2019年02月08日
肥満でなくても糖尿病に! アジア人は、特に糖尿病の危険性にさらされている?
糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病を引き起こす「肥満」。一般的には、太れば太るほど糖尿病になりやすいと知られているが、アジア人は肥満でなくとも糖尿病を患う人が多いのだという。
肥満患者でない人でも代謝異常とインスリン感受性に関連性があることを順天堂大学医学部が明らかにした。
□遺伝的に糖尿病になりやすいアジア人
糖尿病は、運動不足、食べすぎ、アルコールの過剰摂取、ストレスなど、日々の生活習慣が原因で起こり、過食や運動不足による肥満も糖尿病と密接にかかわっている。だからといって、太っていないから大丈夫と油断するべきではない。
米ジョンズ・ホプキンス大学が行った約23万人の米国人を対象にした調査では、アジア系米国人は白人と比べて30〜50%も糖尿病を発症しやすいことが分かったのだ。肥満度は低いにもかかわらず、アジア人は糖尿病になりやすいという。
□肥満でない人に糖尿病が起こるメカニズム
体重kg÷(身長m×身長m)の計算で出される数値で体格を表す「BMI(体格指数)」では、18.5〜25が普通の体格指数とされている。しかし、アジア人ならばこの「普通体格」に当てはまる人でも糖尿病を発症する可能性が大いにある。「普通」の体格でも糖尿病になりやすいというのはどうにも考えにくいが、糖尿病発症のメカニズムは肥満の人と同様なのだろうか?
その疑問に取り組んだのが順天堂大学医学部などの研究チームだ。研究チームは、「高血圧」「高血糖」「脂質異常」を心臓や血管の代謝に異常をきたす危険因子として、それら危険因子の有無などにより、30〜50歳の日本人男性を以下の5グループに振り分けた。そして、各グループの「インスリン感受性」指数と、筋肉や肝臓で正常でない部位にできた脂肪量を測定した。
A)危険因子に当てはまらず、BMIが21〜23の男性24人
B)危険因子に当てはまらず、BMIが23〜25の男性28人
C)危険因子の1つのみに当てはまり、BMIが23〜25の男性28人
D)危険因子の2つ以上に当てはまり、BMIが23〜25の男性14人
E)メタボリックシンドロームの診断を受け、BMIが25〜27.5の男性20人
※危険因子=心臓や血管の代謝に異常をきたす要因となる3症状(高血圧、高血糖、脂質異常)
ちなみに、「インスリン感受性が低い」もしくは「インスリン抵抗性がある」とは、インスリンを分泌するシステムが正常にもかかわらず、血糖値コントロールという本来の役割が果たされていない状態のことをいう。
□危険因子が1つでも当てはまれば要注意!
その結果、危険因子は1つだけが当てはまったBMIが23〜25のCグループでも、筋肉のインスリン感受性は低いことが分かった。
そして、危険因子に2つ以上当てはまるBMI23〜25でDグループのインスリン抵抗性は、BMI25〜27.5のEグループと同程度だった。
結論として、日本人に関しては普通体重の男性でも、インスリン感受性の低さが糖尿病や代謝異常の原因になり得るということだ。
今回の研究は日本人中年男性という特定層を対象にしたものだったが、アジア人は肥満でなくても糖尿病になりやすいことはすでに分かっている。
おそらく、女性や日本以外のアジア人にも同じ現象が見られることだろう。私たちアジア人は、特に糖尿病の危険性にさらされていることを念頭に置き、日頃から運動や食事量に神経質になり過ぎるぐらいで十分なのかもしれない。
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