2014年10月01日
ママのホーム・オブ・ブルース
今回も前回の流れを受け、「最近、ダブリ買いをしてしまったCD」を取り上げます。
こうしてテーマを決めてのぞめば、「CDのチョイスにさほど悩まなくていい」ということもあります。
でも、それだけでなく、結果的にダブリ買いをしてしまったということは、その音楽に強い関心があるということでもあり、取り上げる価値は充分以上にあるのでした。
1. Cut You Loose (M. London)
2. A Stand By Your Woman Man (Angela Strehli)
3. Deja Blue (Angela Strehli, Mike Schermer, Joe Kubek)
4. A Man I Can Love (angela Strehli)
5. Boogie Like You Wanna (Charlie Bradix)
6. Give Me Love (Angela Srehli)
7. Still A Fool (Angela Strehli) with Lou Ann Barton, Marcia Ball (vocals)
8. Close Together (Jimmy Reed)
9. Hey, Miss Tonya (Angela Strehli)
10. Too Late (Tarheel Slim & Little Anne) with Doug Sahm (vocals)
11. Where The Sun Never Goes Down (Willie Mae Williams)
今回は、テキサスのブルース・ウーマン、Angela Strehliの98年作、"Deja Blue"です。
本作には、Doug Sahmが2曲でゲスト参加しています。
トラック8の"Close Together"では、Dougはギターを弾き、いつものDoug Sahmシンジケートのメンツたち、Jack Barber(bass)、George Rains(drums)のほか、ブルース・クラブ・アントンズのハウス・ミュージシャンで、Dougとも親交の深いDerek O'Brien(gt)が録音に参加しています。
そしてもう1曲が、トラック10の"Too Late" (元曲の表記は"It's Too Late")で、ほとんどDougメインという感じでAngelaとデュエットしています。
録音メンツでは、"Close Togethr"の面々に加え、あのGene Taylor(p)が加わっています。
Doug亡きあと、未発表音源の発掘に期待し続ける日々ですが、こういったゲスト参加での限られた既発音源、とりわけボーカル参加曲は、やはり貴重です。
(Dougは99年に天に召されたので、本曲の録音時期は不明ですが、晩年の収録と言っていいと思います。)
というわけで、私がこの盤に愛着を持ち、よく確かめずにふらふらとダブリ買いしてしまった理由は、Doug Sahm参加盤で、しかも彼の声が聴けるからです。
(まあ、だからこそ「きっと持っているはず、もっとよく探せ」、と今は自分自身に言いたいです。)
さて、くだんの"Too Late"のオリジナルは、Tarheel SlimとLittle Anneによるデュエツト曲で、Fireのレーベル・コンピなどで比較的容易に聴くことができます。
今は、さわりだけなら、アマゾンのMP3で手軽に試聴出来るので便利ですね。
余談ですが、私は、ターヒールという名前の響きが、以前から好きです。
名前だけ聞いていると、あたかも戦前のブルースマンかのようなイメージを持ってしまいます。
この男女デュエット曲、Doug、Angelaのどちらが選曲したのでしょう。
Angelaの声はLittle Annほどの個性を感じませんが、私にとっては、Dougの声が聴けるだけで幸せです。
今夜は、この盤のこのトラックを繰り返して聴いて、しばしば不定期に発症する、Doug Sahm欠乏症の頓服としたいです。
薬効は、レア曲であるほど効き目が強いのでした。
さて、これで終わりでもいいのですが、その他の曲についても軽く触れたいと思います。
まず、基本のバンドですが、バンマスのギター、Mike Schermerが地味ながら好プレイで全体の演奏をリードしています。
マイク・シャーマーさんは、マイティ・マイクの二つ名を持つ、スタジオのエースで、多くのブルース、ソウル系のミュージシャンの録音でギターを弾いてる人です。
また、自身のバンドを率い、メイン・アーティストのツアー・サポートをしたりもしています。
私がまず注目したのは、"Cut You Loose"、"A Stand By Your Woman Man"、そしてアルバム・タイトル曲"Deja Blue"へと続く冒頭の3曲でした。
