2019年06月15日
後頭部の頭痛で気をつけたい6つの病気 痛みの特徴と対処法とは?
急に後頭部が痛む、普段頭痛にならない部分が痛い。ということはありませんか?
頭痛はたくさんの人が経験している、身近な病気であるがゆえに症状が軽視されがちですが、実は、頭痛の裏には恐ろしい病気が潜んでいることもあります。
今回は、後頭部の頭痛の原因となる6つの病気の症状や治療・予防法などを医師に解説していただきました。
後頭部の頭痛の痛みとは
頭痛は痛みの部位が原因ではない
頭の痛みは皮膚の痛みとは違い、異常が起こっているまさにその部位に痛みが起こるとは限りません。
例えば右の脳に問題があれば、右の頭が痛くなるというわけではないのです。
また、脳自体には痛みを感じる能力はないため、脳に異常があっても頭痛があるとは限りません。
病気によって生じた脳の腫れが脳を包む膜に伝わって痛みが出ることはあります。
また脳に栄養を送っている血管の壁には感覚神経があるので、血管の伸び縮みが痛みにつながることはあります。
痛みの状態、対処法は人ぞれぞれ
頭痛は脳の問題というよりも、頭蓋骨より外の筋肉や皮膚の問題で起こることがあります。
脳の同じ場所に同じような病変があっても、また同じ原因であっても、痛みの状態は人それぞれ・同じ人でもその時によるのです。
腹痛だと、右のお腹が痛いか左のお腹が痛いかによって、考えられる病気がかなり違ってきますが、頭痛は痛みの部位の情報が診断に結びつきにくいと言えます。
後頭部の痛みがある場合、考えられる病気
後頭部の痛みがある場合、原因として考えられる病気として、下記の病気などが考えられます。
それぞれについて、どんな病気か・どのような痛みか・治療法・予防法などについて解説していきます。
■ 筋緊張性頭痛(緊張性頭痛、緊張型頭痛とも呼ぶ)
■ 片頭痛(偏頭痛とも呼ぶ)
■ 後頭神経痛、頭部帯状疱疹
■ 髄膜炎
■ くも膜下出血、脳出血
■ 椎骨動脈解離、椎骨脳底動脈循環不全症
後頭部の頭痛の原因1:筋緊張性頭痛
病気の概要
頭を取り囲む筋肉や、首・肩の筋肉のコリや血流不足により起こります。
症状・痛みの特徴
頭を締め付けるような痛みが特徴的ですが、首のコリが強いと後頭部の痛みになることもあります。
ずきずきするというより重い感じで、吐き気やめまいを感じることもあります。
頭や首の筋肉を触っても痛みはありません。
治療・予防法
一般的な消炎鎮痛薬や、筋肉の緊張をほぐす薬が処方されます。
予防法として、下記のことが挙げられます。
■ パソコン作業でのキーボードの高さを調節する
■ うつむいてスマホやゲームをやりすぎない
■ 同じ姿勢を長時間続けない
■ 適度に休憩を取り、首をゆっくり回すなどのストレッチを行う
■ 温かいおしぼりで首や肩をあたためたり、入浴してマッサージする
後頭部の頭痛の原因2:片頭痛
病気の概要
脳に栄養を送る血管の異常によって起こるとされています。
症状・痛みの特徴
ドクンドクンと脈打つような頭痛で、こめかみあたりが痛いことが多いですが、後頭部が痛いこともあります。
左右どちらかだけのこともあれば両側のこともあります。
音や光に過敏になり、吐き気が出ることがあります。光がちかちかするような前兆があることもあります。
治療・予防法
片頭痛と診断されたら、片頭痛に効く頭痛薬を常備しておき、痛くなりそうな予兆があったらすぐ飲むことが悪化を防ぐことにつながります。
また、筋緊張性頭痛とは逆に、痛い部分を冷やすほうが楽になります。
チョコレート、赤ワイン、玉ねぎ、チーズ、うま味調味料、カフェインなど、片頭痛を悪化させる食べ物は控えるようにしましょう。
後頭部の頭痛の原因3:後頭神経痛
病気の概要
耳の後ろから後頭部の感覚を司る神経の神経痛です。
神経が筋肉で押さえられて刺激を受けることや、リウマチや変形性頚椎症によって首の骨が変形したこと、むち打ちなどのケガ、ヘルペスウイルスの影響によって起こるとされています。
ヘルペスウイルスによる場合は頭皮に赤いぶつぶつができ、水痘帯状疱疹ウイルスによる場合は頭部帯状疱疹と呼ばれます。
症状・痛みの特徴
キリキリという鋭い痛みや、ビリッと電気が走るような感じが繰り返し起こります。
押さえると痛い部分が見つかることがあります。
吐き気や体の動かしにくさはありませんが、耳鳴りや肩こり、ふらっとするめまいのような感じがあることがあります。
治療・予防法
後頭神経痛の多くは1週間程度で自然に治るとされています。
神経の損傷を回復させるビタミンB12の薬を使用することがあります。
