アフィリエイト広告を利用しています
ファン
検索
<< 2018年03月 >>
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
写真ギャラリー
最新コメント
太陽になる時が来たんだ by トバ (04/26)
太陽になる時が来たんだ by ちゃちゃ丸 (04/26)
太陽になる時が来たんだ by トバ (04/25)
太陽になる時が来たんだ by よし (04/25)
FIRST LOVE TWICE by トバ (04/14)
タグクラウド
カテゴリーアーカイブ
プロフィール
toba2016さんの画像
toba2016
安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
プロフィール

2018年03月21日

To me

安全地帯5 [ 安全地帯 ]

価格:2,511円
(2021/4/17 17:16時点)
感想(2件)




安全地帯V Harmony』十一曲目、すなわち『安全地帯V』のラストチューン、「To me」です。

エレクトリック・ピアノの澄んだ音で「ジャジャジャン〜」と始まるこの曲を聴くと、ああ、このアルバムも終わりか……いいアルバムだったな……と強烈に思わされます。これで11曲目、『安全地帯V』全体でいうと36曲目、二時間も名曲たちを聴いてきた果てにある、この終局感の高さたるや……ここまでの名曲たちの感動をすべてまとめ上げる力をもつ、屈指のバラードです。ここまでの圧倒的な感動の余韻を、あっさりした小曲で受け流さず、正面から受け止めて最後まで感動させてくるのです。それでいて「デザートは?」なんて不満を残させない、信じがたいほど見事な終わり方です。この役割は、他の曲では果たせないように思われます。そう、あの「ほゝえみ」でさえも……。

「To me」というタイトルだけみれば、「あなたに」と対になる曲なのです。「あなたに」が、愛しくてたまらないけどそれで君を苦しめるなら一歩引くよ的な、ちょっと余裕と遠慮のみられる曲であるのに対し、この「To me」は遠慮なんてしません。「……して、……して、……ほしい、……ほしい、……から」と、グイグイ引き寄せます。最後だけが「眠ろう」と、要求でなくお誘いなんですが、これも松井さんにより計算されつされた戦略です。そりゃここまでくれば、「なにも言わないで」なんて言われずとも、なにも言えず眠るしかありません。「あなたに」から数年を経て、石原さんとの物語を終えた玉置さん、そして安全地帯の音楽をこれ以上なくドラマチックにしめくくる、見事な、ほんとうに見事な曲です。

もちろん安全地帯はこの後も続くのですが、次作『安全地帯VI〜月に濡れたふたり〜』までに、すこし間が空きます。その間、ちょっとしたリフレッシュ期間的に玉置さんはじめメンバーのソロ活動が挟まるのです。リフレッシュなんだから保養地とかで休もうよと思うのですが、この人たちはそうはいかないんですね。ともかく、「To me」を締めくくりとして、このアルバムのみならぬ「何か」が終わったのは確かなのです。

のちに玉置さんのソロアルバム『ワインレッドの心』一曲目がこの「To me」だったことは、大した意味はなかったのかもしれませんが、わたくしにはとても暗示的に見えました。安藤さと子さんのピアノと、武沢さんだけがいないにしても安全地帯のメンバーたちで録音されたこのアルバムが、「あの時代」「あの物語」を終わらせたこの「To me」から始まるとは……その後、『安全地帯IX』で再始動する安全地帯の基調は、これにより決定されたようなものだったと、わたくしには思えました。

さて、この曲、イントロから一気にエレクトリック・ピアノのコード・ストロークで、静かに、しかし力強く、グイグイと迫ってきます。くちびるをあずけるなんて、長くて数分、現実的には秒単位でしょう。ですから、「いまだけ」の「いま」は、本当に刹那の「いま」なのです。