"Cut You Loose"は、かっこいいテキサス・シャッフルで、線の細いレイ・ヴォーンなんて言葉が浮かびます。
曲は、Ricky Allenというよく知らない人がオリジナルのようですが、作者のMel Londonは、マディ、ウルフ、エルモアなど、そうそうたる偉人に曲を書いている人です。
マディの"Manish Boy"には、作者として、エラス・マクダニエル(ボ・ディドリー)、マディに加え、なぜか(?)このMel Londonの名前がクレジットされています。
Londonの作品で、今の気分で私が好きなのは、Junior Wellsの"Messin with The Kid"です。
そして、シャッフル・ブルースの後を受けるのが、ブルージー・バラードの"A Stand By Your Woman Man"です。
がらっと曲調の変わる、このアルバムの流れが良いです。
曲は、Angelaのオリジナルですが、タイトルが有名なタミー・ワイネットのカントリー・ヒット、"Stand By Your Man"を連想せずにはいられません。
そんな中、真っ先に注目してしまうのは伴奏のアレンジで、とりわけ出だしのギターの退廃的なトーンに耳が惹きつけられます。
これは、私の耳には、まるでAl Greenの"Love And Happiness"のイントロのデフォルメみたいに聴こえます。
(私のまぶたの裏には、スロウにチークする男女の姿が映っています。)
そして、"Deja Blue"です。
再びレイ・ヴォーンを連想せずにはいられないファスト・ナンバーです。
ここでは、マイティ・マイクがかなり弾きまくっていて本領発揮という感じです。
その他、マイクのオブリガードを中心としたプレイが、メインのアンジェラを盛り立てていて、派手さこそありませんが、気持ちいい響きのブルース、ソウル風味の曲が楽しめる好盤だと思います。
ちなみに、トラック7の"Still A Fool"には、Marcia Ball、Lou An Bartonの二人がボーカルで参加していて、特にルー・アンの声が、相変わらず魅力的です。
関連記事はこちら
Doug Sahm Guest Sessions
ズズ・ボーリン
君に捕らわれて
ウイリー・ネルソンにダグ・サームの隠し味Part2
ウイリー・ネルソンにダグ・サームの隠し味
Mike Schermer
マイティ・マイク
マイティ・マイク 1st set
おまけ
曲に歴史あり、ケパソ物語
こうしてテーマを決めてのぞめば、「CDのチョイスにさほど悩まなくていい」ということもあります。
でも、それだけでなく、結果的にダブリ買いをしてしまったということは、その音楽に強い関心があるということでもあり、取り上げる価値は充分以上にあるのでした。
Deja Blue
Angela Strehli
Angela Strehli
1. Cut You Loose (M. London)
2. A Stand By Your Woman Man (Angela Strehli)
3. Deja Blue (Angela Strehli, Mike Schermer, Joe Kubek)
4. A Man I Can Love (angela Strehli)
5. Boogie Like You Wanna (Charlie Bradix)
6. Give Me Love (Angela Srehli)
7. Still A Fool (Angela Strehli) with Lou Ann Barton, Marcia Ball (vocals)
8. Close Together (Jimmy Reed)
9. Hey, Miss Tonya (Angela Strehli)
10. Too Late (Tarheel Slim & Little Anne) with Doug Sahm (vocals)
11. Where The Sun Never Goes Down (Willie Mae Williams)
今回は、テキサスのブルース・ウーマン、Angela Strehliの98年作、"Deja Blue"です。
本作には、Doug Sahmが2曲でゲスト参加しています。
トラック8の"Close Together"では、Dougはギターを弾き、いつものDoug Sahmシンジケートのメンツたち、Jack Barber(bass)、George Rains(drums)のほか、ブルース・クラブ・アントンズのハウス・ミュージシャンで、Dougとも親交の深いDerek O'Brien(gt)が録音に参加しています。
そしてもう1曲が、トラック10の"Too Late" (元曲の表記は"It's Too Late")で、ほとんどDougメインという感じでAngelaとデュエットしています。
