2020年05月04日
【牢-RAW-制作秘話B】「隠された“謎”のエンディング」
◆なぜ複数のENDがあるのか?
エンディングが複数あるのは「かまいたちの夜」を参考にしたからです。(初代)かまいたちの夜は主人公のなにげない言動(選択)によって時にトンデモないENDにたどり着くことがあり……
たとえば関西弁の社長さんとのENDとか、また胸糞悪いENDとかもあり……
その衝撃を本作にてぶち込んだ結果、いろいろおかしなENDができた感じです。
いや、まさかENDをこんなに回収してくださるとは想定していなくて、よくよく考えれば僕も探索ゲームは(攻略見つつ)なんとか全ENDコンプリートしようとしますし、もうちょっとコンプリートのことを考えといたらよかったなーと思います。
※ここから本編のネタバレ※
↓↓↓
◆タロウの正体
タロウの正体については、ゲームを作りながら考えていたところがあります。当初は「正体は奇形児だった」という、江戸川乱歩的な話で締めようかと思っておりましたが、そこにもう少しひねりが欲しいと思い悩みました。
そんな折、綾辻行人の大長編推理小説『暗黒館の殺人』というめっちゃ分厚くて上下巻ある小説を読んだんですか、そこに「寄生性双生児」の話が出てきて「これだ!」と偶然にも思ったんです。
これが牢の真相の元ネタとなりました。タロウを双子としておけばトリックとして使える、しかも「怪物」の正体として相応しい。怪物の正体は「人」ではなく「人ならざるもの」――牢のという物語の化学反応が起こりました。
こうして牢の物語構想は完成し、コンテストに向けてなんとかヒイヒイ言いながら完成させました。後半あたりは少し急ぎ足で作った感じで、話を回想でまとめた感じです。
実はもう少しだけイベントと話が構想にあった(はず)なんですが……。
◆タロウ《太朗》の呪いの謎
ゲームの楽屋で言ったように、「タロウに呪いをかけた人物は誰か?」というオチなのですが、二つの理由により省くことになりました
第一に、コンテストに間に合わなくなるから(あと大変だから)
第二に、あまり気分のいい話にならないし、回想が続きすぎて煩わしくなる……
からです。
どう気分のいい話じゃないかというと、呪いをかけた人物が意外な人物で、その人のイメージが損なわれて、ついに作品のイメージまでも損ないかねない「知らなくていい事実」だからです。しかし真実だから、この真実によってつじつまが合う部分があり、不可欠であり不必要、いわゆる裏設定というものなのです。
で、呪いをかけた犯人はというと……
実は、室戸亀夫博士なんですよ。
室戸博士はタロウとの会話で妙なことを言っていたりしました。東京の大学にいたのになぜか村の診療所に。女性と別れていて……その女性がタロウの母、ツルさんなんです。
呪いをかけたのは別れた女性、ツルへの恨みから。
ツルへの呪いが子供のタロウへと移った。
その室戸博士の恨みによって生まれたタロウと出会った博士は、事の経緯をすべて理解していた。この子が自分のかけた呪いによって生み出され、戎野家に災厄をもたらした。そのことを後悔した博士がタロウに対してあんなにも親身になったのは「贖罪」のためだったのです。
〇追記
去年の5月に岐阜に行ってきたのですが、どうも戦前の岐阜の白川郷のあるようなところに、『戎野邸』のような屋敷があるのはおかしいのかもしれません。今のような交通の便もよくなく、山に囲まれた土地ですし。あくまで物語の世界での「岐阜」と解釈しておいてください……。
●呪いをかけた人間が『室戸博士』である(状況)証拠
・博士は見ず知らずのタロウをかくまった上に手術も行った。いくら善人でもそこまでするものだろうか。
・そのうえタロウは戎野邸での事件にかかわっている。そんなあやしい状況のタロウを警察にも誰にも知らせず家にかくまうのはおかしい。
すべてを知っているからこそ、警察にバレないようタロウを隠した。タロウはそもそも隠されていた存在のため、博士が隠したところで嫌疑は及ばない。
・腫瘍のタロウが『誰かの呪いによって生まれた……』と言ったあと「そいつ(つまり自分)を恨んでいるか」と博士が問うた。腫瘍のタロウはいままでの攻撃的な態度と変わって、そのことに対し「仕方ない」と断じている。腫瘍のタロウは自身の能力で呪いの主、室戸を知っており恨んでいた半面、それを贖罪しようとした室戸を赦していたためそのように言葉を遺した
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