2019年03月08日
ストレスで視力が下がる疾患「心因性視覚障害」を医師が解説
ストレスによって精神面や、体調面に影響を及ぼすことは良く知られていますが、実は「視力」にも影響があることをご存知ですか。
それは「心因性視覚障害」と呼ばれ、本人に自覚がなくても知らないうちに心理的ストレスが目に異常を及ぼす場合もあります。
今回は「心因性視覚障害」について、医師に解説をしていただきました。
心因性視覚障害とは
心因性視覚障害は目の心身症のひとつです。うつ病の症状として視力低下を生じるケースもあります。
眼科で検査をしても視力低下の原因になるような疾患が見つからず、うつ症状もある場合は心因性視力障害も疑う必要があります。
視力低下や視野障害など視覚障害を認めるにもかかわらず、眼科での検査や脳などの検査で異常が認められない場合、心因性視覚障害の可能性が高いです。
何らかの心理的ストレスが影響をしており、本人も気が付いていない場合があります。小児から成人まで見られ、小児では女児に多い傾向が見られます。
心因性視覚障害の原因
本人もストレスなどの原因に気が付いていないことも多いです。家庭や学校、友人などの環境の影響があることもあります。
塾通いや水泳などの習い事が負担になっていたなどもありますが、原因が不明のこともあります。
成人の場合はうつ病や何らかのストレスが原因によることがあります。
心因性視覚障害の症状
視力低下がある割には見えにくそうにしておらず薄暗い部屋でも椅子にさっと座ることができる、テレビも問題なく見ているなど、低視力と実際の症状とが一致しないことがあります。
また見るものが黒く見えるなど色視症、視野の異常などもみられることがあります。
通常の視力低下と心因性視覚
通常の視力低下
近視や乱視のレンズを入れると視力が1.0以上出ます。
心因性視覚障害
・矯正しても視力があがらない
・度のないレンズで視力が上がる
・検査のたびに視力がかわる
・焦点があわない
・視野検査でらせん状視野
・求心性視野狭窄
心因性視覚障害の治療
検査内容
学校、職場、家庭環境、友人関係など現在の状況や、生育環境、性格などについていろいろと質問をし原因となるようなことがないかお話を聞きます。
そして視力検査でいろいろなレンズ(度が入ってないレンズも含めて)矯正視力が出るかなど試し、視野異常はないか、視神経の反応はどうかをチェックします。
場合によってはCTやMRIなどで頭蓋内疾患がないかなども検査することもあります。
治療法
<お子さんの場合>
ご家族と協力しながらになります。お子さんとの接し方を含めカウンセリングが必要なこともあり、専門の児童精神科医と協力して治療を行うこともあります。
ご家庭ではスキンシップも含めコミュニケーションをとるようにしてもらい会話も増やしてもらいます。 お子さん本人には「目には問題ないので見えるようになるから心配ない」ことを伝え安心してもらいます。
場合によっては伊達メガネで「良く見えるかな?」と暗示をかけたり、点眼を使用してもらうこともあります。この場合「抱っこ点眼法」など試みてもらうこともあります。
お子さんの場合1年以内で視力改善がみられることがほとんどです。
<成人の場合>
目には異常がないこと、ストレスやうつ病などで一時的に視覚障害がでていることなど理解してもらいます。
そしてその原因となっているストレスの解消や病気を治療していくことになります。
心因性視覚障害の予防法
日ごろからストレスをためないことが大切です。 またご家庭でも日ごろからお子さんとのコミュニケーションを大切にするといいでしょう。
脳にストレスがかかると、目に見えているはずのものが認識できないことがあります。
心因性視力障害では失明することはありませんが、この病気をよく理解し、正しく対応することが大切です。
タグ:健康
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