2016年06月07日
「またあの本読んで!」 寝かしつけは同じ本で、言語の発達に効果。
子どもの頃に好きだった本を思い浮かべてほしい。何度も何度も飽きることなく読んだはずだ。
実は最近の研究から、子どもには同じ本を繰り返し読んであげるほうが、言葉の覚えがよくなることが明らかになっている。
■大人とは別! 同じ本の繰り返しは子どもにとって魅力的
大人になると同じ本を繰り返し開くことは少なくなるのではないだろうか。小説ならなおさらだ。すでに一度読んだ本はストーリーが分かっているし、ページをめくるごとのあのワクワク感は、どうしても薄れがちだ。
ところが子どもは違う。何度でも同じ本を飽きもせず読んでいる。新しい本がないわけではなく、繰り返して読みたいのだ。だからストーリーだけでなく、登場人物のセリフや言い回しまで自然に暗記してしまう。この集中力は子どものもつ素晴らしい能力の一つだ。
■同じ本の読み聞かせが記憶に繋がる
小さい子どもの場合は、親が本を読んで聞かせることが読書習慣になる。寝る前に本を読んであげるという方も多いだろう。親のほうは毎晩同じ話では飽きるだろうと気を利かせて、今夜は昔話、明日は童話、とわざわざ違う本を選んだりする。
イギリスの研究によると、違う本を読み聞かせるよりも、毎回同じ本を読んでもらった子どもの方が単語を良く記憶することがわかった。
■3歳児を対象に本の読み聞かせテストを実行
研究は3歳児を対象に、1冊の本だけを3回繰り返して読み聞かせるグループと、3冊の異なる本を1回ずつだけ読み聞かせるグループに分ける。
読み聞かせる本には少しだけ仕掛けがしてあり、2つの創作された「物」が絵入りで登場する。これには全く聞いたことのない「名前」が付けられている。どの本にも同じ物が出てくるようになっているが、ストーリーとは直接関係ないようにしてある。
読み聞かせ後に4回の記憶テストを行い、この創作単語を覚えているかどうかを調べた。実験は一人一人に対して個別に行われた。
記憶テストはまず読み聞かせの直後、そして2.5時間後、24時間後、7日後に行われた。すると同じ本を繰り返して読み聞かせたグループのほうが、異なる本を読み聞かせたグループよりも新しい単語をよく記憶していた。
これは同じストーリーを何回も聞いているうちに理解力が深まり、ストーリー以外の細かい部分にも注意がいくためだと考えられる
■同じ本の読み聞かせだけじゃない! 昼寝も大事
それぞれのグループはさらに、いつも昼寝をしているグループと、していないグループに分けてある。昼寝をとるグループは、通常の昼寝の直前に読み聞かせを行った。するとどちらの読み聞かせ回数のグループでも、昼寝をとったグループは、とらなかったグループより成績が良かった。
面白いことに異なる本を3冊読んでもらったグループでも、読み聞かせ直後の記憶の成績は劣るが、昼寝後には成績が良くなっていた。
これは睡眠中に記憶が固定化されることと関係がある。聞いた直後の記憶は単に短期記憶の回路に入ったに過ぎない。これを長期的な記憶に変えるには、睡眠中に大脳の新皮質へ移してやる必要がある。
実験に参加した3歳児で日頃から昼寝をとらないグループは、それだけ夜の睡眠が長い。しかし今回の結果を見ると、睡眠を2回に分けることで記憶できる事柄も多くなると考えられる。寝る直前の事柄が最も記憶に固定されやすいからだ。脳の発達が著しい幼児に、昼寝が及ぼす効果は少なくない。
■年が上の子にはたくさんのジャンルの本を
早期教育全盛の昨今だが、この研究からも小さな子どもにとって、いかに睡眠が重要なのかが分かるだろう。
ただしこの論文にも指摘されているが、少し年齢が進むと今度はいろいろな本を読みたがるようになる。これは新たな知識を増やそうとしている表れなので、その時期を逸することなく様々なジャンルの本を選んであげるとよいだろう。
タグ:育児
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