そしてストリングス、六土さんのベース、少し遅れて田中さんのドラムが入ります。リズム隊のお二人は、ひたすら堅実です。いや、全員堅実なんですけど(笑)、この曲でこの二人がアソビを入れると収拾がつかないくらい壮大なアレンジなので、ことさら堅実に聴こえるのです。「いやー、まあ、ちょっとは気にするけど、いつも通りで大丈夫だよ!」とかニコニコ言いそうなお二人であるのも、いつも通りです(笑)。ギターは、先に聴こえるアルペジオが矢萩さん、歌の合間に「トルルン・トルルン」とアオリを入れるのが武沢さんですね。壮大なシンセやピアノが目立つ曲に、ギターのお二人の、この仕事は渋すぎます。わたくし、バラードにはかならず「ンパララ〜(アルペジオ)トルルン・トルルン(アオリ)」と入れるパターンをしばらく使い悦に入っておりましたが、例によって誰も気づいてくれませんでした(笑)。

そしてダイナミックな展開(E→F→G→Aを一拍ずつダン!ダン!ダン!ダン!……これも単純なのに渋すぎです)で曲はサビに入ります。「あなたの」「つたえて」に入る、三度下のコーラスが美しいことといったら!ライブの映像で見る限り、武沢さんのようですね。玉置さんの歌を支える、最高のコーラスです。これはさすがに、安全地帯に興味のないうちのメンバーでさえも「このコーラス、カッコいいね!」と称賛しておりました。そうだろうそうだろう、さあ君もこういうコーラスを入れるんだ!と思いましたが、うちのメンバーは揃いも揃って歌うことには少しも興味がなく、パンテラの「Walk」のように叫んだり吠えたりするのが好きなのでした(笑)。

そして曲は「あなたに」が「Goodbye」で区切るところを、「To me」というささやき、そして三連符で音階を駆け上がるエレクトリック・ピアノで区切ります。なんというドラマチックな緩急の付け方!ため息が出ます。そして二拍の間を取り、ストリングス・ベース・ドラムのユニゾンで「ジャジャジャーン」と二番がはじまります。ここは、いってみれば変拍子なんですが、四拍だと「ジャジャジャーン」が待ちきれません(笑)。それはたんに長年この曲を聴いてきたからそう感じるだけなのかもしれませんが、必然性のある変拍子に思えてならないのです。

さみしい夜を忘れさせ、あなたのためにいたいと宣言しつつ、曲は二回目のダイナミックな展開を迎えます。ここで曲は、玉置さんが声を切なく張り上げ、あげくにものすごく細かい「ピヨヨピヨヨピヨヨピヨヨ〜」というシンセの音がまるで子鳥たちが舞うかのように響き渡り、聴く者の胸にガトリング砲のように迫ってきます。そして玉置さんが、これまで抑えに抑えていたかのように「To me」と叫ぶのです。これはひどい、感動せざるをえません、というか、すでに感動してるんだからここまでダメ押ししなくても!徹底的すぎます(笑)。

そして曲は最後の局面、Aメロに戻ります。ギターのお二人が、まるで先ほどの大規模攻撃がなかったかのように、「ンパララ〜(アルペジオ)トルルン・トルルン(アオリ)」と、泣かせに来ます。玉置さんも前半の歌詞を繰り返し、あれ、もしかして本当に何事もなかったのかな、と一瞬思わせるのですが、これまでと調子を変え「眠ろう」とお誘いをかけることにより、やっぱり何事もなかったわけじゃないんだ!と思い起こさせるのです。そして曲は壮大なオーケストレーションをリタルダンドで入れ、わずか数小節で終わります。あっ……終わった……ジワジワジワ〜と「To me」そして超大作『安全地帯V』の余韻をいつまでも胸の中にフィードバックさせる、パーフェクトな終わりかたです。これは、二時間このアルバムを聴いてきたのでなければ得られない感動かもしれません。ベートーベンの交響曲を聴き終わったときの感動に近いものがあります。この「To me」は、魂揺さぶられっぱなしの二時間を締めくくるにふさわしい、超弩級の名曲だといえるでしょう。こんな名曲がシングルになっていないのはなぜかと思ったこともありましたが、シングルじゃ生きないですよね、この曲のスケールは。

