2019年08月22日
食事アレルギー 1歳以下での抗生物質が引き起こしていたかも!?
今や医療に欠かせない抗生物質。しかし、ペニシリンが発見されたのは1928年。まだ発見されてから100年もたっていない。今元気に生活している90歳のおじいちゃんおばあちゃんが生まれたときには抗生物質などなかったのである。
ペニシリンの発見から、一気にたくさんの抗生物質や抗菌薬が発見・開発され、2015年は全世界で406億ドルもの販売額であったと言われている。
□抗生物質の発見によって不治の病が治るようになった一方…
ペニシリンの発見以前には、不治の病と言われていた結核や、大流行したペストなどは抗生物質の登場によって今や怖い病気ではなくなっている。
しかし、抗生物質や抗菌剤は、使い勝手がいい反面、必要以上に使われることがしばしば問題となり、薬が効かない薬剤耐性菌が非常に増えている。また、薬剤耐性菌以外にも抗生物質による影響はたくさんあるようだ。
□1歳未満の抗生剤投与歴が食事アレルギーの発症リスクになる
アメリカのサウスカロライナ薬科大学の研究チームが、「1歳までに抗生物質の投与を受けた子どもは、食事アレルギーの発症を起こしやすい」という研究結果を発表した。
この調査では、少なくとも1つの食事アレルギーを持っている子ども1,504人と、持っていない子ども5,995人を比較検討し、抗生物質投与の影響を見ている。
それによると、抗生物質を1歳未満で投与された子どもは、投与を受けていない子どもより食事アレルギーを発症するリスクが1.21倍高いという結果である。これは抗生物質の処方回数に比例し、5回以上の処方を受けるとなんと1.64倍にリスクが跳ね上がるという。最近では他にも、子どものころの抗生物質の投与は肥満やぜんそくのリスクを増やすということもわかっている。
□抗生剤により腸内細菌叢が変化することが原因との説
抗生物質がどのような機序によって食事アレルギーを引き起こすのかは不明ではあるが、おそらく腸内細菌叢の変化によるものではないかと推測されている。
正常な腸内細菌と体が反応することで正常な免疫機能が生まれると言われており、腸内に細菌のいない無菌マウスの研究により証明されている。腸内細菌叢の変化により、免疫機能の異常が起こり、免疫が暴走してアレルギーが発生してしまうのではないかという説が有力である(※3)。
医療において抗生物質は今や欠かせないものであり、低い乳児死亡率(1歳未満の死亡率)を維持できる要因であるのも間違いないだろう。ただし、薬にはリスクが伴い、特に子どものころの影響が大人になって出て来ることもあると頭に入れておいた方がいいだろう。人間の成長のためには病気のリスクが多少あっても、菌とうまく付き合っていくことが大切なのかもしれない。
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