2014年12月04日
日本には6種類のソースしか存在しない
目玉焼きのおともから料理のかくし味まで、幅広く活躍するソース。「焼きそば」「たこ焼き」用などバリエーションも豊富だが、日本には6種類のソースしか存在しないのはご存じだろうか。
ねばり具合でウスター/中濃/濃厚に分類され、含まれる野菜や果実の量によってそれぞれに特級/標準の2種類が存在する。生い立ちや材料を考えると、特級・濃厚ソースがもっとも「ソースらしい」ソースなのだ。
■「とんかつソース」は存在しない
ソースが誕生したのはイングランドのウスターシャー州で、野菜の切れ端やリンゴを腐らせないよう、塩や香辛料を振りかけて保存した結果、偶然できあがったとされている。ラテン語で「塩で味付けした」の意味をあらわすsalsus(サルスス)が語源になっているのもそのためだ。
日本農林規格(JAS)では「ウスターソース類」とまとめられ、ウスター、中濃、濃厚の3種類しか存在しない。基準は粘度、つまりねばり具合で、
・ウスター … 0.2Pa・s(パスカル・秒)未満
・中濃 … 0.2〜2.0Pa・s未満
・濃厚 … 2.0Pa・s以上
と規定され、数値が大きいほどねばり気が強いことを意味している。比較対象に、身近な物質のおよその粘度をあげると、
・水 … 0.001Pa・s
・サラダオイル … 0.06〜0.08Pa・s
・シャンプー … 2〜3Pa・s
・マヨネーズ … 15〜20Pa・s
・トマトケチャップ … 30Pa・s
なので、ウスターはサラダオイルよりも粘りが強く、濃厚はシャンプー並だ。
粘度以外の規定はなく、成分や用途も問われない。「とんかつ」「お好み焼き」といった区分がないのはそのためで、特定の食品に合わせて成分を追加したりブレンド比率が変えられた製品でも、粘度によってウスター/中濃/濃厚のいずれかの名前がつけられるのだ。
■「特級」こそが、本来のソース?
「特級」と「標準」の違いは成分の濃さで、おもに野菜や果実などの濃度によって決まる。糖分やアミノ酸などが溶け込んでいる固形分から塩分を除いた「無塩可溶性(かようせい)固形分」など、基準となるおもな要素は、
〇ウスターソース
・無塩可溶性固形分 … (特級)26%以上 (標準)21%以上
・野菜および果実の含有率 … (特級)10%以上 (標準)基準なし
〇中濃および濃厚
・無塩可溶性固形分 … (特級)28%以上 (標準)23%以上
・野菜および果実の含有率 … (特級)中濃15%以上 濃厚20%以上 (標準)基準なし
とされ、つまりは野菜や果実が多いほど粘度が増し、同じクラスの粘度なら標準から特級へ格上げされる仕組みだ。ただし、もとより野菜を保存しようとして生まれたものだから、野菜が多い特級こそが「本来の姿」とも表現できる。
逆に基準のない「標準」は、なにがどれだけ入っているのかわからない液体となる。使い方や味を抜きにして、含まれる成分量だけで考えると、特級・濃厚がもっともソースらしい存在といえよう。
意外なのは塩分で、
・ウスター … 11%以下
・中濃 … 10%以下
・濃厚 … 9%以下
と、イメージに反して濃厚が一番低い。ただし成分が多くなるほどにカロリーも増える傾向があるので痛しかゆしだ。塩分控えめだからと濃厚ソースを多用していたら、体重が増えてしまったなんてことがないようにご注意を。
・日本のソースは、ウスター/中濃/濃厚の3種類しかない
・粘りの強さによって分類される
・特級は、標準よりも野菜や果実が多い
・濃くなるにつれ、塩分が少なくなる
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