2016年03月28日
幸せも悲しみも全ては頭の中に… 幸福度の高い人に特徴的な「脳」を発見
あなたは今、幸せだろうか? そんなこと大きなお世話だろうが、そもそも幸せだと感じるかどうかは人それぞれ。基準も違えば感じ方も違う。自分と他人の幸福度なんて「比べようがない」というのが大抵の見方だろう。
しかしその難攻不落の課題に果敢に挑戦した日本の研究者がいる。そしてこのたび、なんとその糸口をつかんだのだ。
■幸福度は数値的に計測可能なのか?
「幸福度を測る」というのは簡単そうに見えて実は究極の課題だ。
地位も名誉もあるお金持ちが悩みを抱えた末に自殺したり、その反対にお金などなくっても大好きな芸術活動に嬉々として打ち込む若者がいたり、はたから見てその人の幸福度など計り知れない。
収入だとか、子供の数だとか、身体的能力だとか客観的に数字で表されるような要素をいくら掛け合わせたところで、その全貌は一向に見えてこない。
やはり幸せとは「自分が幸せだと感じる」といった主観的なものであることは否めない。言ってみれば幸福感とは究極の「エゴ」。幸せだと思えれば、他人が何と言おうが、それで幸せだと言えるのだ。
■幸福感の大きい人には特徴的な脳
ではその主観的な幸福感は一体どこからくるのかに挑んだのが、京都大学の佐藤准教授らのグループ。
MRI(磁気共鳴画像法)を使って明らかにしたところによれば、主観的に「自分は幸せだ」と感じやすい人には共通点があり、頭のてっぺんより少し後方にある「楔前部(けつぜんぶ)」というところが通常より大きいということだ。
この調査では「日本版主観的幸福感尺度」に沿った質問事項に答えてもらい、その人の幸福感を測っている。また同時に「快感および不快を感じる強さ」を測るための質問も行った。
これらの結果を総合すると、楔前部が大きい、すなわち幸福感の強い人達は「ポジティブ」だということだ。あまりネガティブな思考に偏らず、人生の目標や意味を見出している人が多いことが分かった。
■幸せも悲しみも脳の中に
「心」が脳の神経細胞の活動から生みだされていることは、今や疑いない。「脳が心を生み出す」ことを最初に唱えたのは、紀元前400年頃に活躍したギリシャの医師「ヒポクラテス」とされる。それ以前から今に至るまでずっと、その単なる神経細胞の活動に、我々人間は翻弄され続けている。
喜びだけならまだしも、悲しみや怒り、不安や苦痛も全て神経細胞の成すところだと思うと、なんだか悲しい気持ちになる。今回の研究で明らかになった「幸福感」の糸口を利用して、せめてみんながもっと幸せだと思う回数を増やせないのだろうか。そうすればもう少し世の中が平和になるのかも、と昨今の社会情勢を憂いつつ、ささやかな期待を寄せている。
■少しの不満やストレスことが幸せの元?
「隣の芝生は青い」とはよく言ったもので、何不自由なく暮らしていても人は何かしらの不満を抱いて生活している。
しかし違った見方をすれば、少しくらいの不満やストレスがなくては、その状況を打開すべく努力したり、工夫したりしなくなってしまう。人間らしい生活とは、日々幸福を感じられるように努力を重ねるということに尽きる。幸せは歩いてこない、あなた自身の中にしかないのだ。
タグ:健康
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