2019年08月02日
せっかちで短気な人は老けやすい!? 寿命と性格の関係性とは
ことわざの中に「短気は損気」といったものがあります。これは短気を起こすことは結局自分が損をするといった意味が込められております。
実は、実際に短気であったりせっかちな性格が寿命を短くする、といった研究が海外で行われていたそうですが、本当なのでしょうか。
今回はせっかちな性格と寿命の関係、せっかちに関連する性格の分類、せっかちな性格の改善法などを医師に解説していただきました。
シンガポールで行われたせっかちに関する研究
研究背景
現代は高齢化社会であり、エイジング(加齢・老化による変化)についての関心が高まっており、細胞レベルでの老化を示すマーカーとして、白血球に含まれるテロメアという構造の長さが注目されています。
テロメアとは?
テロメアは染色体(遺伝子の固まり)の末端にある領域で、細胞分裂を繰り返すたびにテロメアが削られていき、一定の長さを切るとそれ以上細胞分裂ができなくなり死に向かうので、テロメアが長いことは細胞が若々しいことを意味するのです。
研究概要
2016年にシンガポールの研究者から発表された研究において、中国人大学生1,000人を対象に、短気さの程度について「未来の大きな報酬のために、直近の小さな報酬を我慢できるか」という検査で計測しました。
例えば、「あなたに100ドルあげます。でも来月まで待てば101ドルあげます。今欲しいですか、それとも来月まで待ちますか?」「110ドルならどうですか?」「120ドルなら待てますか?」という質問をします。
101ドルで来月まで待てる人は気長で、150ドル貰わないと来月まで待てない人は短気だということです。
研究結果
結果、実際には同じ年齢であっても、短気でせっかちな人のほうがテロメアの長さが短い傾向があり、特に女性では、「短気な人はテロメアが短い」という傾向が顕著に出ました。
また、オキシトシンやエストロゲンと呼ばれるホルモン受容体の遺伝子配列に特定の変化が見られた女性については、細胞の老化が起こりやすいことが分かりました。
アメリカで提唱された4つの性格タイプ
アメリカの循環器科医師であったフリードマンが、心臓病を持つ患者の待合室で、椅子の前脚がすり切れていることを見つけました。
フリードマンは、椅子の前脚のすり切れは、せっかちな患者が多いために、すぐ立ち上がれるように浅く座っているためだと考えました。
そして、性格と病気のなりやすさは関係があるのではないかと推測し、フリードマンは性格にタイプA、Bと分類分けをし、その後、アメリカの心理学者などによってタイプC、Dも提唱されました。
タイプA
■ 性格
せっかちで短気、野心的、競争心が強く、目的を達成したいという気持ちが強い、いらつきやすい人です。
早口で行動も食事も早く、神経質で他人に対して挑発的で、いかにも「血圧高そう」な人物像です。
■ 健康リスク
実際、こういった性格の人は心臓病(特に心筋梗塞や狭心症といった虚血性心疾患)になりやすいとされており、飲酒喫煙をしやすく、心臓病リスクを上げていると言われています。
タイプB
■ 性格
タイプAの反対として定義されたのがタイプBです。のんびりしていてマイペース、競争したがらず無理をしません。
■ 健康リスク
自分を犠牲にしても周囲との調和を保とうとするため、ストレスがたまりやすく、胃炎や胃潰瘍、過敏性腸症候群などにかかりやすいとされています。
タイプC
■ 性格
いわゆる「いい人」で、怒り・悲しみ・不安などを表に出さず、忍耐強く控えめで従順です。
■ 健康リスク
がんになりやすいと考えられており、Cはcancer(がん)の頭文字から取られました。
タイプD
■ 性格
生真面目で不安を感じやすく、人付き合いや社会に出ることが苦手、ネガティブ思考です。
■ 健康リスク
うつ病になりやすいと言われており、Dはdepression(うつ病)の頭文字から取られました。
せっかちな人の特徴
■ 待つ時間が苦痛で楽しめず、焦ってしまう
■ 仕事中は有能だが、プライベートまで短気だと周りが大変
■ 他人にまで早く結果を出すことを求める
■ 事情や性格の違いを尊重できず、他人がついていけないことがある
■ 責任感が強く、遅刻や仕事の遅れが許せない
■ 完璧を求める
■ いつも緊張しており、リラックスするのが下手
せっかちな人が周囲に与える影響
せっかちとされる性格は、周囲にも自分と同じペースを求めるので、周囲はついていくのに大変で、いつもピリピリしていなければなりません。
周囲にいる人は気が休まる時がないでしょう。
せっかちな性格を改善するには?
必ずしも周囲が自分と同じような考え方・ペースで物事を進められるわけではないと理解します。
仕事の場合
「納期を言わなくたって、最速で仕上げようとするはずだ」と考えず、「この仕事を優先させ、何日までにやってほしい。こちらは後でいい」と具体的指示を出すようにします。
私生活の場合
プライベートでは必要以上に「こうすべき」という考え方はやめ、「まあいいか」「大丈夫」と考えるくせをつけます。
また、音楽を聴く、入浴する、軽く運動するなど、自分なりのリラックス方法を見つけましょう。
遺伝子やホルモンが性格を作るのか、性格や考え方が遺伝子を短くするのかは解明されておりません。
せっかちを今から治せばテロメアも回復すると保障されているわけでもないですが、少し考え方や行動を変えることで様々な病気のリスクは下げられる可能性はあります。
まずは自分の性格の傾向を知ることが大切でしょう。
タグ:健康
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