2016年02月08日
激辛料理で「おしり」が痛くなるのはナゼ?
スパイスの代表格である「トウガラシ」。刺激的な料理で夏バテ解消!なんて話も聞くが、逆効果になるのはあまり知られていないようだ。
辛み成分・カプサイシンが内臓を刺激するのは確かだが、大量に摂取すると胃の粘膜にダメージを与え、胃ガンのリスクが2倍にもはね上がる。ヒトのからだはカプサイシンを消化できないので、内臓や粘膜にトウガラシを塗るようなものだから、「おしり」が痛くなるのも当然なのだ。
■二日酔いにも効果的
トウガラシの辛み成分・カプサイシンは「からい」と表現されるものの、ヒトのからだは「味」ではなく「痛み」や「熱」として受け止める。激辛料理は「激痛料理」と呼ぶべき存在である。
カプサイシンにはどのような効果があるのか? ヒトの知覚神経には刺激を受ける受容体(じゅようたい)があり、カプサイシンは、
・受容体TRPV1がカプサイシンを受け止める
・TRPV1が「熱や痛みを受けた」と脳に情報を送る
が起き、肌に触れれば「熱い」「痛い」としか感じない。胃に入ると、
・少量のカプサイシン … 胃酸を減らす
・大量のカプサイシン … 胃酸を増やす
作用があるため、食欲がないときは多めに、二日酔いで胃酸が出すぎているときはごく少量を摂取するのが良い。夏バテや疲れで食欲がわかないときに激辛料理で元気回復!は、科学的にも正しいのだ。
ただし、ヒトのからだはカプサイシンを消化できないので、栄養になるわけでもなく、刺激を食道、胃、腸に伝え最終的には「そのまま」排出される。激辛料理を食べた次の日に「おしり」が痛くなるのも当然で、おしりの粘膜にトウガラシを塗りつけるようなものだから、健康的とは言い難い。それでも刺激が欲しい!と食べ続けると痔(じ)の原因にもなるのでご注意を。
■胃ガンのリスクを左右するカプサイシン
カプサイシンを大量に摂取し続けると、「おしり」だけでなく内臓にもダメージを与える。胃ガンのリスクが2倍近くに高まるのだ。
カプサイシンの刺激によって胃酸が増えるのは「食欲」の面では望ましいが、
・カプサイシンの刺激を伝える神経
・胃の粘膜
の両方に損傷を与える。トウガラシを使った料理の多いメキシコでは、大量に摂取するひとは胃ガンになる率が1.7倍にもアップするというデータもあり、つまりは胃を傷つける成分でもある。
「量」以上に注意が必要なのは「食べ合わせ」で、カプサイシンといっしょに摂取する食品によって胃ガンのリスクが大きくかわる。
・リスクが減る食材 … 野菜、果物
・リスクが増える食材 … 食塩、硝酸塩(しょうさんえん)
硝酸塩はもとより健康的な成分ではないが、土や肥料に含まれているため、どうしても野菜に取り込まれてしまう。内閣府・食品安全委員会の資料から、硝酸塩を多く含む野菜の代表例をあげると、
・サラダ菜 … 5,360mg/kg
・ホウレンソウ(夏) … 4,765mg/kg
・春菊 … 4,410mg/kg
・ホウレンソウ(冬) … 2,176mg/kg
・ダイコン … 1,447mg/kg
で、サラダ菜やホウレンソウにトウガラシをかける機会はあまりないだろうが、ダイコン+食塩+大量のトウガラシの漬け物はリスク増の要因が揃っているので食べ過ぎは厳禁だ。
ショウガに含まれるジンゲロールやコショウの辛み成分も、カプサイシン受容体を刺激してトウガラシと同様の働きをするので、やはり摂り過ぎは禁物。スパイスのきいた料理で元気回復を狙っても、かえって具合が悪くなることもあるのでご注意頂きたい。
・トウガラシの辛み成分・カプサイシンは「痛さ」「熱さ」として受け止められる
・少量なら胃酸を抑制し、大量に摂取すると分泌を促進させる
・カプサイシンは消化されずないので、「おしり」が痛くなるのは当然の結果
・大量に摂取し続けたり、食塩や硝酸塩との組み合わせで胃ガンのリスクが高まる
タグ:料理
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