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2021年04月02日

「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,98


「痴人の愛」本文 角川文庫刊vol,98



向こうへ着いたのは七時半を過ぎていたので、ダンスは既に始まっていました。騒々しいジャズバンドの音を聞きながら梯子段を上って行くと、食堂のイスを取り払ったダンスホールの入り口に



”Special Dance-admission:Ladies Free,Gentlemen ¥3.00”

と記した貼紙があり、ボーイが一人番をしていて、会費を取ります。



勿論カフェエのことですから、ホールと言ってもそんなに立派なものではなく、見渡した所、踊っているのは十組ぐらいもあったでしょうが、もうそれだけの人数でもかなりガヤガヤ賑わっていました。



部屋の一方に、テーブルと椅子と二列にならべた席が在って、切符を買って入場した者はおのおのその席を占領し、時々そこで休みながら、他人の躍るのを見物するような仕組みになっているのでしょう。



そこには見知らない男や女があっちに一団、こっちに一団とかたまりながらしゃべっています。

そしてナオミが入ってくると、彼等は互いにコソコソ囁き合って、こういう所でなければ見られない、一種異様な、半ば敵意を含んだような、半ば軽蔑したような胡散な眼つきで、ケバケバしい彼女の姿を捜(さぐ)るように眺めるのでした。



「おいおい、あすこにあんな女が来たぞ」

「あの連れの男は何者だろう!」



と、私は彼等に言われているような気がしました。彼等の視線が、ナオミばかりか、彼女の後ろに小さくなって立っている私の上にも注がれていることを、はっきりと感じました。





引用書籍

谷崎潤一郎「痴人の愛」

角川文庫刊



次回に続く。

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