2013年06月15日
寝る前にパソコンやスマホを見ても睡眠の質は下がらないらしい
ネット社会と言われる現代、夜遅くまでPCやスマホなどを使っている人は多いはず。しかし、寝る直前まで明るい画面を見ていると、寝付きが悪くなりがちだ。
「就寝前に明るい液晶画面を注視すると睡眠の質が低下する」という研究結果も出ており、モバイル端末と現代人の寝不足は密接な関係にあると言える。
しかし最近米国の研究チームが、画面の明るさや目からの距離を正しく使えば問題ないとの調査結果を発表したのでぜひご紹介したい。
・睡眠と明るさの関係
眠りには「睡眠ホルモン」と呼ばれる、「メラトニン」という物質が大きく関係している。メラトニンは夕方から分泌され、夜暗くなるにつれ徐々に分泌量が増えて眠気を起こす。遅い時間に強い光を浴びると寝付きが悪くなるのは、このメラトニンの分泌が阻害されるからだ。
研究チームは、メラトニンの分泌に影響を与えない明るさを「30ルクス以下」とし、数種のモバイル端末の明るさレベルを調べた。
・ポイントは端末を明るさ「30ルクス以下」で使うこと
実験では、暗い部屋でタブレット2種(初代iPad、iPad3)とスマホ1種(iPhone4)の計3種の端末を使用。画面の明るさ設定、および画面からの距離を変えて30ルクス以下が実現できる環境を調べた。
・最も明るい画面設定の場合
【画面からの距離ゼロでは】
初代iPad → 124ルクス
iPad3 → 248ルクス
iPhone4 → 275ルクス
【画面からの距離14インチ(約35センチ)では】
初代iPad → 21ルクス
iPad3 → 32ルクス
iPhone4 → 8ルクス
・最も暗い画面設定の場合
【画面からの距離ゼロでは】
iPad3 → 2ルクス
初代iPad → 11ルクス
iPhone4 → 2ルクス
・結論 ―― 「中」以下の明るさで目から離して使おう
実験では多くの端末では画面の明るさを「低〜中」に設定するか、35センチほど離して使えば、目に届く光がメラトニンの分泌を阻害する30ルクス以下に抑えられるという結果となった。ただし実験を行ったルイス・クラーン博士は、「最も暗い設定では画面が見にくいので、暗め〜中間の設定が現実的」と補足している。
ただし、iPad3のようなかなり明るい一部端末は、暗めの画面設定にし、かつ目から十分な距離で使えば良いということになる。
・「明るい夜」が現代人の健康を害している
ベッドに入ってタブレットで読書したり、携帯をいじったり……と寝る直前まで液晶画面を見ていることが多い我々現代人は、60年前と比べて4倍の光量にさらされているという。
ハーバード大学の睡眠学教授チャールズ・ツェイスラー博士は、「睡眠時間の短縮や睡眠サイクルの乱れは、肥満や糖尿病、心臓病、うつ病、集中力低下なども引き起こします」と警告している。モバイル端末の使い方に気を付けて質の良い睡眠を取り、気分スッキリ、元気に朝を迎えたいものである。
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