さて、とうとう『安全地帯V』の記事も書き終わりました!次は、おそらく『All I Do』になります。どうぞ引き続きご愛顧いただけたらと思います。

安全地帯5 [ 安全地帯 ]

価格:2,511円
(2021/4/17 17:16時点)
感想(2件)


2018年03月17日

夢になれ

安全地帯5 [ 安全地帯 ]

価格:2,511円
(2021/4/17 17:16時点)
感想(2件)




安全地帯V Harmony』十曲目、「夢になれ」です。

玉置さんが歌う「だんだん」が強烈なアクセントになって、耳を離れない名曲といえるでしょう。松井さんと玉置さんが生み出した「声リフ」ですね。

わたくしが好きなので当ブログでも何度か言及されている沢木耕太郎さんに、「いま、歌はあるか」というルポルタージュがあります。その中に、ヒット曲から抽出された登場頻度の高いことばを一位から単純に並べただけのデタラメ歌詞が、わりとそれらしい70年代歌謡曲の歌詞になってしまっている、という悲しくも可笑しい話が載っているのです。調べてみると、なんと作詞者のほうも作詞で行っている作業はそれと大同小異のようなもので、ほとんどウケる言葉の順列組み合わせのようなものだった……「ヒット曲」を次から次へと作ることに忙しくて、とてもそれ以上のことなどしている、試してみる、言ってみれば「勝負に出る」余裕なんかない……という、日本歌謡界の商業化とか堕落とか、いかにも70年代後半らしい基調で話は進められていきます。あ、いや、嫌いじゃないですよ。むしろ好きです、そういう社会批判精神みたいなやつ。わたくしが若いころくらいまでは、ガクモンとかブンガクとかゲイジュツとかの世界では、そういう雰囲気がわりと支配的でしたから。事実、そういう雰囲気こそが、フォークや、いわゆるシンガーソングライター、ニューミュージックといったものを生み出す原動力になったのでしょう。「ひとふしの魅力」とプロの演奏力で勝負するヒットメイカーたちによる歌謡曲と、批判精神や物語性・情緒・情景的な魅力をふんだんに持っていたものの演奏力はイマイチだった新世代の音楽たち、双方の長所を併せ持っていたのがこの時期の松井・玉置コンビを擁する安全地帯だったのではないか、とそう思うわけです。それほど、この「だんだん」の力は強いです。

ああ、話がすっかりそれました。では、前曲「燃えつきるまで」のラストから……「キュワーーン」と、ギターともシンセともつかぬ音に景気づけられ「夢になれ」は始まります。ズッ・クツ・タカ!ズッ・ク・タカタカ!のリズムで田中さんのドラムと六土さんのベースが「二人で一つ」の分厚い基本リズムを形作る裏で、川島さんのシンセパッドがチャンカチャカチャカ……と、まるで南半球の民族音楽かと思われるほどのアオリを入れています。こんなリズム、日本の歌謡界はもちろん、ロック界でも前代未聞なのではないでしょうか。時は80年代中盤から後半、ジャパン・アズ・ナンバーワン、ロン&ヤスで先進国のツートップを張っていた時代です。デジタルでキッチュでポップでコケティッシュで……と、日本人がわけのわからない優越感に浸っていた時代に、いきなりその頭をガツンと叩きつけるような、強烈な魅力をもったリズムです。このとき叩かれたことにも気づかなかったような人たちが、のちの90年代J-POPムーブメントを作っていったんですけども(笑)。そして、低く低くおさえた武沢さんのギターが「キコカコキコカコ……」と細かく細かく刻まれ、遠くからやってきて、玉置さんの歌がはじまります。

この後、武沢さんがよく目立つ歌の導入部「キコカコキコカコ……」や歌のアオリのアルペジオを担当し、矢萩さんが「・チャ・チャチャ……ンカカカ・カカカカ……」と細かく刻まれているリズムを担当されているようです。矢萩さんのパートは、けっこう頑張って耳を澄まさないと気づくのは難しいかもしれません。この矢萩さんの役割、非常に渋いです。こういうギターは、わたくしにはできません。自分が出しゃばりなんだと気づかされます。かといって武沢さんが出しゃばりかといえば、もちろんそんなわけはなく、わたくしがこの場にいたら絶対にサビでギャンギャンと弾きまくり、せっかくの最先端なこの名曲を、台無しにしたに違いないのです。

