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2021年01月14日

「人魚の嘆き」本文vol,8/29

「人魚の嘆き」本文全29章 ファンブログ版 vol,8/29

「人魚の嘆き」VOL,8

「御前様、今度という今度は、素晴らしい玉が見つかりました。生まれは杭州の商家の娘で、名前を花麗春と云う、十六になる児でございますが、器量は元より芸が達者で詩が上手で、先ずあれ程の優物は、四百餘州に二人とはございますまい。


まあ、騙されたと思召して、本人をご覧になっては如何でございましょう。」
こんな話を聞かされると、毎々彼等に乗せられていながら、つい貴公子は心を動かして、一応その児を検分しないと気が済みません。


「それでは会って見たいから、早速呼んで来るがいい。」多くの場合、彼はともかくもこういう返事を与えるのです。




しかし、人買いの手に連れられて、貴公子の邸へ目見えに上る美人連は、余程厚顔な生まれつきでない限り、大概赤恥を掻かされて、泣く泣く逃げて帰るのが普通でした。

なぜと云うのに、その人買いと美人とは、最初に先ず、豪奢を極めた邸内の講堂へ講ぜられ、長い間待たされた後、今度はさらに鏡のような花斑石のぶう(漢字なし)甎(ぷうせん)を踏んで、遠い廊下を幾曲がりして、遂に奥殿の内房へ案内されます。





見ると、其処では今や盛大な宴楽が催され、或るものは柱に凭れて簫笛を吹き、或るものは屏風に倚って琵琶を弾じ、多勢の男女が蹣跚(まんさん)と入り交じりつつ、手に手に酒盞を捧げながら、雲鑼(うんら)を打ち、月鼓を鳴らして、放歌乱舞の限りを尽くしているのです。

もうそれだけで、好い加減肝を奪われてしまいますが、しかも

主人の貴公子は、

いつも必ず一段高い睡房の帳の蔭に、錦繍の花毯(かたん)の上へ身を横たえて、さも大儀そうな欠伸をしながら、眼前の騒ぎを餘所(よそ)にうつらうつらと、銀の煙管で阿片を吸うておりました。



引用書籍
谷崎潤一郎「人魚の嘆き」中央公論社刊
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