2019年09月28日
見切りをつけることも大切? 仕事への不満は不健康の源
「何のために働くの?」という疑問は、ある意味、人生の大きなテーマなのかもしれない。お金のためと割り切っている人もいれば、仕事が生きがいという人もいる。どれが正解というものでもないだろう。ただし、1日の生活時間の大半を費やす仕事、しっかり選ぶ必要はあるようだ。
仕事のキャリアの早期に、その仕事に満足できていないと、40代以降の心身の健康に影響が出るというレポートが発表された。
あなたは自分の仕事に満足できていますか?
□米国の大学 6,400人の男女に対する数十年の調査
米ジョージ・メイソン大学では、1979年から仕事に関する長期の研究を続けてきていた。
その研究では、6,400人以上の25〜39歳の男性と女性に対して、自分の仕事に満足できているかといったことを、毎年アンケートが行われた。そしてその結果と彼らが40代になってからの精神的および肉体的健康の関連性を調査した。
□仕事に満足できないと心身の健康に影響がある
その結果、45%が仕事にあまり満足していないと答える一方、15%の人が仕事に満足していると一貫して答えた。また、約25%の人は徐々に仕事の満足度が落ちていったのに比べ、17%の人は徐々に満足度が上昇していった。
仕事に満足できていない人や徐々に満足度が落ちた人では、腰痛や風邪を頻繁にひくなど、普段の健康に関して問題が多い傾向にあったが、糖尿病やがんなど重度の病気のリスクは高くならなかった。
また、うつなどの重度の精神疾患も多くはなかったが、睡眠障害や不安感などの精神衛生上の問題は、仕事に満足している人たちに比べて多かった。
重大な健康リスクではなく、日常のちょっとした心身の健康に異常が出た形である。
□50代以降の健康への影響については不明
しかしこの研究には、今後の研究課題として以下の2点の問題があげられる。
1.49歳以降の健康状態の調査を行っていない
2.仕事の満足度が健康状態に影響するのではなく、健康状態の悪い人が仕事の満足度が低いという可能性がある(※1)。
それでもやはり仕事の満足度と健康の間の関連性があるだろう。
また、頻繁な風邪は免疫力低下による影響である可能性が高く、睡眠障害などはがんや高血圧などの慢性病のリスクになることも知られており、50歳以降の高齢期にはさらに大きな影響が出てきても不思議ではない。
□仕事のストレスで寿命が最大3年縮む可能性
2015年の米スタンフォード大学と米ハーバード大学の研究では、ストレスの多い仕事についている人は最大3年も寿命が縮む可能性があるという結論を出している。
・仕事がない、もしくは解雇
・健康保険がない
・シフトの仕事
・長時間労働
・仕事の安全性の問題
・仕事と家庭の両立の問題
などが寿命を縮める要因になっているという。多くは経済的な問題により仕事を選択できないという側面もあるため、一概に仕事のストレスだけが寿命を縮める原因ではないと思われるが、仕事のストレスは健康や寿命に影響するという結論に達している(※2)。
お金のため、趣味のため、家族のために仕事は義務として我慢するという人はいるだろうし、それは立派なことでもある。
だが、今の仕事に不満があれば、早めに仕事に見切りをつけて新しい仕事を探すというのも、自分の健康や長寿のためには必要なのかもしれない。何のために働くのか、普段なかなか考えることはないだろうが、一度考え直してもいいだろう。