ネコと贅沢　ボンビーライフ

どんなに良いものでも売れなければ意味が無い、
という考え方がずっと主流であった。
企業として存続させていくためにはたしかにそうなのかもしれない。

だが、あまりにそれにとらわれすぎたために
極力失敗しないように安全な方ばかりを選んでしまい、
何の創造性も生み出せていなくなっているのも
事実ではないだろうか。
あまりに売ることばかりに心血を注ぐようになり、
売れればいい、売れるものが正義だ
という流れになりすぎていないだろうか。
その結果が測定値偽装やら産地偽装などに
つながっているように思えてならない。

なるべく失敗しない仕事ばかりしているから
何かお金になりそうだと思うと
どの企業もその場所に群れだすようになる。
それが埋蔵量たっぷりの金鉱ならばいいのだろうが、
何も埋まっていなければ揃って大損するハメになる。

そのいい例が大手商社各社の赤字決算だ。
似たような資源に手を出して
同じように大損して赤字になっている。

「資源・燃料は日本のモノづくりにとって欠かせないものだ」
「このプロジェクトは日本の未来がかかっている」
などと商社マンたちはその最中には口にしているが、
いざ儲からないとなるとさっさと手を引くのが現実だ。
結局のところ儲かるか儲からないかだけで仕事をしているに過ぎない。

その儲かる儲からないで仕事をしてきた結果、
大手商社は赤字になり、
家電メーカーはどこも業績が芳しくない。
外食産業は偽装だらけで、
自動車メーカーまでもがズルをするようになった。

同じような傾向を持つ象徴的な存在は
政治家であろう。

話題の舛添都知事は
政治家になる前の著書で
政治家が公用車を使うことを批判していたそうだ。
公用車など使わずに電車で移動しろ、と。

それがどうだ。
ミイラ取りがミイラになっている。
地方議員の腐りっぷりも酷いものだ。
日本だけではない。
パナマ文書問題を見てもモラルの低下は
どこでも起こりうる事なのがよく分かる。

彼らだって初めからモラルが低かったわけではないであろう。
中には政治家を新しい就職先と考えて
立候補するものもいるようだが、
とくに2世議員でない場合は
強い思い入れを持って政治家を目指した人がほとんどだと信じたい。
それでも朱に交われば赤くなってしまうのだ。
それくらい信念を持ち続けるということは難しいことなのだ。

どんなに良い政策を持っていたとしても
実現させるためには上に行かなければ思うようにならない。
そうやって日々過ごしているとやがて麻痺してきて
いつの間にか上に行くこと、当選回数を重ねることが目的となり、
政策を実現するという目的が消えてしまう。

政治家にとっての
「良い政策を持っていても当選できなければい実現できない」というのは、
テレビ業界の「いい番組を作っても視聴率が悪ければ意味が無い」や
産業界の「いい商品でも売れなければ意味が無い」と
全く同じ流され方といえる。

流され方が同じならば、
流れていった先に何が待ち受けているのかも
同じだと解るはずだ。

テレビ業界なら歯止めの効かない視聴者離れ、
産業界なら長引く個人消費の低迷、
政治に関しては以前からずーっと投票率が下がる一方。
いずれも顕著にあらあれているが、
政治家だけはそれによって苦しみ喘いでいるようには見えない。

それは選挙以外に危機感を感じる機会がないからだろう。
政治離れによって有権者が無関心になれば
批判も小さくて済むからかえって好都合。
信念などなくとも選挙に受かり続けさえすれば
当選回数という信頼の目安ができてますます受かりやすくなる。

ルールを決めるのが政治家なのだから
信念がなければ務まらないはずなのだが、
危機感がないからユルユルな出来事を引き起こしてしまう。