2017年07月12日
鉄分添加ミルクに注意 乳児期の過剰摂取が将来の認知症リスクを増大
乳児用ミルクには多くの鉄分が添加されているが、乳幼児期の鉄過剰摂取が将来認知症のリスクを高めるのではないかと注目されている。
そこで、永久歯から乳幼児期にどのくらいの金属が体内に取り込まれたかを測定する技術により、乳児期に取り込まれた金属の量と将来の病気発生の関係を明確にしようという研究がなされている。
鉄代謝が神経疾患の発生に関わっていることが明らかになれば、新たな治療の開発も可能になるかもしれない。
□アルツハイマー病 脳に老人斑というタンパク質が蓄積
アルツハイマー病を発症すると、脳に「老人斑」という異常化したタンパク質の蓄積が見られる。この老人斑がアルツハイマー病の原因であると考えている科学者は多い。
では、老人斑はどのようにしてできるのだろうか? もし、その形成過程が明らかになれば、それを食い止めることでアルツハイマー病の予防や治療が可能になるかもしれない。
□アルツハイマー病、認知症やパーキンソン病は鉄の過剰摂取も原因のひとつ?
老人斑形成の根本的なメカニズムについてはいまだ謎が多く、詳細は明らかになっていない。恐らくさまざまな要因が複雑に絡み合っていることだろう。
しかしある研究では、老人斑が出来上がる過程で鉄、亜鉛、銅といった金属元素が関与していることが示されている。
さらに、アルツハイマー病の老人斑に限らず、他のタイプの認知症やパーキンソン病などの神経変性疾患でも脳に異常化したタンパク質の蓄積が見られることから、それらの病気もアルツハイマー病と同じメカニズムで発症すると考えられている。
従って、鉄などの金属元素の過剰摂取が認知症などの神経変性疾患の発生を助長する可能性は十分にあるだろう。
□鉄分などの摂取が直接アルツハイマーに結びつくわけではないというが…
実際には、金属元素の取り過ぎが直接アルツハイマー病の発症に結び付くわけではないと考えらえれているが、米マウントサイナイ医科大学などの研究グループは、幼児期における金属元素の摂取が将来の認知症発症に関与する可能性を指摘している。
乳児期には鉄分不足による貧血や発育不良が起こりやすく、そのため、鉄分が補われた乳児用ミルクがよく使われる。
□鉄分添加粉ミルクなど、乳児期の鉄過剰には注意が必要!?
しかし研究グループは、鉄分添加ミルクの使用に警笛を鳴らしている。
例えば、胎児期に母親から受け継がれた鉄分が少なかった場合や母乳のみで育てられ離乳が遅かった赤ちゃんの場合などは鉄不足になることがあり、そのような明らかな鉄不足のケースでは鉄を補う必要があるものの、すべての赤ちゃんに鉄を補う必要はないという。
乳児期の鉄分摂取が将来どのような影響を与えるのかは、今のところ分からない。しかし、赤ちゃんに不必要なまでに鉄を摂取させることは避けるべきだろう。鉄不足の原因と鉄添加の必要性を見極め、赤ちゃん一人一人に応じた対応をすることが望まれる
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