ヘルペスウイルスが関係している場合は抗ウイルス薬を使用します。風邪などで体調の悪いときやストレスがたまったときに起こりやすくなるので、休養を取り体力をつけることが予防となります。
後頭部の頭痛の原因4:髄膜炎
病気の概要
脳を守る脳脊髄液に炎症が起こった状態です。
症状・痛みの特徴
発熱と吐き気と頭痛があり、頭痛は首をうつむかせたり、首を左右に振ることで悪化します。
治療・予防法
腰の骨の間から髄液を取って検査することで診断します。
感染による髄膜炎の場合、病原体に効く薬を点滴して治療します。
子供にも多い病気ですが、肺炎球菌やインフルエンザ菌(ヒブ)への予防接種によって重症の細菌性髄膜炎を減らすことができるようになってきました。
後頭部の頭痛の原因5:くも膜下出血、脳出血
病気の概要
脳に栄養を送る血管にこぶなどの異常があったり、高い血圧がかかることで血管が破れて起こります。
症状・痛みの特徴
バットで殴られたように急激に痛みが起こりますが、その前に軽い頭痛が警告のように起こっていることもあります。
意識がもうろうとする、立っていられない、手足のまひや感覚の異常があるなど、ただごとではない感じの症状です。
治療・予防法
救急受診が必要です。脳ドックなどで無症状の異常血管が見つかった場合は、破裂しないよう予防処置を行います。
食事の塩分に気を付けたり、血圧を管理することも予防になります。
後頭部の頭痛の原因6:椎骨動脈解離、椎骨脳底動脈循環不全症
病気の概要
椎骨動脈は心臓から脳に血を送る血管の一つで、主に脳の後ろのほうや下のほうに血液を送っています。
細い血管で、首の骨の間を通っているため、動脈硬化があって内腔が狭くなる・首のけがで骨がずれるなどがあると、血流が落ちてしまいます。
椎骨動脈の壁が避けることによって起こるのが椎骨動脈解離、首を曲げたり回すことでもともと血液が流れにくくなっていた椎骨動脈の血流が途絶えてしまうのが椎骨脳底動脈循環不全症です。
症状・痛みの特徴
めまい、手足のしびれ、目の前が真っ暗になる感じがあることもあります。
治療・予防法
血管のつまりを取り血流を良くする治療を行います。
ご自身でできる予防法としては、禁煙や食事・運動に気を付けて動脈硬化を起こさないようにすることが挙げられます。
後頭部の頭痛で病院に行く判断基準
急激に起こったり、めまい・吐き気・体の動かしにくさなど何らかの頭痛以外の症状を伴っている場合や、はじめて経験するような頭痛の場合は受診されたほうがよいでしょう。
この頭痛は何?後頭部頭痛に関するお悩み相談例
相談1:前頭部と後頭部が締め付けられるような頭痛がします。原因は何?
■ 相談者(26歳/男性)
前頭部と後頭部が締め付けられるような頭痛がします。
原因は何か分かりますでしょうか?
■ 医師からの回答
頭痛の診断は、症状だけでは判断が非常に難しいです。
症状だけですと、血管の拡張による、偏頭痛などの可能性はあると思われます。
偏頭痛は血管の拡張による痛みで心拍に合わせて拍動性の痛みを認めます。
他にも緊張型頭痛や、薬物依存性頭痛、心理社会的要因に伴う頭痛など数多くの種類があり、 時間帯や頭痛の種類で総合診断することになりますので、神経内科への受診をお薦めします。
相談2:後頭部の脈打ちについて
■ 相談者(24歳/女性)
仰向けになったときに後頭部が脈打つのが分かりましたが、頭痛はありません。
脳に何か異常はないかと心配ですが検査を受けた方がいいでしょうか?
■ 医師からの回答
脈打ちを感じた時は少し血圧が高かったのかもしれませんね。
続くような事がなければそのまま様子をみられててよいと思いますよ。
相談3:性交後に側後頭部の頭痛がありました。くも膜下出血でしょうか?
■ 相談者(24歳/女性)
性交後に突然左側後頭部の頭痛がありました。
10分も経たないうちに収まったのですが、今までのような頭痛とは違ったので気になります。
性交中にくも膜下出血なども起こるとネットに書いてあり、不安です。
どうすればいいでしょうか?
■ 医師からの回答
性行為による刺激により血圧の上昇などが起こり、頭痛を誘発した可能性もあります。
ですが、例えばくも膜下出血の原因となるような脳の血管の瘤(こぶのようなふくらみ)は脳の血管の検査を行って初めて見てわかるものです。
早めに脳神経外科か神経内科を受診するようにしてください。
頭痛は心配ないものから命にかかわるものまで多くの病気が考えられ、しかも痛みの性質からだけでは危ない頭痛かどうかが判断しにくいので、不安に思われることも多いでしょう。
いつもの頭痛と違うと思われる場合は受診をお勧めします。
タグ:健康
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