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2021年01月15日

「人魚の嘆き」本文vol,21


「人魚の嘆き」本文vol,21

「成る程あなたがそう仰るのはご尤もです。しかし西洋の国々では、人魚はそんなに珍しいものではありません。

私の国は欧羅巴の北の方の、阿蘭陀という所ですが、私の生まれた町の側を流れているライン川の川上には、昔から人魚が住むという話を、子供の時分に聞いたことがありました。



彼(か)の女は時とすると、人間のような下半身を持ち、或いは鳥のような両足を具えて、地中海の波の底にも大陸の山林水沢の間にも、折々形を現わして人間を惑わすことが在るのです。



私の国の詩人や絵師は、絶えず彼の女の神秘を歌い、姿態を描いて、人魚の微笑のいかになまめかしく、人魚の魅力のいかに恐ろしいかを、我々に教えています。



それゆえ欧羅巴では、人魚ならぬ人間までも、ひたすら彼の女の艶容を学んで、多くの女が孰れも人魚と同じような、白い肌と、蒼い眸と、均整な肢体の幾分ずつを具備しています。



若し貴公子がそれをお疑いなさるなら、試みに私の顔と皮膚の色とを御覧なさい。

取るに足らない私のような男でも、西洋に生まれた者は、必ず何処かに、この人魚と共通な優雅と品威とを持っているでしょう。」



貴公子は異人の言葉を、否定することが出来ませんでした。



引用書籍

谷崎潤一郎「人魚の嘆き」

中央公論社刊
















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