2017年05月30日
欧米では電子たばこが大流行 喫煙しないから安全。それ本当?
たばこを箱から1本取り出し、ライターで火を付ける。そんな光景は将来めずらしくなるかもしれない。
今や歩道やショッピングセンター、会社でも、禁煙は広がりを見せており、愛煙家は肩身が狭くなったと感じていることだろう。
そんな世相を反映してか、欧米では電子たばこが流行している。近い将来紙巻きたばこから全て代わりそうな勢いで増えている。特に若い世代に人気があるようだ。
□たばこは病気リスクや家族への配慮から減少傾向 喫煙者割合
厚生労働省によると、平成25年度に習慣的に喫煙している人の割合は19.3%。性別でみると、男性32.2%、女性8.2%であり、男女ともに10年間で減少傾向にある。
減少している理由の一つは、健康への意識の高まりにある。たばこを吸ってがんになりたくないという思いや、家族などへの副流煙の配慮もあるのだろう。
□たばこの喫煙による死亡者数は12〜13万人も
なんと年間12万〜13万人がたばこの喫煙が原因で死亡しており、受動喫煙による肺がん、虚血性心疾患の年間死亡者数も6,800人もいるのだ。
危険性を知っていてもやめられない、それがたばこなのかもしれない。
□電子たばこは有毒物質を含まない安全なたばこ?
たばこはやめたくないが、喫煙の害は気になる。そんなときの選択肢の一つが電子たばこだ。
電子たばこにライターはいらない。電気でカートリッジに入った液体を熱して、発生した蒸気を吸うのだ。外形は紙巻きたばこに似せて作られているものが多い。カートリッジの液体は、菓子や果物のにおいがする人口香料、グリセリン、喉の通りをよくするプロピレングリコールなどが含まれる。
紙巻きたばこのように、有毒なタールや一酸化炭素、副流煙が発生しないため、紙巻きたばこの安全な代用品のようにも使われている。
2015年にイギリス保健省は、電子たばこについて従来のたばこよりも有害性が95%低く、禁煙支援ツールになり得るとの見解を発表した。
□電子たばこにも有毒化学物質や発がんの危険性あり!?
しかし電子たばこは大変危険だとする専門家も多く、評価は真っ二つに分かれる。
世界保健機関(WHO)は科学的に安全性は証明されておらず、ニコチン以外の有毒化学物質の可能性があるため使用しないように「強く勧告する」とした。
□電子たばこにシックハウス症候群の原因にもなる有毒成分
国立がんセンターたばこ政策研究部は「プロピレングリコールは加熱の過程で、プロピレンオキサイドという発がん性物質に変わる」と指摘した。
また国立保険医療科学院は、「電子たばこのガスに含まれるホルムアルデヒドは紙巻きたばこよりも多く、シックハウスガイドラインを超える濃度」だと報告している。
ホルムアルデヒドは、住宅のビニルクロスや塗料、家具などの接着剤などから発生し、シックハウス症候群を引き起こす有毒な化学物質だ。
□電子たばこ、安全性は専門家の見解は真っ二つに分かれる
電子たばこは有効な禁煙ツールにもなり、紙巻きたばこでの死者を減らすのに役立つという賛成派と、禁煙には有効ではないし有毒な化学物質が含まれるという反対派に分かれるようだ。
賛成派は、紙巻きたばこよりもリスクが少ないことが重要なのだという。従来のたばこには多くの発がん物質が含まれる。電子たばこにも発がん性やホルムアルデヒドはあるかもしれないが、従来のたばこよりも少ない。たばこでの死者を減らせるツールだという。
一方反対派は、電子たばこは効果的な治療法ではないという。禁煙に有効だという医学的根拠もほとんどない。多くの場合電子たばこを使う人は、紙巻きたばこもやめずに喫煙している。安全を立証する科学的データもなく発がんの危険もあるという。
□電子たばこの安全性 検証には時間がかかる いっそのこと禁煙しては?
そして製造国や製品により安全性が異なることも、問題を複雑にしている。カートリッジの中身も多様化しているし、新製品については検証されていないからだ。
この問題の決着には長い時間がかかりそうだ。しかし、健康が気になるのであれば、100%安全な「禁煙する」という選択肢もある。この選択肢から、まずはチャレンジしてみてはいかがだろうか。
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