仏教では、諸法無我といわれて、
固定不変な実体は何もありません。
すべては因縁がそろって一時的に生じたものです。
引き寄せて 結べば柴の 庵にて
とくれば本の 野原なりけり
といわれています。
庵というのは、小屋のことです。
草を集めて結ぶと小屋ができますが、
それは固定不変な実体はありません。
また、ひもをほどけば野原になります。
水が低い温度で氷、100度になると水蒸気になります。
冷やすと氷になることもあります。
すべては因縁がそろって一時的に生じていますが、
実体はないということです。
これを般若心経では、色即是空といわれます。
これを成住壊空ともいわれます。
成住壊空というのは、
因縁がそろったことを成といいます。
それがしばらくとどまっているのを住といいます。
因縁が離れることを壊といいます。
因縁かばらばらな状態を空といいます。
空は目に見えない形です。
始めも終わりもない、成住壊空です。
学問は原因を追求してきました。
たとえば、天然痘になるのはどうしてか。
分からない時は、死に神のしわざと思われていました。
伝染病は病原菌によって起きることが分かりました。
雷はどうして落ちるのか。
分からないからゼウスとか雷神がいると説明しました。
地震、雷など、全部神のせいでしたが、
学問が発達して原因が分かってきました。
原因は、分からないことはあります。
ところが原因がないわけではありません。
手品師も、鳩が出てきた原因がわからなくても、
必ず何かの原因があるということは分かります。
すべてのことには必ず原因があるのです。
こうして成住壊空を繰り返しますので、
仏教ではこの宇宙は誰が創ったのかといわれても、無始無終なのです。
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