2018年12月10日
憂うつでやる気が出ない…同じ時間に寝て起きれば何かが変わる?
夜、眠くなると寝て、朝が来ると起きる。この当たり前の行動を統制しているのが概日リズムだ。これが狂うと、とんでもないとばっちりが飛んでくるという。うつ病になるリスクが高まるというのだ。
□うつ病の原因は何か?
気分が沈んでいる、やる気が出ない、体がだるい。こうした症状が出るうつ病はどのようなメカニズムで引き起こされているのだろうか。
環境のストレスが原因だったり、不眠症に伴ってうつ病の症状が起こったり、原因が見当たらないケースでは、精神を安定させる働きを持つセロトニンやノルアドレナリンなどの、脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっているのではないかと考えられたりしている。
このように、うつ病の原因ははっきりと分からないことも多い。
□睡眠の本丸「視交叉上核」を攻めてうつ病との関連を見いだす
米カリフォルニア大学サン・ディエゴ校の研究チームは、ある遺伝子操作を施したマウスを使って、睡眠と覚醒を制御している概日リズムの乱れがうつ病を引き起こしていることを明らかにした。
概日リズムの乱れがうつ病を引き起こす要因になることは、明暗を操作したり、突然変異を起こした時計遺伝子使ったりした実験などですでに明らかになっているが、研究チームは今回の実験で決定的な証拠をつかんだとしている。
研究チームは、脳の視床下部に存在する神経核で概日リズムの中枢、視交叉上核(しこうさじょうかく)に焦点を当てて実験を行った。これまでの研究は、いわば外堀を埋めていった実験、今回は本丸を攻めた実験といえるだろう。
□概日リズムのペースメーカーを乱すとうつ病になる
研究チームは、視交叉上核に、あるウイルスを注入することで、体内時計を刻む上で欠かせない時計遺伝子Bmal1の機能を止めたマウスを使ってその様子を観察した。つまり、概日リズム・体内時計を狂わせたのである。
明暗を正常な状態に保っていたにもかかわらず、そのマウスは、逃げられる状況なのにストレスから逃げるのが遅い、時間がかかるなど、無力感や絶望感、不安な様子、つまりうつ病の典型的な症状を見せた。
概日リズムの中枢を担う視交叉上核に直接的に作用する実験で、うつ病は概日リズムの乱れが引き金になることを明らかにしたのだ。
□毎朝の早寝早起きがうつ病リスクを減らす?
今回の実験成果で、うつ病になるメカニズムが明らかになったと同時に、うつ病患者の治療に将来役立つのではないかと研究チームは考えている。
不規則な生活は概日リズムを乱し、果てはうつ病のリスクまで出てくることが分かった。いつも同じ時間に起きて、同じ時間に寝る。少なくとも、これができていれば、概日リズムがそう大きく狂っていくことはないだろう。この当たり前のことをやればリスクが1つ減るのだ。ぜひ、今日から実践してみよう。
タグ:健康
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