2019年04月29日
鎮痛剤にとって代わるか 氷の世界のバーチャルゲームでやけどや病気の痛みが和らぐ
バーチャルゲーム「Cool!」で、現実の痛みをクールダウン!
氷の世界を舞台にしたバーチャルゲーム「Cool!」は、ヘッドセットを付けてバーチャル世界に入り込むゲームだ。
しかし、ただのゲームではない。やけどを負った患者が氷の世界でゲームをプレイすると、現実のやけどの痛みが和らぐという、優れものの治療用バーチャルゲームなのだ。
また、ゲームの中で現れる 四季折々の美しい風景で、急性や慢性の病気の痛みが和らいだりもする。
制作会社DeepStream VRによると、このバーチャルゲームは“鎮痛剤”だという。10年にわたる研究や臨床研究の結果、没入型バーチャルリアリティーゲームによって、患者の痛みを軽減し、ストレスを緩和、回復させることができることが分かったのだ。
□まるで本物 真剣で楽しいバーチャルゲーム
バーチャルゲーム「Cool!」は、大きなゴーグルのようなウエアラブルヘッドセットと、両手にもウエアラブル手袋を装着してプレイする。
各プレーヤーは、ウエアラブルヘッドセットを付けると没入型3Dスクリーンの世界が目の前に広がる。スクリーンには氷の世界や、四季折々の美しい世界、観光名所が広がり、旅を続けるとそこにすむさまざまな生き物と遊ぶことができるようになっている。
□認知メカニズムなど、まじめな科学に基づく鎮痛剤バーチャルゲーム
この精巧なバーチャルリアリティーゲームは、痛みがある患者の心をつかむため、患者は痛みをあまり感じなくなる。痛みがあるという現実や悩みから、気をそらす効果もあるが、このゲーム効果は単なる気晴らし以上の驚くような成果だという。
実際に、このゲームをしているプレイ中の患者の脳を調べた研究では、プレイ中は60〜70%の痛みの減少がみられた。治療直後は30〜50%痛みが減少し、この効果は治療後48時間続いた。
ゲームの副作用として、頭痛や吐き気、めまいなどは報告されていない。
□慢性の痛みには瞑想(めいそう)ウォーク
慢性の痛みがある人々向けのおすすめの設定は、瞑想のオーディオガイド付きで深い緑の森の中を歩く、バーチャル瞑想ウォークだ。
瞑想の参加中、参加者たちは小道を歩き続けるためにゲームに集中しなければならなくなる。ウエアラブルのバイオセンサーは参加者のストレスや不安を計測し、その情報を仮想世界に送る。すると仮想世界はその情報を反映し、参加者の心を落ち着かせリラックスさせるのに適した仮想環境を作りだすのだ。
□患者の痛みを和らげるのは薬かゲームか!?
今まで患者の痛みを和らげる治療には、モルヒネなどの麻薬が使われていた。しかし、麻薬は投与量がだんだん増えて依存につながったり、長期間の使用により効果が薄れたりしがちだった。また、鎮痛薬の誤用は症状を悪化させると、世界中で問題となっている。
しかし、このバーチャルゲームでの痛みの緩和は、効果的であると同時にとても楽しく、患者の受けのアンケート結果も良好だという。
また、鎮痛薬とバーチャルゲームとを効果的な組み合わせることにより、回復力を増加することも可能だという研究もある。このバーチャルゲーム治療法は、アメリカの大手の病院などでも取り入れられ始めた。また、米軍にも採用されており、負傷兵の痛みのケアにも使われている。
□治療や教育に バーチャルゲームの可能性が広がる
このバーチャルゲームは、ゲームがただのゲームでは終わらず、治療や教育にも応用できるという可能性を示してくれている。
現状でもパイロットなどの飛行訓練や医師の手術の訓練などにも、バーチャル訓練が使われている。ヘッドセットが手軽になれば、外国語の習得や仕事の技術習得にもバーチャル技術が広く使われる日がやって来るのかもしれない。
タグ:健康
【健康 美容 ダイエットの最新記事】
この記事へのコメント