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2020年06月21日

プラハ混乱(六月十八日)



 この前も書いたが、チェコで武漢風邪の新規感染者が特に増えているのは、カルビナー地方とプラハの二箇所である。カルビナー地方の場合には、炭鉱で集団感染が発生しているわけだが、その炭鉱夫たちの中には、ポーランドから仕事に通っている人もかなりいると言われている。炭鉱以外にもポーランドからチェコまで仕事に通っている人は多いのだが、その人たちの住んでいるのがポーランド内で流行が拡大し続けているスレスケー・ボイボツトビーなのも、カルビナーを含むモラビアシレジア地方で感染者数が増え続けている理由の一つとされている。
 このこと自体は、感染の拡大が落ち着いた後、国境を越えて仕事に通う条件が緩和されているのだから、ポーランド人を批判する理由にはならない。国境を挟んで家族や親戚が分かれて生活しているところも多く、国境の開放を求める声は日に日に高まっていたし。ただし、閉鎖された国境を越えてチェコに侵入していたポーランド人もいたらしく、集団でどこかの小さな教会を占拠して立てこもっていたなんて話が今になって聞こえてきた。

 ドイツ人といい、ポーランド人といい、チェコの北側の隣人は……。共産主義の時代にうやむやにされてしまったところはあるけど、1938年のミュンヘン協定でチェコスロバキア第一共和国が崩壊した際に、チェコに侵攻して蛮行を働いたのはドイツ人だけではないのである。アウシュビッツなどの存在で第二次世界大戦で最大の被害を受けた国扱いをされているポーランドだが、大戦前は、少なくともチェコスロバキアに対しては、ナチスの最大の協力国だったのである。
 ちなみに、集団感染が発生したカルビナーの炭鉱では、1000人を越える全従業員の検査が行われ400人近くの感染者が確認されている。それで、同じ企業OKDに属する他の炭鉱でも全員の検査が進められているが、現時点では全員陰性という結果で、他の炭鉱への飛び火は起こっていないようである。

 カルビナーと並ぶ感染地となっているのがプラハで、こちらは炭鉱のような大規模集団感染は起こっていないが、小さな集団感染がいくつも発生しているようだ。その一つがプラハ市議会に飛び火したことで国会を巻き込んで大騒ぎになっている。チェコの地方自治の制度というのは日本人にはわかりにくいややこしいものなのだが、簡単に言うと、議会の議員のうち与党に属する議員が行政上の要職も勤め、さらに国会議員との兼任も可能になっている。
 それで、問題になったのはプラハ市長の「ナームニェステク」という役職の人、国の省庁なら事務次官や副大臣相当の役職なので、副市長と考えてもいいのかな、その人物が体調を壊して検査を受けた結果、陽性であることが判明したのである。問題はこの人物が直前まで積極的に市主催のイベントや、市会議員も参加する会議に参加していたことである。

 問題のイベントは、プラハ市の消防署で行われたものだが、消防隊員ではなく、地元の消防団の人たちを集めてのイベントだったので、消防署から参加したのは一人二人だけで、出席者を隔離しても、消防署の現場の体制には何の影響も与えないことが明らかになっている。不幸中の幸いというべきか。

 もう一つの会議のほうは、市長を含めた出席者全員が隔離の対象となり検査を受けることになった。当然出席していた市会議員もなのだが、問題はそのうちの二人が、下院議員を兼任するという、日本ではありえない状態にあったことだ。出席者数を減らして行われていた下院の本会議もすでに全員出席するようになっているので、この二人が陽性だった場合には、本会議に出席していた国会議員全員も感染している可能性があるということになる。
 現在マスクに関しては、自宅、及び職場であれば、屋内であっても着用の義務はないのだが、国会を職場に入れて、マスクを外して会議に参加していた議員たちが、このニュースを聞いて慌ててマスクの着用を再開したのには笑ってしまった。危機感には個人差があって、演台のマイクの前で発言するときだけマスクをするという人もいたけど。

 一回目の検査の結果、プラハ市の会議に出ていた人は全員陰性だったようだが、隔離期間が終わるころに再度検査を受けることになるのだと言う。それまでは国会議員たちも議場ではマスクを着用することになりそうだ。我ながら、悪趣味だとは思うけど、今後の展開が楽しみになってきた。日本も国会やマスコミ関係者の間で武漢風邪蔓延なんてことにならないかなあ。マスコミの場合は、一人、二人ならともかく、集団だったら隠蔽する可能性が高いだろうけど。
2020年6月19日9時。











https://onemocneni-aktualne.mzcr.cz/covid-19
https://www.krajpomaha.cz/










posted by olomoučan at 06:44| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ
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