2014年12月04日
浅草寺の心霊写真
東京の写真専門学校に通っていた頃の話を、このブログに載せたことがある。北海道からポッと出の若者にとって、今も昔も東京が刺激的でエネルギッシュな街なのは代わらない。ことさら、目くるめく被写体はどこにでも転がっていた。当時は、どこに行くにもカメラ持参で、興味を覚えた被写体を撮りまくっていた。週末には、北海道にはない歴史の深さを感じさせる浅草によく出かけた。仲見世や六区、花やしきと浅草寺周辺の写真は数限りない。
その浅草のある一角で撮った写真に、思いがけないものが写り込んでいたことがあり、昨年秋と今年春に、その場所を訪ねた。当時のその撮影場所は、浅草寺の裏手に建立された慰霊碑だったと思う。秋の黄昏がちかい時間帯で、慰霊碑にあたる陽の光は、陰と陽の強いコントラストを作っていた。もともと、慰霊碑を写すのが目的ではなく、スポットライトを照射したような光の帯と、それが作る濃い影の対比を表現したかったからだ。慰霊碑の後ろには植え込みの垣根があったが、写真を現像するまでそのことに気づかなかった。
ネガの現像はアパートの共同台所で、プリントは4畳半の自分の室で行っていた。その日のネガをベタ焼きして、慰霊碑の写真だけは、四つ切の印画紙に焼いた。なぜその写真が気になっていたのかは、自分でも分からない。定着液を洗い流したあと、1時間ほど乾燥させて出来上がった写真には、あちこちに3ミリから5ミリほどの小さな気泡のようなものが写っていた。
それは、慰霊碑の後ろにある垣根の部分に集中していた。さらに目を凝らしてみると、目の部分が暗く落ち込んだ赤ん坊の顔だった。その時初めて、あの慰霊碑は水子供養のために建立されたものだと気づいた。
当時のアルバイト先の上司に見せると「確かに赤ん坊の顔がたくさん写っている」と、不思議そうに見ていた。その後、手元に置いていても気持ちが悪いので、写真とネガを燃やした。その写真は、現在までに出回ったほかの心霊写真と比較しても衝撃度は非常に高かった。
昨年秋に、浅草寺に行く機会があった。そのついでに慰霊碑のあった場所に行ってみると、いくら探しても見当たらない。また、今年春に上京した折には本気で探したが、もしかしたら以前の慰霊碑が取り壊されて、昭和54年9月に建立された鎮護堂の水子地蔵菩薩がそれに替わったのではと思った。
写真上:戦災者供養のために建立された浅草寺境内の平和地蔵尊、同下:昭和54年9月に鎮護堂に建立された水子地蔵。慰霊碑の跡にこの地蔵尊が建立されたのでは、と思っている
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
その浅草のある一角で撮った写真に、思いがけないものが写り込んでいたことがあり、昨年秋と今年春に、その場所を訪ねた。当時のその撮影場所は、浅草寺の裏手に建立された慰霊碑だったと思う。秋の黄昏がちかい時間帯で、慰霊碑にあたる陽の光は、陰と陽の強いコントラストを作っていた。もともと、慰霊碑を写すのが目的ではなく、スポットライトを照射したような光の帯と、それが作る濃い影の対比を表現したかったからだ。慰霊碑の後ろには植え込みの垣根があったが、写真を現像するまでそのことに気づかなかった。
ネガの現像はアパートの共同台所で、プリントは4畳半の自分の室で行っていた。その日のネガをベタ焼きして、慰霊碑の写真だけは、四つ切の印画紙に焼いた。なぜその写真が気になっていたのかは、自分でも分からない。定着液を洗い流したあと、1時間ほど乾燥させて出来上がった写真には、あちこちに3ミリから5ミリほどの小さな気泡のようなものが写っていた。
それは、慰霊碑の後ろにある垣根の部分に集中していた。さらに目を凝らしてみると、目の部分が暗く落ち込んだ赤ん坊の顔だった。その時初めて、あの慰霊碑は水子供養のために建立されたものだと気づいた。
当時のアルバイト先の上司に見せると「確かに赤ん坊の顔がたくさん写っている」と、不思議そうに見ていた。その後、手元に置いていても気持ちが悪いので、写真とネガを燃やした。その写真は、現在までに出回ったほかの心霊写真と比較しても衝撃度は非常に高かった。
昨年秋に、浅草寺に行く機会があった。そのついでに慰霊碑のあった場所に行ってみると、いくら探しても見当たらない。また、今年春に上京した折には本気で探したが、もしかしたら以前の慰霊碑が取り壊されて、昭和54年9月に建立された鎮護堂の水子地蔵菩薩がそれに替わったのではと思った。
写真上:戦災者供養のために建立された浅草寺境内の平和地蔵尊、同下:昭和54年9月に鎮護堂に建立された水子地蔵。慰霊碑の跡にこの地蔵尊が建立されたのでは、と思っている
人気ブログランキングへ
にほんブログ村
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/3044819
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック
仏像の右手、日陰になっている植え込みのあたりに。
気のせいかしら。
上の写真、写ってますよね。
拡大してみてびっくりしました。