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2018年11月07日

政治家と金(十一月三日)



 政治家というものは金に汚いものだというのは日本もチェコも大差ない。チェコではビロード革命以来の既存政党は、共産党を除けば、クライアント主義といわれる汚職まがいの便宜供与を繰り返してきた。もちろんキックバックを受けているのは当然のことで、そのうち目に余るものは摘発されてきたが、全体的に見れば、一部の金持ち、影響力を持つ連中のための政治が行われていたと言っていい。それが、バビシュ首相にEUの助成金詐取の疑いがかかってもANOの支持率が落ちない原因の一つになっている。
 既存の政党がANOをポピュリストだとして強く批判するのは、自分たちのクライアントだった連中が政治の世界に入ってきて、政治家=クライアントという図式が出来上がった結果、受け取れていた謝礼がなくなったからでもあろう。逆に言えば、政治家とクライアントが完全に別々だった時期と比べれば、クライアントから政治家に渡る金が減った分、国庫から抜き取られる金が減ったと言ってもいいのかもしれない。これもANOへの支持が不思議と減らない理由であろう。クライアント主義の権化だった市民民主党あたりが、汚職ぎりぎりの行為でANOを批判しても、お前らが言うなである。
 また、ロビイストとかいう政治家に影響力を持つとされる連中とつるんであれこれよからぬことをやらかしていたのもANOではなく、既存政党の政治家たちである。一番ひどかったのは国政ではなく、市民民主党のベーム市長時代のプラハで、あるロビイストとプラハ市政を牛耳る政治家、役人たちの結託で、公共交通機関の乗車券一枚当たり確か17ハレーシュ(0.17コルナ)がカリブ海のどこかの国にあるペーパーカンパニーの口座に入るようになっていたなんて事件も起こしている。総額で50億コルナほどが横領されたらしいが、ロビイストとプラハ交通局のボスが起訴されて裁判になっているだけで、裏にいたはずの政治家までは捜査が届いていない。ロビイストたちが証拠不十分で無罪になる確率も高そうだし。

 さて、現在チェコでは既存政党の政治家の銭ゲバ振りを象徴するような事態が進行している。政権与党のANOが国会に提出した国会議員の報酬を来年から9パーセント上げようという法案が、まともに審議もされないまま、国会の会期が終わろうとしているのである。9パーセントもあげようというANOの国会議員が金に汚いのではない。この法案が可決されなかった場合には議員報酬が自動的に20パーセントも上がるというのだから、積極的に法案に反対して国民の反感は買いたくないけれどもなし崩し的に廃案に追い込んで、報酬を一気に増やそうという魂胆が見え見えの既存政党の議員たちが金に汚いのである。
 一方でこの法案を廃案にしてはいけないと主張して、会期の延長を求めて議員の間で署名を集め始めたのが、新興政党の海賊党と、何かと批判されることの多いオカムラ党だという事実は重要である。議員報酬の伸びを積極的に抑制しようとしているのが、ANO、海賊党、オカムラ党という三つの新興政党だけで、既存政党がその中には一つも入っていないのである。

 平均給与がそこまで上がらない中、自分たちの報酬だけを20パーセントも上げるというのは、さすがにばつが悪いのか、既存政党の中でも積極的に給料を上げようと主張しているのは市民民主党だけである。市民民主党の議員によれば、国会議員報酬は、例のリーマンショックの影響がチェコに何年か遅れで到達してチェコの景気が低迷した時期から昇給が凍結されてきたのだから、その上がらなかった時期の分も含めて20パーセント上がるのは当然だという。裁判官や検察官などの賃金も上昇している中、国会議員の昇給が今後もなかったら、議員報酬の方が裁判官の給料より下になるじゃないかとも言っていたのだけど、議員報酬が裁判官の給料より高くなければならない理由については何も言わなかった。
 それでも、ANOの議案や、海賊党とオカムラ党の提案に、賛成するようなコメントを残しながら、その実何もせず、審議ができないまま会期が終わって仕方なく議員報酬が増額されたとというシナリオに沿って動いているとしか思えない他の既存政党に比べれば、本音を語っている分だけましなのだ。考えてみれば、議員報酬の昇給を凍結する法律を制定して国民に対していい格好をして見せておきながら、その法律の末尾に何年か後には一度に20パーセント上げるというのをもぐりこませるという姑息なことをしたのが既存の政党の政治家たちなのだから、今回もなし崩し的に昇級に持ち込むという姑息な手を取るのも当然なのだろう。

 最悪なのは、野党側が来年度予算について予定の赤字額が多すぎるから、支出を減らすべきだと強硬に主張していることである。国家予算の支出を減らす上でまず削減すべきは人件費であろう。そう考えると先ず隗より始めよで、議員総数を減らしたり議員報酬を減らしたりするところから始めるべきなんじゃないのか。これではますます既存政党の凋落が進むだけだと思うのだが、この件に関してはオカムラ党よりも下に落ちてしまったことに気づいていないのだろうか。
 チェコでは議員報酬は毎年自動的に上がるようになっているようで、それを停止したり抑制したりする場合にはわざわざ法律を制定する必要があるようだ。どうして変わらないのが原則で、昇級する場合には国会で審議が必要という形にしなかったのだろうか。そうすれば有権者をはばかって、ひんぱんな昇給も、大幅な昇給もしにくくなると思うのだけど……。そういえば昔議員報酬は法定最低賃金の何倍という形で規定しておけばいいと主張している人がいたなあ。そんな声は、金のことしか考えない政治家には届かないのだろう。
2018年11月5日22時30分。








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