ネコと贅沢　ボンビーライフ

ツイッターで
「今日は素麺でいい」という夫に対して
怒りの投稿をしている人がいる。

暑い中、湯を沸かして素麺を茹でることが
どれだけ過酷なことかも知らずに
「〜でいい」と簡単に言い放つことに怒っているようだ。

私にしてみれば
やはり素麺というものは
「〜でいい」と言う種類の食べ物だと思う。

確かに猛暑の中でお湯を沸かすのは
それなりに覚悟の必要な行為ではあるが、
熱効率のいい電気ポットで湯を作るなり、
今やどの家庭にもある湯沸し器を最高温度に設定して
ガスレンジを使う時間を短縮するなり
電子レンジで茹でるなりすれば
さほど部屋の温度が上がるわけではない。

茹で上がれば後は火を使うことはない。
ネギを刻んだり生姜をすったりする程度だろう。
豪華にするならエビを茹でたりするのだろうが、
「〜でいい」という程度ならこれは省略するはずである。

つけ汁を市販の麺ツユではなく自家製にしている家庭もあるだろうが、
「かえし」はまとめて作って置けるし、
ダシだって煮込むほど火を使うものではない。

もちろんその妻の本当に言いたいことは分かる。
「〜でいい」という発言には
「〜で我慢してやる」という隠れた本音が潜んでおり、
その「料理を作るのはお前の役目だ」という
感謝のなさに怒りを感じているのだろう。

こういうことで怒りを感じるということは
「〜でいい」という発言がなくとも
いずれ何かで怒りは爆発していたはずである。
「〜でいい」というのは引き金であって、
鉄砲には常に弾丸が込められていたということだ。

男と女では怒りの質が違っていて、
男は瞬間湯沸かし器だが、
女は炭火のようなもの、だとよく言われている。

女は常にくすぶっていて
ある時一気にボッと火が燃え上がる。
その燃え上がる原因が「〜でいい」という言葉だったに過ぎない。

その意見に同調して何百件もリツイートされているのだから
くすぶりを抱えている人がいかに多いかという証明だ。
ツイッターのようなツールがあって毒を吐き出す機会があるのは
精神衛生上良いことのようにも思えるが、
社会全体で考えるとどのような影響があるのかは
現段階では測りかねる。