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ゴムチューブで作る人口筋肉とは?

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災害救助や医療分野で期待が寄せられる「パワード・スーツ」。油圧やモーターを使えば大きな力が得られるのは当然だが、ゴムチューブで「人工筋肉」が作れるのはご存じだろうか?

風船に空気を入れるとふくらむのに対し、ラバー・アクチュエータと呼ばれる人工筋肉は空気を入れると縮み、筋肉と同じ働きをする。柔軟な素材の利点を活かし、どの向きにも曲げることができるので、ミミズ型ロボットも研究されているのだ。

■空気を入れると縮むゴム?
自転車のタイヤや風船に空気を入れればふくらむのが当然だが、ネットで包んだりヒモでしばると全長が縮む性質がある。これを利用したのがラバー・アクチュエータで、空気で作動する「人工筋肉」として研究が進められている。油圧やモーターで動かせばカンタンに大きな力を得られるが、重い部品が必要なため大がかりな機械となってしまい、産業用ロボットのような「据え置き型」が前提となってしまう。

対してラバー・アクチュエータは、ネットを被せたゴムチューブと空気ポンプで作れるので軽量化しやすい。ひとが「着る」かたちで使用するパワード・スーツにも応用できるため、建設現場や災害救助など、多くの分野から期待が寄せられているのだ。

難点は制御が難しい点だ。モーターなら与える電力や通電時間で制御できるが、ラバー・アクチュエータは、
 ・空気自体が「伸び縮み」する
 ・空気の量とゴムの伸び縮みが、完全に比例しない
のため誤差が大きい。理論値に対し約30%も誤差が生じたとのデータもあり、これをプログラムで修正しなければならないのが大きな課題となっている。

■ミミズに学べ
ラバー・アクチュエータを使ったロボットも研究されている。複数の人工筋肉を直列につないだ「ミミズ型ロボット」だ。
モーターを使った人工筋肉では支点が必要となり、手足のように「曲がらない」方法が生まれてしまう。支点を球形にすれば自由度は増すが、モーターも増え重くなってしまう。

対してラバー・アクチュエータは柔軟性に富んだゴムを素材にしているため、曲げる方向の自由度が高いし、複数を装備しても軽くしやすい。この利点に着目し、ラバー・アクチュエータだけで進む/曲がるができるのがミミズ型ロボットだ。

足を持たないミミズはからだを部分的に伸縮させることで移動し、前進の場合は頭部、腹部、後方の順に、縮む箇所が波打つように変わる。この蠕動(ぜんどう)運動によって生み出される地面との摩擦が、足がなくても移動できる理由だ。
蠕動運動はまさにラバー・アクチュエータにうってつけの動きで、縮む/伸びる箇所を前方から後方へ順送りするだけで前進できる。また、頭部の向きを変えれば自然とその方向に進んでゆくので、きわめてシンプルな制御方法でカーブもできる。上下に曲げれば多少の段差を乗り越えることもでき、災害救助や捜索には最適な構造なのだ。
このロボットは地面を堀り進むことも可能で、月の地中探索にも期待が寄せられている。あらたな仕組みを考えるよりは、すでに存在する動物たちの構造をまねるほうがはるかに合理的である。家電でもトリの翼やネコの舌からヒントを得た製品も多いので、身近なものこそ細かく観察するのが良さそうだ。


 ・ラバー・アクチュエータは、空気を入れると縮む構造
 ・軽量でシンプルな構造のため、人工筋肉として期待が寄せられている
 ・ラバー・アクチュエータをつなぎ合わせた「ミミズ型ロボット」が研究されている




タグ:健康

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