2016年01月09日
寝るときの体勢でアルツハイマーを予防できる可能性が明らかに
寝るときにあおむけやうつぶせに寝る人と横を向いて寝る人がいるが、身体に良いのはどの格好なのだろうか。
アメリカの研究によると、横向きに寝ると脳内にたまっている老廃物や化学物質などがグリンパティッ(glymphatic)と呼ばれる経路から排出されやすくなるので、アルツハイマー病や神経疾患にかかるリスクを減らすことができる可能性があるという。
■アルツハイマーを引き起こす物質とは
認知症を引き起こす疾患として最も割合の高い「アルツハイマー病」の患者の脳には、アミロイドβ(ベータ)やタウという異常なタンパク質がたまっていることが知られている。これらのタンパク質が蓄積すると脳神経細胞が死滅してしまい、物忘れなどの症状が現れるので、アルツハイマー病の発症に関わる物質と考えられている。
今回、研究者はリス・ネズミなどの齧歯(げっし)類の動物のグリンパティック経路を、MRI(磁気共鳴画像法)などの技術を使って観察した。
■横向き睡眠で脳の老廃物が減少
その結果、脳の老廃物の排出は寝ている間に最も活性化したことが分かったという。野生を含めたほとんどの動物は横向きで寝ているといい、横向き睡眠を実行して脳の老廃物を効率よく排出するのが良いかもしれない。
ただし研究者は「今回は動物を使った研究であり、人に当てはまるかどうかについては、さらなる研究が必要」とも述べている。
■睡眠は脳内の掃除タイム
睡眠中は起きているときに比べて脳の老廃物の排出が約10倍も促進することが別の研究で明らかになっている。アメリカの研究者らが就寝後のマウスの脳細胞を調べたところ、起きているときに比べて60%収縮していたという。
脳細胞が縮こまると脳と脊髄を囲む透明な液体の脳脊髄液が多く流れるようになり、老廃物を排出させるグリンパティックが活性化される。寝ている間に不要な物質を洗い流すこの仕組みは、睡眠が果たす重要な役割ではないかと示唆されている。
■良い睡眠でアルツハイマー病を予防
認知症の患者は、眠りに就けないなどの睡眠障害もよく抱えているが、これについて、脳内の老廃物がきちんと排出されていないこととの関係が指摘されている。
寝不足や夜中に何度も起きてしまうなど睡眠が浅い人は、脳に老廃物が蓄積されやすい状態になるので注意しておこう。アルツハイマー病や認知症への予防のためにも、横向き寝でもあおむけ寝でもまずはしっかりと眠り、脳にたまった老廃物を排出させておきたい。
タグ:睡眠
【睡眠の最新記事】
この記事へのコメント