前にも述べた通り、私は若いころ司法書士資格を目指し勉強し、途中で挫折してあきらめた人間だ。
私は工学系の短期大学卒業者であるのになぜ司法書士資格を受けようとしたのか
その理由は最初に入った会社が土木測量設計会社だったからだ。
土木設計会社は競争入札で役所から仕事を受注して、道路や河川、区画整理などの設計を行い設計図面を書くのだが
その前に地形の測量は測量士が行い平面状態や標高がわかる現況地形図面を作成する。
公共土木事業では土地や建物の用地買収や建物移転などの補償が伴うことが多い。
仕事の手順として、役所が地元説明会を実施して設計図面で土地所有者に説明をして異議がなければ、
役所が道路なら道路に必要な用地の売買契約の了承を土地所有者からもらい合意契約を行う。
そうすると買収面積のために境界確認と買収面積を算定する測量が必要になる。
用地買収などの登記関係の測量は土地家屋調査士という国家資格を持った、表示登記の専門家が行う。
土地家屋調査士がいる測量会社では土地の所有者と一緒に買収となる土地1筆の境界杭や境界線の位置を確認し、
境界線が決まると、境界確定図といって官民と民民の間で境界線が確定しましたよという合意の図面と書類を
法務局に提出し、地積更生登記を行う。それと並行して買収される土地を特定して分筆登記を行う。
ここまでの測量と表示登記を行えるのは土地家屋調査士に限定された土地家屋調査士法での独占業務だ。
その後の権利の登記は司法書士資格の業務独占分野であり、所有権移転登記や抵当権が設定されている不動産の抵当権抹消登記、
不動産が相続登記されておらずに祖父などの名義の場合に相続登記が必要だが、
それも司法書士の独占業務である。
そのようにして土地の売買と建物の移転補償などが完了すると、やっと建設工事にはいるのである。
よって、私は土木測量設計技術者であったため、土地家屋調査士と司法書士を目指したということだ。
仕事柄、司法書士さんと付き合うことが多かったのだが、
司法書士さんの多くが行政書士も合わせ持っている人が多かった。
仕事で行政書士資格を使う仕事があるのですかと聞いてみたところ、ほとんど使うことがなく
司法書士でも行政書士でも民法が共通で出題されるので、少し勉強して行政書士もとっておいたという答えが多かった。
せっかく取得した資格だから名刺に両方書いているほうが信用度が増すためのようだ。
司法書士さんの多くがハウスメーカーやマンションメーカーなどの不動産屋、抵当権設定登記などは銀行などが顧客である。
もちろん個人から依頼される贈与や相続のための登記もある。
そのような中で一般に司法書士業務での報酬がほとんどを占めることは業界内で知っていた。
私の知り合いで行政書士資格を取得している人が数名いるが、いずれも行政書士単独では商売が成り立っていない。
行政書士と宅建取引士の両方を持っている人はハウスメーカーに営業マンとして入社して働いている。
行政書士を開業したが仕事がなく、宅建取引士を取得してサラリーマンをやっている。
今から35年ほど前は行政書士資格の合格率は10%程度で近年よりも簡単だったことは私も一時期行政書士を取ろうと思たっ時に調べて知っていた。
行政書士資格は近年、試験も難しくなり合格率も低下したそうだが、独立して食える人が少ないのは昔も今も同じだと思う。
それよりも、土木施工管理技士のほうが資格がはるかに簡単で高い給与がもらえて、コスパがよいと思う。
ただ土木施工管理技士の場合、工業高校や大学で土木を専攻していないと、受験に必要な実務経験年数が必要でそれがネックだが
行政書士のように試験は難しくはない。
行政書士のよいところは人脈や顧客をうまくつかむなど工夫すれば独立開業も可能である。
一方で土木施工管理技士で独立開業は難しく、ゼネコンや建設会社のサラリーマンどまりだ。
若いころの土地家屋調査士がいる測量設計会社での私の給与は月10万円程度できつかった。
給与10万円の中から築40年のエアコンなしのオンボロアパートに住み2万円の家賃を払い、食費、
光熱費、ガス代、地方であるから自家用車が必要でエアコンもパワステもついていない60万円の
軽自動車を5年のローンで支払い、ガソリン代やら極貧生活だった。
そのような中で資格の勉強を重ねたが全滅だったが宅建取引主任者だけはもう少しで合格を感じがしたので受け続けた。
その後に大手建設コンサルタント会社に契約社員で入社したら月額21万円だった。
繁忙期になると残業がすさまじかったが25歳程度で総額30万円ほどの給与がもらえた。
すると食生活がよくなり栄養もよくなったためと、経済的にゆとりができたためか精神的に楽になり
あれだけ苦労した宅建が受かると、その後たて続けに受ける資格が一発で合格するようになった。
やっぱり食べ物がよいと脳の働きもよくなり、食事内容や栄養素がよいと集中力も違うと思う。
そのようにして土木技術者に転向して60歳近い今も求人にありつける。
だから土木技術者はやめられない。
ところが、こんなにおいしい土木の業界に若者や女性が入ってこない。
現場事務所ではキャドでの図面修正やオフィスでの書類作成のお手伝いでも必要なのに。
今はあんなに難関の司法書士や土地家屋調査士には興味がない。
私から見れば技術系の国家資格のほうがはるかにコスパが良いと思う。
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