2019年03月08日
運輸省の抱える問題(三月六日)
運輸省は大臣替えてもあまり意味がなそうだという話を昨日書いたけれども、この省の問題は89年のビロード革命後も放置してきた、もしくは先送りしてきた問題が、ここ十年余りの間に顕在化してきて、誰が大臣でも結果は大差ないのに、政治的な取引の結果、首のすげ替えが起こっているという印象を受ける。その中で、今の大臣は頑張っているほうだと思うのだけど。
とまれ、この国の交通行政における最大の問題は、高速道路網の整備である。プラハとブルノという二大都市を結ぶ高速道路D1、ブルノからスロバキアの首都に向かうD2こそ早い時期に完成していたが、それ以外の部分は計画だけにとどまっていて、プラハから完全に高速道路だけでたどり着ける主要都市は、ブルノを除くとプルゼニュぐらいしかなかった。
その後、各地で整備が進められ、また一ランク下のR規格で高速道路のD規格ではなかった道路がDに格上げされたりしたけっか、プラハ、ブルノ、オロモウツ、オストラバが高速道路で結ばれることになったが、本来プラハとオストラバを結ぶはずのD1はまだ完成していない。工事が進まない理由の一つは、近隣のドイツやオーストリアなどの国と比べても高くつく建設費で、十年以上前から問題にされていながら、状況はほとんど変わっていない。高い建設費に政治家の関与があるのかどうかは知らないけど。
また、入札で値段だけで選んだ場合なのか、一度は完成したものの、手抜き工事で路面が波打ったり、表面が陥没したりするという問題も起こっており工事の発注元の高速道路管理局と施工会社の間で、どちらに責任があるのかをめぐって裁判沙汰になったりもしている。こんな問題が起こると、むやみに工費を節約するのがいいとも言えなくなるから大変である。
二つ目の理由は、高速道路を建設する用地取得の手続きの問題である。国有化するための法律があったのかなかったのか、土地の所有者にごねられて、工事がなかなか始められないという問題が、一か所ならず起こっていた。一番有名なのはプラハからフラデツ・クラーロベーに向かうD11だろう。とある土地所有者との係争で、一部分の工事が着工できず、長らくその人の土地で分断されていたのである。この問題は、90年代に、幹部が党の息のかかった人ばかりだった省で政権交代に際して、碌に引き継ぎのないまま人員の入れ替えと方針の変更が行われた結果だと見ている。土地の所有者も最後は意固地になってしまっている感じであった。
三つ目は、古い高速道路の改修工事である。建設されて半世紀以上を経たD1では路面を覆うコンクリートにひび割れが走って振動が酷いなど老朽化が進んでいる。それで少しづつ、いくつもの区間に分けて改修工事が行われているのだが、チェコで最も交通量の多い道路で、部分的に通行制限をしながら改修工事をすると、大渋滞が引き起こされることになる。
この改修工事に関しても、受注した会社によって当たりはずれがあり、予定の工期でちゃんと完成させるところもあれば、予定の工期で終わらず延長と工費の追加を求めてくるとこもあって、この手の工事は入札で決めればいいというような簡単なものではないことを改めて見せつけている。昨年末も、確かイタリアの会社が受注した工区で工事が予定通りに終わらず、いやそれ以前に候じを行っていない期間が長く、雪が降り始めたために連日大渋滞を引き起こしていた。プラハ駅の改修工事もそうだけどイタリアの建設会社って当てにならんのだよなあ。
たしか、この工区では片道三車線のうち一番内側の車線を通行止めにして、中央分離帯とその両側の二車線を改修していたのかな。外側の二車線は幅を狭めて制限速度を落としたうえで車を走らせていた。車を運転している人たちを怒らせたのは、渋滞が発生しているのに、道の真ん中の工事現場では仕事をしている人がおらず、工事がまったく進んでいないことだった。
最終的には、この施工会社に対しては契約を破棄し、高速道路管理局が車線の通行止めを解除することになったのだが、雪の影響で通行止めの車線の外側に置かれていた仕切りを排除して通行できるようにするために時間がかかって、これまた大きな非難を浴びていた。非難されるべきは、運輸省以前に施工会社だし、運輸省が非難されるとしたらそんな会社に落札を許したことだと思うのだけどね。ただEU基準の入札のルールにもとづくとその会社が落札するのは防げなかったなんて話もあるから、この話は厄介なのである。
あれ、この話なんか続くかも。
2019年3月7日21時15分。
タグ:高速道路
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