである。劇場の多くも今週からの歌禁止に向けて慌てて演目の差し替えをしたのにすべては無駄に終わってしまった。
 最悪なのはようやく正常化に向かいつつあったスポーツを、アマチュアからプロまで一律禁止してしまったことである。あれだけのお金をかけて頻繁に検査を行い、感染者を排除しつつリーグを開催していたサッカーリーグも、例外があるのはよくないという意味不明な理由で開催が禁止されることになった。スポーツという息抜きのない状態でがちがちに規制をかけると、不満から爆発する人が出てくるんじゃないかと心配である。

 春の最初の流行の際に、それまでの衛生局長の女性が解任された後に登場して、対策の指揮をとったプリムラ氏は、それなりの説得力を持っていた。厚生省を去った後、バビシュ首相が特任の役職を作ってまで飼っていたのに特に何をしたということもなく、大臣就任後は過剰ともいえる規制の導入に邁進している。説明が納得できるレベルならいいのだけれども、規制される側、スポーツ界や演劇界を納得させられるレベルのものではない。
 正直な話、春と同じように、プリムラ厚生大臣ががちがちに規制を強化して、規制を続けることを主張するのを、状況が依然したらバビシュ首相が説得して規制解除に向かわせるという台本ができているのではないかと思ってしまう。二度目の茶番劇に騙されるほどチェコ人は甘くないとも思うのだけどなあ。
2020年10月10日23時。











posted by olomoučan at 06:05| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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