2019年09月09日
9時間以上の睡眠に認知症のリスク?長時間睡眠に潜む4つの疾患
睡眠不足だと体調を崩しやすくなるので、健康を保つために睡眠は大切ですよね。
しかし、長時間の睡眠もかえって健康を害する場合があるといった研究がアメリカの大学教授によって報告されました。
今回は長時間睡眠に関する研究の概要、長時間睡眠が肉体、精神面に与える影響等を医師に解説していただきました。
長時間睡眠に関する研究概要
ボストン大学医学部のSudha Seshadri博士によって、以前は長時間睡眠取らず、1日9時間以上眠るようになった高齢者は、10年後に認知症を発症するリスクが2倍以上であるとの報告がなされました。
もともと9時間以上眠っていた人については、認知症発症リスクは高くならないとのことです。
しかし、認知症リスクの高い人の睡眠時間が長くなる理由として推測されているのは、アルツハイマー病の患者で脳に沈着するアミロイドベータという有害物質が脳に貯まろうとするときに、それを除去しようとする働きが睡眠時間を長くしているのではないかと考えられています。
長時間睡眠の定義
睡眠習慣は個人差が大きく、子どもや高齢者、療養中、妊娠中などでは睡眠の必要量が多くなるのは当然ですが、一般的には1日10時間以上の睡眠が必要になる場合は明らかに長時間睡眠と言えるでしょう。
長時間睡眠が寿命を縮める?
過去の疫学調査では、睡眠が短すぎても長すぎても死亡率が高くなり、7時間程度の睡眠時間が最も死亡率が低かったと報告されています。
睡眠時間が長いことが寿命を縮めるのか、それとも寿命を縮めるような要因が他にあって、その要因が寿命を縮めると同時に長時間睡眠を要するような体内環境を作っているのか…は今のところ不明です。
長時間睡眠が心身に与える影響
肉体面
活動量が少なくなるため、筋肉量低下などの懸念があります。
精神面
平日に眠れない分を休日に寝て取り返す「寝だめ」はできないと言われています。
休日だけ長時間眠る習慣があると、リズムが崩れかえって体調を崩したり、頭がはっきりしない、活動的になれないということもあるでしょう。
短時間睡眠が心身に与える影響
肉体面
極端な短時間睡眠は十分疲れが取れず、ストレス性の疾患の危険が高くなります。
睡眠が足りないのをカフェイン摂取などでごまかそうとすることで、動悸や頭痛などが起こる可能性があります。
精神面
睡眠が足りなければ頭が回らない、やる気が起きないというのは多くの人が経験していることでしょう。
長時間睡眠に潜む疾患の危険性
ナルコレプシー
ナルコレプシーは精神科の疾患で、日中に異常な眠気の発作が起こり、倒れこむように眠ってしまう病気です。
睡眠時無呼吸症候群
肥満、扁桃腺肥大、鼻疾患などで睡眠の質が落ちており、長時間眠っていても日中の眠気が激しくなります。睡眠中にいびきをかいては息が止まるということで家族に指摘されることもあります。
運転中の居眠りが大事故につながった事件から有名になりました。
脳損傷
脳の外傷後に睡眠リズムが崩れ長時間眠り続けることがあります。
反復性過眠症
一日20時間ほど眠る期間が数日程度続き、数週間から数カ月間隔で繰り返す原因不明の状態です。
睡眠については未解明な部分が多い
睡眠についてはいまだに解明されていないことも多く、また、「眠れない」ことに対しての薬は多くありますが、「睡眠時間を短くする薬」はありません。
子どもや高齢者はまだしも、就学、就業されている方で毎日10時間睡眠を必要とする方は生活上困難を感じられることでしょう。
ご自身の睡眠について問題を感じられている方は、精神科や睡眠医療センター、睡眠クリニックなどでご相談されてもよいかと思います。
毎日同じぐらいの時間帯にすんなりと眠りにつき、気持ちよく目覚めることができるのが理想です。
しかし、勤務時間が不安定だったり長時間勤務を求められたり、また眠る直前までパソコンやスマートフォンを見ることで、若年者も含めて睡眠習慣は乱れる傾向にあります。
ご自身の快適な睡眠習慣を見つけられるとよいですね。
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