2016年03月30日
激辛フードが寿命を延ばす?
中国、韓国、日本などのアジア圏でよく食べられている辛い食べ物。代表的な唐辛子は、食材や薬として9千年以上もの歴史を誇るが、実はこういった辛い食べ物と長寿とに関係性があることが、最近の調査によって判明した。
■中国各地で行われた大規模な調査
生活習慣病の環境的要因について研究している「China Kadoorie Biobank」で、北京大学医学部ユェン・ルゥ准教授らのチームが、ある調査を行った。
調査対象は、2004年〜2008年に同研究所に登録した中国各地10地域の人々。そのうち、がん、心臓病、脳卒中の経験がない男女30歳〜79歳(2008年時点)、約48万7400人(男女比率4対6)を対象にした大規模な調査である。
被験者たちは、「過去1カ月の間、どれくらいの頻度で辛い食べ物を食べたか」という質問に、「全く、またはほとんどない」「ときどき」「週に1日か2日」「週に3日から5日」「週に6日か7日」で答えた。また、週に1日以上となる選択肢を選んだ被験者はさらに、「辛いものを食べるときに、使われている主要なスパイスは何か」という質問にも答えた。
アンケート調査は2008年を初回として、被験者が亡くなるか、連絡が取れなくなるか、2013年12月を迎えるかのいずれかまで、毎年行った。
■辛いものを食べる頻度が高くなるにつれ、死亡する割合が減少
調査の結果、約7年の間、辛いものを食べた頻度が週に1日以下の被験者は1000人に6.1人、週に1〜2日では4.4人、週に3日〜5日では4.3人、週に6〜7日では5.8人が亡くなっていた。
辛いものを週に1日以下の頻度で食べる被験者と比べて、週に1〜2日と答えたグループが10%、残り2つは14%の割合で死亡者数が減少したのである。
■特に新鮮な赤唐辛子が効く!
また、辛いものを食べる日数が増えるにつれ、特にがん、虚血性心疾患、呼吸器系統の病気などの生活習慣病によって死亡するリスクが減ったという。
さらに、新鮮な赤唐辛子をメインのスパイスとして使っていた人はそうでない人に比べて、辛いものを食べる頻度が高くなるに伴い、これらの生活習慣病による死亡率が大きく減少していた。
■辛い食べ物で寿命が延びる理由とは
なぜ、辛いものを食べることで、死亡リスクが低くなるのだろうか。一つの可能性として、研究チームは、栄養素や体内で活性化する物質が、辛い食べ物から得られやすいことによるものではないかとの仮説を立てた。
唐辛子に含まれる栄養素としておなじみのカプサイシンは、肥満の防止、抗酸化作用、炎症の沈静化、がんや高血圧の予防に効果があるとされている。このカプサイシンやその他の物質が、こうした症状や生活習慣病の発生を抑えることで、結果的に寿命が延びることにつながっている可能性がある。
しかし、そう結論づけるには今後さらなる調査が必要だ。さらに調査が進めば、生活習慣病を予防するために辛い食べ物が推奨されたり、カプサイシンなどの成分を利用したサプリメントなども開発されたりするようになるだろう。
好きなものを食べて長生きできるのであれば、辛いもの好きにとっては願ってもない話である。これからの研究に大いに期待したい。
タグ:健康
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