録音メンツでは、"Close Togethr"の面々に加え、あのGene Taylor(p)が加わっています。
Doug亡きあと、未発表音源の発掘に期待し続ける日々ですが、こういったゲスト参加での限られた既発音源、とりわけボーカル参加曲は、やはり貴重です。
(Dougは99年に天に召されたので、本曲の録音時期は不明ですが、晩年の収録と言っていいと思います。)
というわけで、私がこの盤に愛着を持ち、よく確かめずにふらふらとダブリ買いしてしまった理由は、Doug Sahm参加盤で、しかも彼の声が聴けるからです。
(まあ、だからこそ「きっと持っているはず、もっとよく探せ」、と今は自分自身に言いたいです。)
さて、くだんの"Too Late"のオリジナルは、Tarheel SlimとLittle Anneによるデュエツト曲で、Fireのレーベル・コンピなどで比較的容易に聴くことができます。
今は、さわりだけなら、アマゾンのMP3で手軽に試聴出来るので便利ですね。
余談ですが、私は、ターヒールという名前の響きが、以前から好きです。
名前だけ聞いていると、あたかも戦前のブルースマンかのようなイメージを持ってしまいます。
この男女デュエット曲、Doug、Angelaのどちらが選曲したのでしょう。
Angelaの声はLittle Annほどの個性を感じませんが、私にとっては、Dougの声が聴けるだけで幸せです。
今夜は、この盤のこのトラックを繰り返して聴いて、しばしば不定期に発症する、Doug Sahm欠乏症の頓服としたいです。
薬効は、レア曲であるほど効き目が強いのでした。
さて、これで終わりでもいいのですが、その他の曲についても軽く触れたいと思います。
まず、基本のバンドですが、バンマスのギター、Mike Schermerが地味ながら好プレイで全体の演奏をリードしています。
マイク・シャーマーさんは、マイティ・マイクの二つ名を持つ、スタジオのエースで、多くのブルース、ソウル系のミュージシャンの録音でギターを弾いてる人です。
また、自身のバンドを率い、メイン・アーティストのツアー・サポートをしたりもしています。
私がまず注目したのは、"Cut You Loose"、"A Stand By Your Woman Man"、そしてアルバム・タイトル曲"Deja Blue"へと続く冒頭の3曲でした。
"Cut You Loose"は、かっこいいテキサス・シャッフルで、線の細いレイ・ヴォーンなんて言葉が浮かびます。
曲は、Ricky Allenというよく知らない人がオリジナルのようですが、作者のMel Londonは、マディ、ウルフ、エルモアなど、そうそうたる偉人に曲を書いている人です。
マディの"Manish Boy"には、作者として、エラス・マクダニエル(ボ・ディドリー)、マディに加え、なぜか(?)このMel Londonの名前がクレジットされています。
Londonの作品で、今の気分で私が好きなのは、Junior Wellsの"Messin with The Kid"です。
そして、シャッフル・ブルースの後を受けるのが、ブルージー・バラードの"A Stand By Your Woman Man"です。
がらっと曲調の変わる、このアルバムの流れが良いです。
曲は、Angelaのオリジナルですが、タイトルが有名なタミー・ワイネットのカントリー・ヒット、"Stand By Your Man"を連想せずにはいられません。
そんな中、真っ先に注目してしまうのは伴奏のアレンジで、とりわけ出だしのギターの退廃的なトーンに耳が惹きつけられます。
これは、私の耳には、まるでAl Greenの"Love And Happiness"のイントロのデフォルメみたいに聴こえます。
(私のまぶたの裏には、スロウにチークする男女の姿が映っています。)
そして、"Deja Blue"です。
再びレイ・ヴォーンを連想せずにはいられないファスト・ナンバーです。
ここでは、マイティ・マイクがかなり弾きまくっていて本領発揮という感じです。
その他、マイクのオブリガードを中心としたプレイが、メインのアンジェラを盛り立てていて、派手さこそありませんが、気持ちいい響きのブルース、ソウル風味の曲が楽しめる好盤だと思います。
ちなみに、トラック7の"Still A Fool"には、Marcia Ball、Lou An Bartonの二人がボーカルで参加していて、特にルー・アンの声が、相変わらず魅力的です。
A Stand By Your Woman Manをどうぞ
(ただし、ライヴ音源です)
(ただし、ライヴ音源です)
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