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2017年11月18日

D授乳期【ポイント】

今日は、「授乳期」のポイントについて解説します。


【授乳期の生理的特徴】
・体重
 分娩直後は、胎児・羊水・胎盤などの排出により4〜6sの減少をみるが、
 その後、子宮の退縮や悪露、循環血液量の減少に伴い体重が減少します。
 妊娠中に増加した約3sの脂肪は、産後3〜6か月で元に戻すことが望ましいとされています。
・内分泌系
 エストロゲン、プロゲステロンなどの内分泌系の濃度は減少して、約1週間で妊娠前の状態に戻り、
 下垂体前葉から分泌されるプロラクチンや下垂体後葉から分泌されるオキシトシンなどの
 産褥期・授乳期に特徴的なホルモン分泌が高まります。

【母乳栄養】
胎児・胎盤を排出するとプロラクチンが作用して乳汁が産生され、
乳腺周囲の筋上皮細胞を収縮させて乳汁が射出されます。
・初乳
淡い黄色を呈し、粘稠、濃厚で分泌量は少なく、たんぱく質及び免疫に関わるIgA(免疫グロブリンA)や
ラクトフェリンなどの濃度が高く、感染防御に役立っています。
一方、脂質と乳糖の濃度は低いので、成熟乳よりもエネルギー量が少な目です。
・成熟乳
白色、不透明でかすかな甘味があります。
脂質と乳糖が増え、新生児に必要な栄養素をまんべんなく含んでいます。

〇母乳と牛乳の成分比較
牛乳 母乳.gif

※特発性乳児ビタミンK欠乏性出血症
母乳にビタミンKが少ないこと、生後1か月前後の新生児では腸内細菌叢によって
ビタミンKが産生されないことから、生後1〜2か月の母乳栄養児に頭蓋内出血が起こることがあります。

〇母乳栄養の意義
@罹患率や死亡率が低い…感染防御因子が豊富に含まれている。
A消化吸収がよい…内臓に対する代謝上の負担が少ない。
B乳児の精神発達に好影響…母指関係が確立し、その後の人間形成に好影響を与える。
Cアレルギー性疾患が少ない…母乳のたんぱく質は非抗原性でアレルギーを起こしにくい。
D清潔である…完全に近い無菌状態で分泌される。
E母体の回復が早い…哺乳により子宮筋を収縮させて子宮の復古を促す。
F母性愛を育てる効果がある…母親としての精神的な満足感が得られる。
G経済的である…粉乳、哺乳瓶などを購入する必要がなく、燃料も不要である。

【授乳期の栄養アセスメントと栄養ケア】
授乳婦.png

【人工栄養法】
〇母乳栄養が実行できない場合
@母親が重篤な感染症に罹患している場合
A母親にアレルギーがある場合
B児の神経系や口腔機能に障害があり正常吸啜ができない場合
C母親がアルコールや嗜好品を多用している場合
D母親が児に影響を及ぼす薬剤を服用している場合
E泌乳量が少なく児に満足を与えられない場合

【調乳】
調乳方法.jpg


次回、問題を出題します。

次回、問題を出題します。
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食品会社で勤務しながら、半年間の独学を経て管理栄養士の国家試験に合格。その後、管理栄養士として勤務するために病院へ転職。6年間で3つの病院を経験。現在は、管理栄養士国家試験の参考書の校正や答案添削を行っています。 <取得資格>管理栄養士、栄養教諭、糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士、NST専門療養士
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