2016年09月23日
いよかんは伊予じゃなくて山口生まれだった?
冬から春にかけて店頭に並ぶイヨカン。国内では温州みかんに次いで生産量の多い柑橘類になっています。みずみずしくて苦味が少なく、適度な酸味と甘みが豊かな果肉の味わいは格別ですね。このイヨカンという名前の“イヨ”は、愛媛県がかつて“伊予国”と呼ばれていたことに由来しており、現在でも国内生産のイヨカンの約9割が愛媛県で栽培されています。しかし、イヨカンが生まれたのは実は愛媛県ではありません。イヨカンは1886年頃に山口県萩市で初めて発見された果物なのです。
このイヨカンは人間が栽培して作ったものではありません。ミカン類とオレンジ類が偶然に自然交雑したものと考えられており、実はどのような組み合わせなのか、そのはっきりとした起源はわかっていません。
発見された当初、イヨカンは「穴門みかん」と呼ばれていました。
「穴門」とは山口県北部の旧国名「長門国」の古名です。この苗木を愛媛県松山市の果樹園芸家が購入し、愛媛県でも本格的に栽培が始まりました。これが全国的に普及するにつれ、今度は愛媛県の旧国名の「伊予」にちなんで「イヨミカン」や「イヨカン」と呼ばれるようになり、昭和初期に「イヨカン」が正式名称となったのです。
ちなみにイヨカンと同じく、この時期に店頭に並ぶ柑橘類で見た目もそっくりなものに「ハッサク」があります。こちらはイヨカンに比べてやや大ぶりで、かすかな苦味のある甘さが特徴。見た目はそっくりでも品種としてはまったくの別物で、東南アジアや中国南部、台湾などを原産地とするブンタン類という柑橘類の一種です。
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