2019年09月27日
嫌わないで! 目やにが出ることは健康な目の証し
朝起きると目にたまっている目やに。こんなものなければいいのにと思うのだが、目やにはとても重要な役割を果たしているのだ。
□目やには“目の掃除屋さん”
目やには、ほぼ毎日、目にたまる。いったい何者なのだろうか。目やには目にたまった“ごみ”を包みこんで外に出してくれている。“ごみ”とは代謝によって生まれ変わっている角膜や結膜の古い細胞などだ。
また、風邪をひいたときに目やにが増えた経験はないだろうか。これは、白血球によって分解されたウイルスや細菌の残骸と白血球が目やににくるまれて排出されたものだ。だから普段よりも目やにの量が多くなる。
□目やにって何からできているの?
目やにの「やに」は漢字で書くと「脂」。ということは、目やには「目の脂」ということになる。医学的にも「眼脂(がんし)」といわれている。
さて、まぶたの縁にはマイボーム腺という油成分を分泌する組織があるのだが、分泌された油成分はマイボムと呼ばれ、水分などといっしょになって涙となる。目やにはこのマイボムが固まったものなのだ。
人の体温では液体なのだが、夜間、少し体温が下がることで固体になると考えられている(※3)。朝、起きると目やにがたまっている、つまり寝ている夜の間に目やにが作られるのは、このようなわけなのだ。
□マイボムが果たす2つの重要な役割とは
逆に言えば、マイボムがなければ目やにはできないという話になるのだが、マイボムは2つの大切な役割を果たしており決して欠かせない存在なのだ。まず1つは、マイボムがなければ、涙がどんどん出てきてしまうという事態に陥る。常に泣いている―そんなことになってしまう。涙のストッパー役といえるだろう。
そして目を乾燥から守ってくれている。これがとても大切な役割なのだが、現在、日本に2200万人いるといわれるドライアイは、涙の状態が不安定になり、涙が蒸発してしまうのが原因だ。ドライアイになれば、単に乾燥して目がしょぼしょぼするというだけでなく、視力の低下までも招いてしまうのだ。
□目やにの正しい取り方 指はNG!
目やにが、そして目やにのもとになるマイボムが重要な存在であるには違いないが、やはりエチケット上、目やにはきちんときれいに取り去ってから人に会いたいものだ。
まず、絶対にやってはいけないのが目やにを指で取ることだ。清潔なティッシュペーパーや綿棒などで拭き取ることが大切だ。
単なるごみが含まれている目やにならいいが、ウイルス性の病気だった場合、感染力が強いので目やにから指へ感染が広がり、さらに、その手が触ったものから感染が広がり…と感染のリスクが上がるからだ。
□目やにはありがたい存在
ここまで読んでくると、朝、鏡の前で目やにがちゃんと取れたかどうかチェックするのも、そうおっくうではなくなってくるかもしれない。目やにが出るということは、マイボムが機能しているということだ。つまり、目が大切に守られているという証しなのだ。「ありがとう」と言わなければならない存在なのだ。