ネコと贅沢　ボンビーライフ

天然酵母のパン屋の中には「イーストを使ったパンなんて」と
イーストをけなして蔑む人がいる。

天然酵母で作るパンは手がかかって面倒である。
それを使いこなすのだから
それなりにプライドのようなものが芽生えてくるのだろう。
だが、イーストも天然酵母も同じ菌である。
先人たちはより手軽にパン作りできるように
パンの発酵に最適な菌を取り出して
純粋培養してイーストとして流通させた。

そのおかげで「パン食」という文化が日本にも定着し、
パン好きの人口を増やしてきた。
今の日本でパン屋がパン屋として営業できるのも
イーストのおかげである部分は大きい。

天然酵母には天然酵母の、
イーストにはイーストの良さがあり、
それは互いに否定すべきことではない。

天然酵母に思い入れがあるのは結構なことだが、
それならば天然酵母のせいでバターの風味が消えてしまうような
クロワッサンなどを作るべきではない。

一般にクロワッサンは人気があって
どの店でも売上の上位になるから
商売上売りたくなる気持ちは分かる。
まあそうなるともはや職人ではない。商売人だ。

それならそれもその店の考え方だからそれでもいいのだが、
そういった店に限って
「当店のこだわりは・・・・」などと能書きを垂れる。
職人のフリをした商売人にありがちである。