またこの曲では、ホーン・セクションが派手に取り入れられており、Bメロからサビ、間奏で非常に印象的なアオリを入れます。この役割は、ギターでは果たせないようで、2010年の復活ライブでも、シンセでホーンセクションを代用していました。ズラリと並んだホーン部隊が、なぜかアクションまで揃えて、生ブラスの音色を武道館に響かせた『To me 安全地帯LIVE』が、いかに豪勢なものだったかがよくわかります。

ゴージャスそのものの布陣で炸裂するこの「夢になれ」は、「ふたりで踊ろう」「銀色のピストル」などと同じく、もしかして玉置さんにとっては、思う存分自分の世界を表現できるものであったかもしれません。その一方で、一度動き始めてしまうと、玉置さんがリアルタイムで思うように操ることのできない規模のものとなっていたのかもしれません。ステージに10人以上いますので、アイコンタクトったって限界がありますからね。聖徳太子でもさすがに目は10個もないでしょう。そんなわけで、「夢になれ」もまた、この後数年を経るともう二度と見られなくなってしまうゴージャス安全地帯を象徴する曲だといえるでしょう。

さて歌詞です……一言でいえばやぶれかぶれの情事、なんですが(笑)、そこにさえある種の美しさと悲しさをまとわせたドラマとして魅せてしまう、信じがたい言葉の力、歌の力に圧倒されます。もう、松井玉置コンビの行く手を阻むものは何もない、とさえ感じられてしまいます。

なにもかも忘れて、なにもかも奪い、踊り、叫ぶカーニバル(謝肉祭)は、ジェイムズ・ジョイスの小説で肉屋が売春宿を兼ねていることを暗示させる肉のイメージを、聴く者の心に強烈に叩き込みます。

仮面をつけたまま肉と肉をあわせるなかで、「だんだん」と、仮面の下に隠されていたものが顕れてきます。デジタルでキッチュでポップでコケティッシュな(笑)雰囲気を纏おうと努力していても、それはしょせん虚飾にすぎません。「他愛ない嘘」も「飾られたよろこび」も、破裂したかのような涙で剥がれ落ちてゆき、「なさけない孤独」が露になります。

そんなこと、どうでもいいんだ、あなたを愛してるんだ、わかってないんだね、ぼくは叫ぶんだ!

デジタルで……後略(笑)の時代を寵児として駆けぬける玉置さんに、そんなことを歌われたんじゃ、前略……コケティッシュな女性はたまりません。松井さん、玉置さん、わかっててやってますね、超ズルいです(笑)。

この曲のものすごさは、当時の社会の雰囲気を肌で感じていた人でないと、わかりにくいかもしれません。ただ、もしかして、トバ解釈だからこそそう感じられるだけという可能性はおおいにあります。ツェッペリンの「カシミール」や「アキレス最後の戦い」のように、もうこんな曲が生み出される時代は二度と来ないだろうとわかっているほど時代に埋め込まれた曲であるにもかかわらず、新しい時代でも新しい輝きを見いだされ続ける曲であるのかもしれません。

余談ですが、2010年のライブ『安全地帯”完全復活”コンサート2010 Special at 日本武道館 〜Stars & Hits「またね…。」〜』では、この曲の途中でチューニングをいじる六土さんの姿を見ることができます。わたしのスキルでは曲の途中なんてそんなリスクはおかせませんので、我慢してつぎの曲間まで待ちますが、六土さんのプロフェッショナリズムとスキルが、それを許さないのでしょう。やはり渋いです。

安全地帯5 [ 安全地帯 ]

価格:2,511円
(2021/4/17 17:16時点)
感想(2件)