宅地建物取引士(通称)宅建士は5年ほど前に法律改正されて、宅地建物取引主任者から名称変更された。
登録していると5年に1度の更新講習があるが、その際に感じたことは
倫理規定や罰則規定がかなり厳しくなったなったということだ。
士資格になったわけだから、高度な専門知識、広範な知識が要求されるだけでなく、
業務を遂行する上での倫理観念の教育、信用失墜行為の禁止など、業界全体に不利益になることをしてはいけないということだ。
その代わり業務独占の国家資格であるから、宅建士のいない会社は不動産取引も宅建業もできない。
そのような資格であるから、30年前からずーと合格率が15%前後の難しい部類の試験だと言える。
100人のうち15人は合格するが、85人の人は落ちる試験が簡単とは言い難いと思う。
よく資格取得のサイトや資格スクールで、宅建は難易度は中程度で誰でも学習すれば取得可能と宣伝し、
半年程度の勉強で取得できるなどと広告を出しているものがある。
その難易度は法律系資格である司法試験や司法書士、税理士、公認会計士、不動産鑑定士、社会保険労務士などと比べれば簡単だと思うが
仕事をしながら取得する資格としては1年から2年程度の計画で学習が必要な資格だと思う。
合格者を多く輩出しているスクールでは平均学習時間300時間から400時間と言われているが、
まったく法律知識の無い人は合格にそれだけの時間では難しいのではと私は思う。
300時間の勉強量として計算すると、1日2時間ずつ毎日の勉強を5カ月続けてやっと達成である。
残業のない仕事の人ならやれないこともないが、仕事で疲れた後に勉強するのは気分的にも集中力の面でも
大変だと私の経験では思う。
私の仕事は設計職なので残業が多く、そのような状況で独学で4年目でやっと合格できた。
合格率が15%前後であるから、300時間勉強したからといって、合格するとは限らない。
最初のうちに勉強の後のほうになると最初に勉強した民法や借地借家法など忘れており、
何度か最初から繰り返し、学習する必要があるし、法律はひっかけ問題が多く、広く深く学習して
法律などの本質を理解しないと合格が難しいかもしれない。
なにせ、4枝択一試験でも50問中37問程度の7割以上を正解しないと合格が難しい。
自動車運転免許のように「まるばつ」方式の2択で簡単な内容の試験とはわけが違うのだ。
とにかく勉強範囲が広範で深く知っていないと、ひっかけ問題が多く、内容を理解するのに時間がかかる。
よって、自分以外の人で宅建士に合格している人を見ると、
一人は仕事を辞めてスクールに週1回通い6か月間毎日5時間程度の勉強で合格している人を知っている。
他の人は仕事をしながら合格に3年ほどかかっているようだ。
確かに他の法律資格の司法試験や司法書士、税理士、公認会計士、社会保険労務士などと比べれば
4枝択一問題50問の7割である35問以上とればほぼ合格で、論文試験も口頭試問も無いわけだし、
学歴の制限も経験年数の制限もない試験のため簡単な部類に入るかもしれないが、
私にとっては簡単でない苦労して取得できた資格だった。
私が試験会場で感じた雰囲気では試験が始まる前まで、必死に勉強している人が多かった。
学歴制限、実務経験年数不問であるため、逆に生きることに必死な人が受けてきている感じだ。
なにせ、宅建士に合格して、宅建士登録し、免許申請して免許が受けられれば独立開業もできるわけだから。
社会で生きる厳しさをまだ知らない学生風の若者からはそのような必死さは伝わってこなかったが。
ところで不動産取引と日本の経済には密接な関係がある。
日本での公共と民間を合わせた建設投資の増額は年間40兆円程度とされているが、
その5割程度が民間投資であり、その多くがマイホームの建築マンション建築での土地の売買などに関係しており、
不動産業の信用失墜行為によって、不動産取引が停滞すれば日本経済にも悪影響をおよぼすと言われている。
なぜなら、建物の建具やサッシ、ガラス戸、給湯、台所、風呂、上下水道、外壁、木材などを販売するメーカーなどのほか
住宅ローンを扱う銀行などさまざまな業種で民間建築がなりたっているからだ。
そして、それらのメーカーや建設会社で働く多くの従業員がいる。
更に国としては建物を建てるための土地の取引で所得税として税金を取り、税収となり、
一旦不動産を持てば、市町村では固定資産税を課税し、市税としての税収になるなど、
民間での建築と不動産取引の低下は国としての税収を確保する上でも、建築会社など民間企業が利益を上げ
従業員雇用を図るうえでもマイナス影響といえる。
このようなことから、不動産業界も信用を大切にするためにも、宅建士に厳しい罰則規定を設けていると考えられる。
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