病人といっても、肉体の病ではありません。
心の病です。
ところがこの病は自覚がありません。
すべての人がかかっているのに自覚がないのです。
しかし、その病気にかかっている兆候はあります。
その兆候が
有無同然
です。
会社で働いていると社長はお金があって偉そうに命令していて
いいなと思います。
ところが社長は社員をやとうので大変です。
日本人は東南アジアに比べるとお金がありますが、
自分たちは幸福だとは思っていません。
実際、ベトナムからの留学生に聞くと
日本人幸せそうでない
といいます。
別にお金があっても幸せにはなれないのです。
お金以外でもそうですが、何かが
あってもなくても幸せになれないのは同じだ
というのが有無同然です。
この病の病名を
無明業障の恐ろしき病
といいます。
恐ろしいのは病にかかっている
自覚がないからです。
それがどんな病かというと
後生暗い心です。
後生とは、死んだらどうなるかということです。
死は人生最大の問題です。
そしてやがて100%確実に直面します。
どうして確実な未来を心配しないのでしょうか。
それよりも年金を心配しています。
後生くらい心。どれだけ、自覚を持っているでしょうか。
言われても分からないくらい自覚ができません。
「一週間後に死ぬとなったらどうしますか」
とインタビューすると、
「お金下ろして使いまくります」
と答えます。
しかし、実際に医者から宣告されたら、
同じことをする人はありません。
死に直面したら、そんなことはできないのです。
お金を使っても何も楽しくありません。
貴重な命の時間を無駄にして後悔するだけです。
死を遠くに見ているから言えることなのです。
昔から西洋ではメメントモリと言われています。
「死を思え」ということです。
宗教学者の山折哲雄さんは、
『私が死について語るなら』という本で、
死について教育で教えるべきといっています。
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